1. 企業情報
オプテックスグループは、日本の滋賀県大津市に本社を置くセンサーメーカーです。主な事業は、防犯用、自動ドア用、産業用（FA、画像検査、社会・環境関連）の各種センサーやシステムの開発・製造・販売です。M&A（企業の買収・合併）を通じて海外展開も積極的に進めており、特に防犯や自動ドア用センサーの分野では業界トップクラスのシェアを有しています。事業は大きくセンシングソリューション（SS）事業、インダストリアルオートメーション（IA）事業、電子機器等の製造受託（EMS）事業の3つに分かれています。
2. 業界のポジションと市場シェア
オプテックスグループは、防犯用や自動ドア用センサーにおいて「業界トップ級」と評価されており、その技術力と製品ラインナップにおいて高い競争優位性を持っています。M&Aによる海外展開も積極的に行い、グローバル市場での存在感を高めています。
一方、課題としては、今後の世界経済の不透明性、特に米国新政権による関税措置がサプライチェーンや販売価格に与える影響が挙げられます。また、特定の市場（例：半導体製造装置向け産業用PCや二次電池製造装置関連）の変動が業績に影響を与える可能性もあります。
3. 経営戦略と重点分野
同社の経営陣は、「ベンチャースピリット溢れる企業集団」を企業理念とし、各事業会社の相互連携強化と収益性向上、持続的成長を目指しています。2025年度の重点施策としては「ソリューション提案事業」への移行を掲げています。これは、単なる製品販売にとどまらず、顧客の課題を解決する包括的なソリューションを提供することで、付加価値を高め、事業領域の拡大を図る戦略と思われます。
4. 事業モデルの持続可能性
オプテックスグループの事業は、防犯、自動ドア、工場自動化、社会インフラ（車両検知、水質管理など）といった幅広い分野にセンサー技術を提供しています。これにより、特定の市場変動リスクを分散し、多様な市場ニーズに対応できる事業モデルを構築しています。特に、高齢化社会における自動化ニーズや、環境モニタリングの重要性増大は、同社の主要製品群にとって追い風となる可能性があります。高収益製品への注力やソリューション提案事業への転換は、収益性の維持・向上に貢献し、事業の持続可能性を高める可能性があります。
5. 技術革新と主力製品
同社は、光電センサー、PIRセンサー、画像認識技術など多岐にわたる独自のセンシング技術を保有しています。
収益を牽引している主力製品・サービスは、主にSS事業の防犯関連ソリューション（大型重要施設向け）、自動ドアセンサー、客数情報カウントシステム、社会・環境関連の車両検知センサーや水質センサーが挙げられます。IA事業ではFA関連（半導体関連向け）や検査用照明関連（海外向け）も堅調です。特にSS事業では高収益製品の販売増により利益貢献度が高い状態です。
6. 株価の評価
現在の株価は1,614円です。
– PER（会社予想）は9.74倍であり、業界平均PERの24.2倍と比較して、割安な水準にあります。
– PBR（実績）は1.15倍であり、業界平均PBRの1.6倍と比較して、こちらも割安な水準にあります。
– EPS（会社予想）は165.66円、BPS（実績）は1,407.30円です。現在の株価がEPSの約9.7倍、BPSの約1.1倍となっており、PBRの低さからも、財務的な資産価値に対しては比較的評価が低い傾向にあると言えます。
7. テクニカル分析
現在の株価1,614円は、年初来高値1,861円、年初来安値1,350円の間で推移しています。
直近10日間の株価推移を見ると、6月30日の1,743円から7月11日の1,614円へと下降傾向にあり、短期的には調整局面にあると見られます。年初来高値からは約13%安、年初来安値からは約19%高の位置にあり、中間に位置すると言えます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去4年間（2021→2022→2023→2024年12月期）で45,866百万円 → 54,811百万円 → 56,372百万円 → 63,269百万円と安定的に増加傾向にあります。
- 営業利益: 2021年の4,633百万円から2022年に6,307百万円へ増加後、2023年に5,901百万円と一時減少しましたが、2024年には7,125百万円と再び増加し、過去最高を更新しています。
- 純利益（親会社株主に帰属する純利益）: 2021年の3,762百万円から2022年に4,752百万円へ増加後、2023年に4,608百万円と一時減少しましたが、2024年には5,689百万円と再び増加傾向にあります。
- ROE（実績）: 12.16%と、資本を効率的に活用して利益を生み出していると言える水準です。
- 自己資本比率（実績）: 68.2%と非常に高く、財務の健全性が高いことを示しています。
- キャッシュフロー: 四半期キャッシュフロー計算書は提供されていませんが、貸借対照表の要点からは、現金及び預金が減少しているものの、総資産に対する純資産比率は高水準を維持しています。
9. 株主還元と配当方針
配当利回り（会社予想）は2.79%であり、1株配当（会社予想）は45.00円です。
2024年12月期の年間配当40.00円から、2025年12月期は45.00円への増配を予想しており、株主還元に積極的な姿勢が見られます。財務健全性が高く、安定した収益基盤があるため、今後の配当継続性も期待されます。
自己株式については、保有割合が5.62%と記載されており、過去に自社株買いが実施されてきたことがうかがえます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は下降傾向にあるものの、出来高は149,700株と比較的活発な売買が行われています。
信用取引においては、信用買残が70,200株、信用売残が4,800株であり、信用倍率は14.63倍と、買い残が売り残を大きく上回る状況です。これは、株価が下がると予想する投資家よりも、今後上がると予想する投資家が多いことを示唆しています。
株価に影響を与える要因としては、好調な事業セグメントの伸び悩み（IA事業の一部など）、為替変動、そして米国新政権の関税措置などが挙げられます。
11. 総評
オプテックスグループは、防犯・自動ドア・産業用センサーを主力とするグローバル企業であり、業界内で確立された競争優位性を持っています。過去数年間で売上高、営業利益、純利益ともに着実に成長しており、特に2024年12月期は過去最高益を更新しました。自己資本比率68.2%と財務基盤は非常に安定しており、ROEも12.16%と効率的な経営が行われています。
株価指標ではPER9.74倍、PBR1.15倍と、業界平均と比較して割安感がある水準にあります。株主還元に関しても、増配予想が示されており、安定した配当が期待できます。
短期的には株価が下降傾向にありますが、長期的な成長戦略である「ソリューション提案事業」への移行や多角的な事業展開、積極的な海外M&Aは、今後の成長ドライバーとなる可能性があります。一方で、国際情勢（関税など）や為替変動、一部事業の市況変動には注意が必要です。
企業情報
| 銘柄コード | 6914 |
| 企業名 | オプテックスグループ |
| URL | https://www.optexgroup.co.jp |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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