1. 企業情報
- 企業名: 東北電力株式会社
- 設立: 1951年5月1日
- 本社所在地: 仙台市青葉区本町1-7-1
- 従業員数: 18,378人
- 事業内容: 東北電力は、東北6県と新潟県を中心に電力の発電・販売・送配電を行う大手電力会社です。主力は火力・水力・原子力・再生可能エネルギーによる発電とその販売、送配電事業です。また、ガス卸売や再生可能エネルギー（洋上風力等）の開発、電気・通信・空調等の建設事業も展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: 東北電力は、国内大手電力会社の一角であり、東北・新潟エリアの電力供給を担っています。震災以降、原発停止の影響を受けつつも、再生可能エネルギーの導入やガス事業の拡大に積極的です。
- 競争優位性・課題: 地域独占的な性質を持つ一方、小売自由化により新電力との競争が進展し、販売電力量の減少が続いています。原子力発電の再稼働によるコスト競争力回復や、再エネ比率向上が今後の競争力強化の鍵です。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン: 「よりそうnext+PLUS」を掲げ、財務基盤の早期回復と「利益・投資・成長の好循環」形成を目指します。
- 中期経営計画（主な目標）:
- 2026年度: 連結経常利益1,900億円、自己資本比率20%、ROIC3.5%
- 2030年度: 連結経常利益2,000億円以上、自己資本比率25%以上、ROIC3.5%以上
- 重点施策:
- 原子力発電所の再稼働推進
- 再生可能エネルギー（特に洋上風力等）の開発強化
- ガス事業の拡大
- 財務基盤の強化と効率経営
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 主に電力の発電・販売および送配電による収益が中心。再エネやガスなど新分野の拡大も進行中。
- 市場ニーズへの適応力: 再生可能エネルギーやスマート社会対応、ガス事業拡大など、電力自由化・脱炭素社会への対応を強化しています。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向: 原子力発電所の再稼働技術、再生可能エネルギー（洋上風力・太陽光等）の導入推進、送配電ネットワークのスマート化等が進められています。
- 主力製品・サービス:
- 電力（火力・原子力・再生可能エネルギー）
- ガス卸売
- 送配電ネットワークサービス
- 建設・設備関連サービス
6. 株価の評価
- EPS（会社予想）: 269.91円
- BPS（実績）: 1,969.74円
- 現在株価: 1,054円
- PER（会社予想）: 3.90倍（業界平均: 7.0倍）
- PBR（実績）: 0.53倍（業界平均: 0.7倍）
- 配当利回り（予想）: 3.80%
→ 業界平均と比較して、PER・PBRともに割安水準です。配当利回りも業界平均並み。
7. テクニカル分析
- 株価推移: 直近10日間の株価は1,033～1,077円のレンジで推移。年初来高値1,206円、年初来安値881円。
50日移動平均: 1,017.61円、200日移動平均: 1,130.19円
→ 現在の株価は50日線よりやや上、200日線より下に位置し、直近ではやや高値圏から調整気味。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2兆6,449億円（前期比6.1%減）
- 営業利益: 2,803億円（前期比13.0%減）
- 純利益: 1,828億円（前期比19.1%減）
- 営業キャッシュフロー: 4,103億円（前期比8.8%減）
- 自己資本比率: 18.3%（前期15.4%から改善）
- ROE: 20.17%（過去12か月）
- ROA: 3.25%（過去12か月）
- 有利子負債比率: 331.24%（財務レバレッジは高い）
- 利益率: 営業利益率10.6%、純利益率6.91%
- 傾向: 2023年以降は黒字転換し、収益性・財務健全性は改善傾向。ただし、2025年3月期は減収減益。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績・予想:
- 2024年3月期: 年間15円
- 2025年3月期: 年間35円（予想）
- 2026年3月期: 年間40円（予想）
- 配当性向: 9.58%（2025年3月期予想）
- 配当方針: 当面はDOE（株主資本配当率）2%を目安。特別配当なし。自社株買いは限定的。
- 配当利回り: 3.80%（予想）
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価変動: 直近10日間で大きな値動きはないが、6月以降はやや調整傾向。信用買残が増加しており、個人投資家の関心が高まっている様子。
- 出来高: 直近10日間で平均200万株前後と流動性は高い。
- 影響要因: 原発再稼働や燃料価格動向、電力需給、配当方針、電力自由化の進展などが株価に影響。
11. 総評
東北電力は、東北・新潟エリアの基幹インフラを担う大手電力会社です。震災後の原発停止からの回復期にあり、再生可能エネルギーやガス事業など新分野にも積極的です。2025年3月期は減収減益となったものの、財務体質は改善傾向にあります。PER・PBRは業界平均より低く、配当利回りも安定しています。今後は、原子力発電の再稼働や再生可能エネルギー拡大による収益力強化、電力自由化下での競争力維持が重要な課題となります。財務レバレッジの高さや燃料費調整制度のタイムラグなど、リスク要因にも留意が必要です。
企業情報
| 銘柄コード | 9506 |
| 企業名 | 東北電力 |
| URL | http://www.tohoku-epco.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電力・ガス – 電気・ガス業 |
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