1. 企業情報
- 事業内容
ブイ・テクノロジーは、液晶（LCD）や有機EL（OLED）ディスプレイ、半導体向けの製造・検査装置の開発・製造・販売を主力としています。FPD（フラットパネルディスプレイ）製造装置、検査装置、フォトマスク関連装置のほか、半導体向けの検査・計測装置、MRAM向けプローバーなども展開。ファブレス（自社工場を持たない）モデルで、部材やメンテナンス、IT事業、農業事業なども手掛けています。本社は横浜市、従業員数は964人。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション
FPD製造装置分野では国内外で有力なポジション。特に液晶・有機EL向け検査装置で高い技術力を持ちます。半導体分野ではマスク検査装置や後工程装置へと事業を拡大中。
– 競争優位性と課題
技術力とファブレスによる柔軟な事業運営が強み。一方で、FPD市場の設備投資動向や半導体市況の影響を受けやすい点が課題です。海外売上比率が高く、為替変動や国際的な規制リスクも存在します。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン・戦略
「技術革新による産業の発展への貢献」を掲げ、FPD・半導体両事業の成長と収益基盤の強化を目指しています。
– 中期経営計画の施策・重点分野
– FPD装置事業の高付加価値化と新製品開発
– 半導体・フォトマスク装置事業の拡大（AI・先端半導体向け需要の取り込み）
– 新規分野（IT・農業等）の育成
– 自己株式取得や配当増額など株主還元強化
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
FPD・半導体装置の販売が中心。装置販売に加え、メンテナンスや部材供給、サービス収入もあります。
– 市場ニーズへの適応力
ディスプレイ・半導体産業の技術進化に合わせた製品開発力があり、AI・IoTの進展による新たな需要にも対応。ファブレス構造で変動にも柔軟。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向・独自性
高精度検査・計測技術、OLED蒸着マスク技術、半導体マスク検査技術など独自性が高い分野で強み。
– 収益牽引製品・サービス
FPD検査装置、OLED蒸着マスク、半導体マスク検査装置。近年はAI・先端半導体向け装置も伸長。
6. 株価の評価
- 指標比較
- PER（予想）: 10.50倍（業界平均21.1倍より割安）
- PBR（実績）: 0.85倍（業界平均1.8倍より割安）
- EPS（予想）: 285.71円
- BPS（実績）: 3,544.98円
- 株価水準
現在株価2,999円は、BPS比で0.85倍、PERでも割安水準。業界平均と比較しても低評価。
7. テクニカル分析
- 株価推移
- 年初来高値: 3,435円
- 年初来安値: 1,682円
- 直近株価: 2,999円（2025-07-02）
- 50日移動平均: 2,791.68円
- 200日移動平均: 2,438.61円
- 位置付け
直近は高値圏からやや調整局面。50日・200日移動平均を上回り、年初来高値からは下落しているものの、安値圏からは大きく回復。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益の推移
- 2023/3期: 売上431億円、純利益2.6億円
- 2024/3期: 売上373億円、純利益7.8億円
- 2025/3期: 売上462億円、純利益8億円
- 2026/3期（予想）: 売上560億円、純利益27億円
- 利益率・効率性
- 営業利益率: 3.9%
- ROE: 2.36%
- ROA: 1.53%
- キャッシュフロー・財務健全性
- 営業CF: 53.4億円
- 自己資本比率: 45.8%
- 現金等: 266.7億円
- 有利子負債: 212.4億円
- 流動比率: 2.69
- 傾向
売上高は回復傾向、利益も増加基調。財務安全性は良好だが、ROE・ROAは低水準。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績・利回り
- 1株配当: 80円（予想）
- 配当利回り: 約2.67%
- 配当性向: 95.16%（利益水準に対して高い）
- 株主還元策
自己株式取得も実施。配当と自社株買いを組み合わせた還元方針。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向
直近は3,400円台から調整、3,000円前後で推移。出来高は安定、信用買い残はやや減少傾向。
– 影響要因
FPD・半導体市況、AI関連需要、為替動向、米中貿易摩擦（トランプ関税）などが株価に影響。
11. 総評
ブイ・テクノロジーはFPD・半導体製造装置分野で高い技術力とファブレスによる柔軟な事業運営を強みとしています。業績は2025年3月期に回復基調となり、今後もAI・先端半導体向け需要を取り込む成長戦略を掲げています。財務基盤は健全で、現金も潤沢。配当性向は高く、株主還元策にも積極的です。株価指標は業界平均と比べて割安感が見られますが、ROE・ROAなど効率性指標は低水準です。今後の業績成長と市場動向、株主還元策の継続が注目されます。
※本レポートは情報提供を目的とし、投資判断を目的としたものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 7717 |
| 企業名 | ブイ・テクノロジー |
| URL | http://www.vtec.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 精密機器 |
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