1. 企業情報
概要
清水建設株式会社（Shimizu Corporation）は、1804年創業の日本を代表する総合建設会社（ゼネコン）です。主力の建設事業では、オフィスビル、工場、学校、病院など多様な建築物の設計・施工・管理を手掛けています。また、トンネルや橋梁、ダム、都市インフラ、エネルギー施設などの土木工事も展開。加えて、不動産開発・賃貸、再生可能エネルギー（太陽光・風力・木質バイオマス発電）、ICTシステム構築、施設運営管理など幅広い事業を展開しています。社寺や伝統建築にも強みを持ち、PFI（官民連携）事業や環境エネルギー分野に注力しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
清水建設は、鹿島建設、大成建設、大林組と並ぶ「スーパーゼネコン」の一角です。首都圏の民間建築を中心に高い実績を持ち、伝統建築や特殊技術分野でも評価されています。
競争優位性
- 長い歴史とブランド力
- 高度な技術力・施工実績
- 官民連携（PFI）や環境エネルギー分野での先進的取り組み
課題
- 建設業界全体の人手不足や資材高騰
- 民間建築市場の景気変動リスク
- 競合他社との価格競争・技術競争
3. 経営戦略と重点分野
経営陣のビジョン・戦略
- 「環境・社会・ガバナンス（ESG）」を重視し、持続可能な社会の実現を目指す
- 建設事業の収益力強化と、投資開発・新規事業の拡大
- デジタル技術・省人化技術の導入による生産性向上
- 海外事業の拡大と新市場開拓
中期経営計画の重点施策
- 環境エネルギー事業の拡大
- 不動産開発・運用の強化
- 既存建築物のリニューアル・維持管理サービスの拡充
- DX（デジタルトランスフォーメーション）推進
4. 事業モデルの持続可能性
- 受注産業として大型案件の安定確保が重要
- 民間建築・不動産開発・インフラ維持管理など多角化による収益基盤の強化
- 環境配慮型建築や再生可能エネルギー分野への積極展開で市場ニーズの変化に対応
- 人手不足やコスト上昇リスクへの省人化・効率化技術の導入
5. 技術革新と主力製品
- 高層ビルや特殊構造物に対応した先端建築技術
- 環境配慮型建築、ZEB（ゼロエネルギービル）、再生可能エネルギー施設の設計・施工
- ICT・IoTを活用したスマート建設、BIM（ビルディング・インフォメーション・モデリング）導入
- 主力収益源は民間建築、インフラ整備、再生可能エネルギー関連工事
6. 株価の評価
- 株価：1,634.5円（2025/7/10終値）
- EPS（会社予想）：109.92円
- PER（会社予想）：14.87倍
- BPS（実績）：1,260.48円
- PBR（実績）：1.30倍
業界平均との比較
- PERは業界平均（14.0倍）とほぼ同水準
- PBRは業界平均（1.1倍）よりやや高い
7. テクニカル分析
- 年初来高値：1,650円、年初来安値：1,166円
- 直近株価は高値圏（年初来高値付近）で推移
- 50日移動平均：1,580.18円、200日移動平均：1,329.13円
- 直近10日間も堅調に推移し、上昇トレンドが継続
8. 財務諸表分析
売上・利益・キャッシュフローの推移
- 売上高（2025/3期）：1,944,360百万円（前期比-3.0%）
- 営業利益：71,030百万円（前期は赤字から黒字転換）
- 純利益：66,015百万円（前期比+284.6%）
- 営業CF：159,094百万円、フリーCFもプラス
- ROE：7.55%、ROA：1.75%
- 自己資本比率：34.1%（財務健全性は一定水準）
過去数年の傾向
- 2024/3期は一時的に赤字だが、2025/3期に大幅回復
- 売上は横ばい～やや減少傾向だが、利益率は改善
- キャッシュフローは安定的にプラス
9. 株主還元と配当方針
- 配当性向：40%目安
- 2025/3期年間配当：38円、2026/3期予想：44円（増配予定）
- 配当利回り（予想）：2.69%～2.73%（業界平均並み）
- 自己株式取得も実施
- 安定した配当政策と株主還元策を継続
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近株価は上昇基調で推移し、年初来高値圏
- 52週変動率：+73.55%と大幅上昇
- 信用買残は減少傾向、信用倍率1.74倍で過熱感は限定的
- 出来高も安定しており、投資家の関心は高い
11. 総評
清水建設は、スーパーゼネコンとして日本の建設業界で高いブランド力と技術力を持ち、民間建築やインフラ分野で安定した実績があります。直近の業績は一時的な赤字から大幅に回復し、利益率や財務健全性も一定水準を維持。環境エネルギーやDX推進など新分野への取り組みも進んでいます。株価は年初来高値圏で推移し、配当性向40%を目安とした安定した株主還元策も特徴です。今後は建設需要の動向やコスト管理、技術革新への対応が引き続き重要となります。
企業情報
| 銘柄コード | 1803 |
| 企業名 | 清水建設 |
| URL | http://www.shimz.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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