1. 企業情報
不二電機工業は、京都に本社を置く電気制御機器メーカーです。主な事業は、工場などで機械や設備の動作を制御するために使われる「制御用開閉器」をはじめ、「接続機器」、「表示灯・表示器」、「電子応用機器」の製造と販売です。特に鉄道や電力関連向けの製品に強みを持っています。事業内容は単一セグメント（電気制御機器の製造加工及び販売）として報告されており、これらは同社の売上高の90%以上を占めています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は制御用開閉器において高い市場シェアを有しています。主要顧客は鉄道、電力、一般産業など多岐にわたるため、特定の産業変動リスクを分散する事業構造となっています。特に鉄道用や電力向けの製品が主力であり、これらは社会インフラを支える需要に結びついています。海外市場への展開も進めており、アジアや中東地域での販売実績があります。具体的な業界内での市場シェアの数値は提供されていませんが、「高シェア」という記述から、一定の競争優位性を持っていることが示唆されます。直近の第1四半期決算では、電子応用機器の売上が大幅に減少したことが報告されており、この分野での市場環境や競争状況に対応することが今後の課題となる可能性があります。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣が掲げるビジョンや戦略に関する具体的な記述は提供されていません。しかし、事業展開として重電機器、一般産業、電鉄・車両業界を国内の重点分野とし、海外ではアジアや中東各国での営業活動に注力しているとされています。中期経営計画に関する具体的な進捗状況や施策についての詳細な開示は、今回の情報には含まれていません。
4. 事業モデルの持続可能性
不二電機工業の収益モデルは、産業用制御機器の製造と販売を中心に構築されています。鉄道や電力といった社会インフラ分野への供給は、比較的安定した需要が見込める特性を持っています。また、製造から販売まで一貫して手がけることで、顧客ニーズへの対応力を高めている可能性があります。海外市場への展開は、国内市場の成熟に対応し、新たな成長機会を模索する姿勢を示しています。一方で、電子応用機器の売上が直近四半期で大幅に減少している点は、市場ニーズの変化や技術トレンドへの適応力が問われる可能性を示唆しています。
5. 技術革新と主力製品
技術開発の動向や独自性に関する具体的な情報は提供されていません。同社の主力製品は「制御用開閉器（売上構成比26%）」、「接続機器（同41%）」、「表示灯・表示器（同13%）」、「電子応用機器（同18%）」です。特に接続機器と制御用開閉器が売上の主要な部分を占めています。これらの製品は、産業機器やインフラ設備に不可欠な部品であり、安定した需要を下支えしています。
6. 株価の評価
現在の株価は1,092.0円です。
* PER（会社予想）: 28.39倍
* EPS（会社予想）: 38.46円
* PBR（実績）: 0.57倍
* BPS（実績）: 1,928.06円
現在の株価1,092.0円は、1株当たり純資産（BPS）1,928.06円の約0.57倍の水準にあり、PBRは業界平均（0.8倍）を下回っています。一方、1株当たり利益（EPS）38.46円に対するPER28.39倍は、業界平均PER（12.9倍）と比較して高めの水準にあります。
7. テクニカル分析
現在の株価1,092円は、年初来高値1,154円と年初来安値939円の間に位置しています。直近10日間の株価推移を見ると、7月1日の1,109円から7月14日の1,092円まで、やや下落傾向にあります。株価は50日移動平均線（1,073.98円）と200日移動平均線（1,076.22円）より若干高い水準にありますが、直近の下落によりこれらの移動平均線に接近しています。
8. 財務諸表分析
売上高:
過去5年間（2022年1月期～2025年1月期）の総売上高は37億円から39億円の範囲で推移しており、安定した売上を維持しています。直近12ヶ月の売上高は3,927百万円でした。
利益:
営業利益は2022年1月期の229百万円から2024年1月期の399百万円まで増加傾向にありましたが、直近12ヶ月（2025年1月期）では302百万円に減少しています。純利益も同様に、2024年1月期をピークに直近12ヶ月では減少傾向が見られます。
直近の2026年1月期第1四半期決算では、売上高が前年同期比8.2%減の898百万円、営業利益が同46.8%減の54百万円、経常利益が同49.4%減の54百万円、四半期純利益が同44.8%減の40百万円と、大幅な減収減益となりました。これは特に電子応用機器の売上減少が影響しています。
キャッシュフロー:
キャッシュフロー計算書の詳細なデータは提供されていませんが、貸借対照表の要点からは現金及び預金が堅調に増加しており、流動性の高さが示唆されます。
収益性・効率性・安全性指標:
- ROE（実績）: 2.31%（過去12か月では1.99%）
- ROA（過去12か月）: 1.40%
- 自己資本比率（実績）: 92.5%（直近四半期では91.7%）
ROEとROAは低めの水準ですが、自己資本比率は90%を超えており、極めて高い財務安全性を示しています。流動比率も9.18と非常に高く、豊富な手元資金と健全な財務体質を保持していることがうかがえます。
9. 株主還元と配当方針
同社の配当利回り（会社予想）は2.93%であり、1株配当（会社予想）は32.00円です。配当性向は72.93%と比較的高めの水準です。過去の配当実績を見ると、2025年1月期、2026年1月期予想ともに年間32.00円の配当を計画しており、安定した配当を維持する方針が示されています。自社株買いなどの具体的な株主還元策に関する詳細な情報は、今回の情報には含まれていませんが、株主構成には自社（自己株式口）が17.2%含まれています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は年初来高値から調整し、やや下落傾向にあります。出来高は1万株前後と活発な取引量ではありません。信用取引では信用買残が信用売残を上回り、信用倍率は3.74倍となっています。これは信用買いが優勢であることを示します。2026年1月期第1四半期決算で大幅な減収減益が発表されたことは、今後の株価に影響を与える要因となる可能性があります。
11. 総評
不二電機工業は、鉄道や電力向けを主力とする制御用開閉器メーカーであり、高い自己資本比率と潤沢な手元資金を持ち、非常に強固な財務基盤を築いています。社会インフラ関連の安定した需要を背景に、売上は過去数年間37億円～39億円台で推移。安定した配当を継続する方針を示しています。
一方で、収益性の指標であるROEやROAは他社と比較して低めの水準にあります。また、直近の2026年1月期第1四半期決算では、電子応用機器の売上減少を背景に、売上高および各利益において前年同期比で大幅な減益となりました。PER（会社予想）は業界平均と比較して高めの水準である一方、PBR（実績）は業界平均を下回っています。
株価は直近で下落傾向にあり、移動平均線に接近しています。今後の業績動向、特に電子応用機器分野の回復や、社会インフラ整備に伴う主力製品への需要動向が注目されます。
企業情報
| 銘柄コード | 6654 |
| 企業名 | 不二電機工業 |
| URL | http://www.fujidk.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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