1. 企業情報

事業内容の説明

TPR株式会社は、自動車エンジン部品(特にシリンダライナーとピストンリング)で世界トップクラスのシェアを持つ企業です。主力のパワートレイン部品に加え、樹脂製自動車外装部品、アルミ製品、ショックアブソーバー部品、電子部品など多角的に事業を展開しています。自動車関連設備や精密測定機器、住宅設備、介護・保険・産業廃棄物処理などの生活関連サービスも手掛けています。1939年設立、本社は東京都千代田区。

2. 業界のポジションと市場シェア

業界内での競争優位性・課題

  • シリンダライナーで世界最大手、ピストンリングでも日系大手の一角を占めています。
  • トヨタの新設計(TNGA)にも対応し、主要自動車メーカーとの取引が強みです。
  • 競合には日本ピストンリング、リケン、海外大手のMahleなどが存在しますが、TPRは高い技術力とグローバルな生産・販売体制で優位性を維持しています。
  • 一方で、自動車業界の電動化進展や、内燃機関車の需要減少が中長期的な課題です。

3. 経営戦略と重点分野

ビジョン・戦略・中期計画

  • 主力事業の強化とともに、樹脂部品や電子部品、住宅・生活関連事業などの多角化を推進。
  • 中国・アジア市場での拡大、グローバルな生産拠点強化が重点。
  • カーボンニュートラルへの対応や新素材(カーボンナノチューブ等)の研究開発も進行中。
  • 中期経営計画では、収益性の維持・向上と新分野への投資、グローバル競争力の強化を掲げています。

4. 事業モデルの持続可能性

収益モデル・市場ニーズへの適応力

  • 内燃機関向け部品が主力ですが、電動化を見据えた新規分野への展開を進めています。
  • 自動車以外の分野(住宅設備、介護、産業廃棄物処理等)への多角化でリスク分散を図っています。
  • グローバルな顧客基盤と生産体制により、為替や地域需要変動にも一定の耐性があります。

5. 技術革新と主力製品

技術開発・独自性・収益牽引製品

  • シリンダライナー、ピストンリングは高精度・高耐久性が特徴で、世界的な自動車メーカーに採用。
  • 樹脂部品や電子部品など新規分野にも注力し、先進運転支援向け部品や通信ユニットなども展開。
  • カーボンナノチューブやナノ多孔質材料の開発など、次世代素材分野にも取り組み。

6. 株価の評価

バリュエーション指標による比較

  • 株価:1,962円
  • 予想PER:8.92倍(業界平均16.6倍より大幅に低い)
  • 実績PBR:0.40倍(業界平均1.4倍より低い)
  • 予想EPS:219.95円
  • 実績BPS:4,907.29円
  • 配当利回り(予想):5.10%
  • これら指標から、株価はバリュエーション面で割安水準に位置しています。

7. テクニカル分析

株価推移・位置づけ

  • 年初来高値:2,549円、年初来安値:1,820円
  • 直近株価:1,962円(50日移動平均:1,992円、200日移動平均:2,243円)
  • 直近10日間は1,850~1,973円のレンジで推移、やや下落傾向から反発気味。
  • 高値圏からは下落し、安値圏に近い水準。

8. 財務諸表分析

売上・利益・キャッシュフロー・ROE/ROAの評価

  • 売上高(2025/3期):1,924億円(前年比-0.7%)
  • 営業利益:112億円(前年比-10.5%)、営業利益率5.8%
  • 当期純利益:89億円(前年比+8.2%)※投資有価証券売却益等の特殊要因
  • ROE:5.54%、ROA:2.41%
  • 営業キャッシュフロー:217億円、フリーキャッシュフロー:52億円
  • 自己資本比率:55.8%(財務健全)
  • 直近は減収減益傾向、利益率もやや低下傾向。キャッシュフローは安定。

9. 株主還元と配当方針

配当・株主還元策

  • 1株配当(予想):100円(配当性向37.92%)
  • 配当利回り(予想):5.10%(過去5年平均3.74%を上回る)
  • 自社株買いの実施状況は記載なし
  • 安定配当を基本としつつ、業績に応じて増配も実施

10. 株価モメンタムと投資家関心

直近の株価動向・影響要因

  • 直近1年で株価は高値から下落(52週変化率-22.74%)
  • 信用買残は減少傾向、信用倍率は高水準(14.59倍)
  • 出来高は安定、流動性は十分
  • 配当利回りの高さやバリュエーションの割安さから、一定の投資家関心が見られる

11. 総評

TPR株式会社は、世界トップクラスのシリンダライナー・ピストンリングを中心に自動車部品で高い競争力を持つ企業です。近年は自動車業界の構造変化に対応し、多角化や新素材開発、グローバル展開を進めています。財務は健全で配当利回りも高く、株価指標面では割安感があります。一方で、内燃機関向け事業の比重が高く、業績は減収減益傾向、今後の電動化対応や新規分野の成長が課題となります。株価は安値圏にあり、配当利回りの高さが注目されていますが、業績動向や自動車業界の構造変化には引き続き注意が必要です。


企業情報

銘柄コード 6463
企業名 TPR
URL http://www.tpr.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 機械 – 機械

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By シャーロット

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