1. 企業情報
企業概要
日本パーカライジング株式会社は、金属表面処理薬品の製造・販売を主力とする企業です。金属の洗浄、防錆、塗装下地形成、潤滑などに用いられる表面処理薬品や、エマルション型圧延油、熱交換器なども手がけています。自動車産業向けが中心ですが、航空機分野にも進出。金属防錆技術で国内首位の地位を確立しています。海外展開も積極的で、グローバルに事業を展開しています。その他、太陽光発電やビルメンテナンス事業も行っています。
事業構成（2025年3月期）
- 薬品：44%
- 装置：18%
- 加工：36%
- その他：2%
- 海外売上比率：46%
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
- 金属表面処理分野で国内最大手。
- 特に自動車産業向けの表面処理薬品で高いシェアを持つ。
- 海外拠点の拡充によりグローバル競争力を強化中。
競争優位性・課題
- 長年の技術蓄積と多様な製品群により高い信頼性。
- 顧客の多くが大手自動車メーカーであり、安定した需要基盤。
- 一方で、自動車産業のEVシフトや生産拠点の再編、環境規制強化など外部環境変化への対応が課題。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣のビジョン・戦略
- 「表面処理のリーディングカンパニー」として、グローバル展開と高付加価値化を推進。
- 持続可能な社会実現に向けた環境対応型製品の開発強化。
中期経営計画の重点分野
- 海外事業の拡大と現地生産体制の強化。
- EV・次世代モビリティ向けの新技術・新製品開発。
- 環境負荷低減型薬品・プロセスの開発。
- 既存顧客への深耕と新規分野（航空機・再生可能エネルギー等）への展開。
4. 事業モデルの持続可能性
- 金属表面処理は自動車・産業機械・建設等、多様な産業で不可欠な工程。
- 顧客の生産拠点移転や産業構造変化にも、海外拠点展開で対応力を強化。
- EVや省エネ・環境対応の新素材・新工法への適応が今後の持続性の鍵。
5. 技術革新と主力製品
- 独自の防錆技術や表面処理薬品、塗装下地形成技術で高い競争力。
- 「WEATHERCOAT」等の独自技術を有し、耐食性・環境対応で差別化。
- 主力は自動車向け表面処理薬品、次いで加工・装置分野。
- 航空機や再生可能エネルギー分野向けの新技術開発も進行中。
6. 株価の評価
- 株価：1,310円
- EPS（会社予想）：104.51円
- BPS（実績）：1,700.16円
- PER（会社予想）：12.53倍（業界平均：20.4倍）
- PBR（実績）：0.77倍（業界平均：1.1倍）
株価指標の比較
- 業界平均と比較して、PER・PBRともに割安な水準。
- BPSに対して株価は約77%の水準。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：1,367円、年初来安値：1,018円
- 直近株価は高値圏（1,310円、52週高値に接近）
- 50日移動平均：1,241.54円、200日移動平均：1,253.48円
- 直近10日間の株価は1,260～1,320円のレンジで推移し、やや上昇基調。
8. 財務諸表分析
売上・利益の推移（過去3年）
- 売上高：117,752百万円（2022年3月期）→119,177百万円（2023年3月期）→125,085百万円（2024年3月期）→132,281百万円（2025年3月期予想）
- 営業利益：13,374百万円→12,670百万円→15,262百万円→15,001百万円
- 当期純利益：9,046百万円→9,973百万円→13,194百万円→13,112百万円
キャッシュフロー
- 営業CFは増加傾向（2024年3月期：22,776百万円）
- 投資CFはマイナス（設備投資・海外展開等）
- 財務CFはマイナス（配当・自社株買い等）
財務健全性
- 自己資本比率：73.0%（高水準）
- 総資産利益率（ROA）：3.49%
- ROE：6.86%
- 有利子負債は極めて低く、現金保有が厚い。
9. 株主還元と配当方針
- 予想配当利回り：3.82%
- 1株配当：50円
- 配当性向：約44.56%
- 過去5年平均配当利回り：3.38%
- 自己株式保有比率が高く、安定配当と自社株買いを組み合わせた株主還元策を実施。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近株価は高値圏で推移し、出来高も安定。
- 信用倍率は1.39倍と落ち着いた水準。
- インサイダー保有比率11.99%、機関投資家保有比率34.78%と安定株主が多い。
- EVシフトや海外展開、環境対応型製品への期待が株価に影響。
11. 総評
日本パーカライジングは、金属表面処理分野で国内トップの地位を持ち、特に自動車産業向けで高い競争力を有しています。海外展開や新分野進出、環境対応型製品の開発など、中長期的な成長戦略も明確です。財務体質は非常に健全で、自己資本比率が高く、配当利回りも安定しています。株価指標は業界平均と比較して割安な水準にあり、株価は直近高値圏で推移しています。今後は自動車産業の構造変化や環境規制への対応、新技術開発の進展が注目されます。
企業情報
| 銘柄コード | 4095 |
| 企業名 | 日本パーカライジング |
| URL | http://www.parker.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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