1. 企業情報
- 企業名: 株式会社椿本チエイン
- 本社所在地: 大阪市北区中之島3-3-3 中之島三井ビルディング
- 設立: 1941年1月31日
- 従業員数: 8,768人
- 事業内容:
- 世界トップシェアの産業用スチールチェーン、自動車エンジン用チェーンの製造・販売
- モーションコントロール（減速機、クラッチ等）、モビリティ（自動車用タイミングチェーン等）、マテハン（物流・搬送システム等）、その他事業
- 製品は自動車、資源、食品、医療、インフラ、環境分野に幅広く利用
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション:
- 産業用チェーン、自動車エンジン用チェーンで世界首位
- マテハン（マテリアルハンドリング）分野でも国内外で高いシェア
- 競争優位性:
- 長年の技術蓄積とグローバル展開
- 幅広い産業への対応力
- 課題:
- 中国経済の低迷や新興国市場の変動
- 人件費上昇、原材料高騰、為替リスク
- 新規市場（EV等）での競争激化
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン:
- 「2030年のありたい姿」の実現を目指す長期ビジョン2030
- 中期経営計画2025の重点施策:
- 資本コストを意識した経営管理の強化
- モノづくり力の強化と既存事業の収益力向上
- 持続的成長に向けた新事業・新商品開発
- サステナビリティ（カーボンニュートラル等）の推進
- 直近の動き:
- 大同工業との経営統合決定（2026年1月予定）
- 政策保有株式の縮減、自己株式取得による資本効率向上
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:
- 産業用/自動車用チェーンの安定した需要
- 物流自動化・省人化ニーズに応じたマテハン事業の成長
- 市場変化への適応力:
- EV・HV向け新製品の開発
- グローバル市場での現地生産・現地販売体制
- 新分野（V2X充電システム等）への挑戦
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向:
- 高耐久・高効率チェーン技術
- EV/ハイブリッド車向けの新型チェーン・クラッチ
- 物流自動化用の搬送・仕分けシステム
- V2X双方向EV充電システム
- 収益牽引製品:
- 産業用チェーン、自動車エンジン用タイミングチェーン
- マテハン（物流搬送システム）
- モーションコントロール機器
6. 株価の評価
- 株価: 1,858円（2025/7/15時点）
- EPS（会社予想）: 195.00円
- BPS（実績）: 2,533.14円
- PER（会社予想）: 9.53倍（業界平均16.6倍）
- PBR（実績）: 0.73倍（業界平均1.4倍）
- 評価:
- 業界平均と比較してPER・PBRともに割安水準
- EPS/BPSから見ても、現株価は利益・資産価値に対して低位
7. テクニカル分析
- 年初来高値: 1,996円
- 年初来安値: 1,546円
- 50日移動平均: 1,805.82円
- 200日移動平均: 1,851.99円
- 現在株価位置:
- 直近は50日・200日移動平均線付近で推移
- 年初来高値圏からやや下落、安値圏からは回復
- モメンタムはやや横ばい〜小幅上昇傾向
8. 財務諸表分析
- 売上高推移:
- 2022/3: 215,879百万円
- 2023/3: 251,574百万円
- 2024/3: 266,812百万円
- 2025/3: 279,193百万円（増収基調）
- 営業利益推移:
- 2022/3: 17,843百万円
- 2023/3: 18,986百万円
- 2024/3: 21,263百万円
- 2025/3: 22,854百万円（増益基調）
- 純利益推移:
- 2022/3: 14,543百万円
- 2023/3: 13,742百万円
- 2024/3: 18,551百万円
- 2025/3: 22,122百万円
- ROE（実績）: 8.54%
- ROA（実績）: 3.75%
- 自己資本比率: 69.9%（財務健全）
- 営業CF/フリーCF:
- 営業CF: 21,297百万円
- フリーCF: 4,350百万円
- 総評:
- 増収増益基調、財務基盤も強固
- キャッシュフローも安定
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 4.31%
- 1株配当（会社予想）: 80円（株式分割考慮後）
- 配当性向: 37.62%
- 自社株買い:
- 2025年6月2日〜12月30日まで最大6,500,000株・100億円の自己株式取得予定
- 方針:
- 安定配当と資本効率向上を重視
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向:
- 直近1年で-13.92%（TOPIXやS&P500を下回る動き）
- 出来高は安定、信用倍率1.46倍（やや買い長）
- 影響要因:
- 大同工業との経営統合発表
- 自己株式取得、政策保有株式売却
- 中国経済の動向、為替変動、EV市場の成長性
11. 総評
椿本チエインは、産業用・自動車用チェーン分野で世界トップの競争力を持ち、安定した収益基盤と強固な財務体質を有しています。近年はモビリティやマテハン事業の強化、新事業開発、サステナビリティ推進など中長期成長に向けた取り組みも進めています。株価指標は業界平均と比べて割安水準にあり、配当利回りも高めです。今後は大同工業との経営統合やグローバル市場での事業拡大、EV関連事業の成長が注目されます。一方で、中国経済や為替など外部環境リスクにも注意が必要です。
> ※本レポートは情報提供を目的としており、投資判断を推奨するものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 6371 |
| 企業名 | 椿本チエイン |
| URL | http://www.tsubakimoto.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 機械 – 機械 |
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