1. 企業情報
概要
アインホールディングスは、調剤薬局事業を主軸とし、全国規模で大型店舗を展開する国内最大手の調剤薬局チェーンです。主力の「ファーマシー事業」では調剤薬局の運営、ジェネリック医薬品の販売、採用・コンサルティングサービスを提供しています。また、女性向けコスメ・ドラッグストア「アインズ&トルペ」や、2024年8月にグループ入りしたインテリア雑貨の「Francfranc」など、リテール事業も展開。セブン&アイ・ホールディングスと資本・業務提携を結ぶなど、流通大手との連携も強化しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
アインホールディングスは調剤薬局業界で首位の地位を確立しています。全国展開によるスケールメリットや、医療機関との連携強化、女性向けドラッグストアの展開などで競争優位性を保持しています。
競争優位性・課題
- スケールメリットによる仕入れ力・コスト競争力
- 医療・ヘルスケア分野での信頼性
- セブン&アイとの提携による顧客基盤拡大
- Francfrancなど新規事業の多角化
- 一方で、原材料・燃料費の高騰や人件費増加、薬価改定など外部環境の変化が収益圧迫要因となっています。
3. 経営戦略と重点分野
ビジョン・戦略
- 2034年4月期までに売上高1兆円、売上高純利益率4.0%、ROE15.0%を目指す中長期ビジョンを掲げています。
- ファーマシー事業では「地域のかかりつけ薬局」として医療機関との連携強化、DX（デジタルトランスフォーメーション）推進を重視。
- リテール事業では「アインズ&トルペ」やFrancfrancの展開による顧客層拡大を図っています。
具体的施策
- M&Aによる店舗網拡大
- デジタル化（電子処方箋対応、オンライン服薬指導等）
- ESG経営の推進（プラチナえるぼし、健康経営優良法人、CDPスコアなど取得）
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル
- 調剤薬局事業は医療保険制度に支えられた安定収益が特徴。
- リテール事業はトレンド変化に対応した商品開発・店舗運営力が求められる。
- Francfrancのグループ化による新たな収益源の多角化。
市場ニーズへの適応力
- 医療・健康志向の高まり、女性向けサービス強化、オンライン対応など、社会変化への柔軟な適応が見られます。
5. 技術革新と主力製品
技術開発の動向・独自性
- 電子処方箋やオンライン服薬指導など、DX推進による業務効率化・顧客利便性向上に注力。
- 医療機関との連携強化や、データ活用によるサービス品質向上。
主力製品・サービス
- 調剤薬局「アイン薬局」
- コスメ・ドラッグストア「アインズ&トルペ」
- インテリア雑貨「Francfranc」
6. 株価の評価
指標比較
- 株価：5,480円
- 予想PER：16.79倍（業界平均21.3倍）
- 実績PBR：1.35倍（業界平均1.8倍）
- EPS（会社予想）：326.46円
- BPS（実績）：4,063.53円
評価
- 業界平均と比較してPER・PBRともに割安な水準に位置しています。
- EPS・BPSからも、収益・資産面で安定感が見られます。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：5,762円、年初来安値：4,175円
- 直近株価は5,480円で、50日移動平均（5,476.96円）付近、200日移動平均（4,966.42円）を上回っています。
- 直近10日間は5,400円台を中心に推移し、やや高値圏に位置。
- 出来高は安定しており、信用買い残も増加傾向。
8. 財務諸表分析
売上・利益推移（過去数年）
- 売上高：2021年297,305百万円 → 2025年456,804百万円（年平均成長率約11.4%）
- 営業利益：2021年10,939百万円 → 2025年16,871百万円（増加傾向だが直近は減益）
- 当期純利益：2021年6,697百万円 → 2025年9,261百万円
収益性・効率性
- 営業利益率：3.7%（やや低下傾向）
- ROE：6.67%、ROA：3.72%
- 営業キャッシュフロー：23,150百万円、フリーキャッシュフローも黒字
安全性
- 自己資本比率：45.7%
- 負債比率は低く、財務健全性は高い
9. 株主還元と配当方針
- 1株配当（予想）：80.00円
- 配当利回り（予想）：1.46%
- 配当性向：約30%
- 5年平均配当利回り：1.26%（安定的な配当実績）
- 自社株買いの実施状況は限定的
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価は年初来高値圏で推移し、直近はやや上昇基調。
- 信用買い残が増加しており、投資家の関心は高い。
- セブン&アイとの提携やFrancfranc買収など、話題性のある材料が株価に影響。
11. 総評
アインホールディングスは調剤薬局業界のリーディングカンパニーとして、安定した収益基盤と積極的な事業多角化戦略を展開しています。売上成長は続いているものの、直近ではコスト増による利益率低下が課題となっています。財務基盤は健全で、配当も安定的に実施。株価指標は業界平均と比べて割安水準にあり、投資家の関心も高い状況です。今後は中長期ビジョンの達成に向けた収益性向上やDX推進、事業シナジーの発揮が注目されます。
（本レポートは情報提供を目的としており、投資判断を推奨するものではありません。）
企業情報
| 銘柄コード | 9627 |
| 企業名 | アインホールディングス |
| URL | http://www.ainj.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 小売 – 小売業 |
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