1. 企業情報
三機工業は、1925年創業(設立1949年)の総合エンジニアリング企業です。三井系の設備工事大手として知られており、建築設備、機械システム、環境システム、不動産の4つの事業を柱としています。
* 建築設備事業(売上構成比82%): ビルや工場の空調・衛生設備、電気設備、防災システム、地域冷暖房プラントなどを手掛けています。半導体製造設備や医療・医薬・食品工場の空調設備といった産業用HVACシステムにも強みを持っています。
* 機械システム事業(売上構成比4%): 工場自動化、クリーン運搬、マテリアルハンドリング、空港の荷物・貨物処理システムなど、搬送システムや搬送機器の製造・販売を行っています。
* 環境システム事業(売上構成比12%): 上下水道施設や廃棄物処理施設、産業向け環境施設などの設計・施工・運営を手掛けています。
* 不動産事業(売上構成比1%): 保有不動産の賃貸や建物管理を行っています。
従業員数は2,653人で、平均年収は10,780千円と高水準です。市場区分はプライム市場に上場しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
三機工業は設備工事大手として、多様な事業領域を持つ総合エンジニアリング企業です。特にプラント設備や搬送、環境関連に強みを持つとされています。国内では建設投資が民間企業による半導体製造工場やデータセンター建設ラッシュに後押しされ堅調に推移しており、同社もこれらの大規模プロジェクトで競争優位性を発揮しています。
競争優位性:
* 総合エンジニアリングとしての幅広い技術と実績。
* 半導体やIT関連、環境分野といった成長市場での高い専門性。
* 三井グループとの連携も強みとなり得ます。
課題:
* 資機材価格の高騰や労務費の上昇。
* 建設業界全体で深刻化する技術者不足。
* 大型プロジェクトにおける計画工期変更や施工遅延のリスク。
3. 経営戦略と重点分野
同社は長期ビジョン「Century2025」を1年前倒しで終了し、新たな経営ビジョン「MIRAI 2030」と「中期経営計画2027」を策定しました。
中期経営計画2027の目標(2027年度):
* 売上高: 3,000億円
* 営業利益: 300億円
* 営業利益率: 10.0%
* 1株当たり当期純利益: 430円以上
* 自己資本当期純利益率(ROE): 16.0%以上
* 成長投資: 500億円程度
* 純資産配当率(DOE): 5.0%以上
* 自己株式取得: 400万株程度
重点分野:
* 建築設備事業: 繰越受注高を確保しつつ、資機材価格高騰や労務費上昇、技術者不足といったリスクを軽減するマネジメントを強化。
* 機械システム事業: 働き方改革に伴う人手不足に対応するため、自動化・省人化ニーズの高い二次電池、医療・医薬、物流分野に注力。
* 環境システム事業: 脱炭素化社会に向けた省エネルギーニーズに対応し、高機能製品の拡販やDBO(設計・建設・運営)方式での提案を推進。海外市場での事業拡大も図っています。
2024年度のROEは16.3%と、中期経営計画の目標値を既に上回っており、企業価値向上に向けた意識が高いことが伺えます。
4. 事業モデルの持続可能性
三機工業の事業モデルは、多様なセグメントと幅広い顧客基盤により安定性と成長性を兼ね備えています。
* 収益モデル: 主に建設・エンジニアリングの受注ビジネスですが、建築設備や環境システムといった社会インフラに直結する分野は安定した需要が見込めます。また、不動産事業は保有不動産の賃貸収入というストック型収益を提供しています。
* 市場ニーズへの適応: 国内経済の緩やかな回復に加え、半導体製造工場やデータセンター建設といった民間設備投資の活況が追い風となっています。また、脱炭素化、少子高齢化、働き方改革といった社会課題に対し、省エネ技術の提供や自動化・省人化ソリューションの提供を通じて対応しており、市場ニーズの変化への適応力は高いと考えられます。
* リスクへの対応: 資機材価格高騰や技術者不足など、外部環境の変化によるリスクはありますが、各事業における利益率改善や工事進捗の管理強化により、収益性の維持・向上に努めています。
5. 技術革新と主力製品
同社は幅広い分野で技術力を発揮しています。
* 建築設備: ビル・工場向けHVACシステム、水供給・排水配管システム、防災システム、地域冷暖房プラントなどが主力です。特に半導体やディスプレイ、医療品製造施設向けの高度なクリーンルーム技術や温湿度管理技術は同社の強みです。スマートビルソリューションとして、中央監視・自動制御システム、ICTシステム、セキュリティシステムなども提供しています。
* 機械システム: 工場自動化、マテリアルハンドリング、空港の荷物・貨物処理など、省人化や効率化に貢献する搬送システムが主力です。二次電池分野での検査装置など、成長分野への注力も見られます。
* 環境システム: 上下水道処理施設の設計・建設、廃棄物処理・リサイクルシステム、省エネ型散気装置などが代表的です。脱炭素化の流れの中で、省エネルギー性能の高い製品・技術開発にも力を入れています。
6. 株価の評価
各種指標から現在の株価を評価します。
* 前日終値: 4,190円
* EPS(会社予想): 376.66円
* PER(会社予想): 11.23倍
* 業界平均PER: 14.0倍と比較すると、現在のPERは業界平均より割安な水準にあります。
* BPS(実績): 2,051.62円
* PBR(実績): 2.06倍
* 業界平均PBR: 1.1倍と比較すると、現在のPBRは業界平均より割高な水準にあります。
* 理論株価(PBR基準): 業界平均PBR(1.1倍)に基づくと、BPS 2,051.62円 × 1.1倍 = 2,256.78円 となり、現在の株価4,190円はこれより高い水準です。
* 理論株価(PER基準): 業界平均PER(14.0倍)に基づくと、EPS 376.66円 × 14.0倍 = 5,273.24円 となり、現在の株価4,190円はこれより低い水準です。
これらの指標を総合すると、利益面から見ると割安感がある一方で、資産面から見ると割高感があるという見方ができます。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移と年初来の株価から現状を分析します。
* 年初来高値: 4,255円
* 年初来安値: 2,805円
* 前日終値: 4,190円
* 本日高値: 4,250円
直近の株価は4,190円であり、年初来高値の4,255円に非常に近い水準で推移しています。これは、昨日の高値4,250円を見ても、比較的高値圏にあると言えます。約3ヶ月で約1.5倍の上昇を見せており、強い上昇トレンドが継続している状況です。出来高は直近で減少傾向にありますが、依然として一定の取引量を維持しています。
8. 財務諸表分析
2025年3月期(連結)の財務諸表を中心に評価します。
* 売上高: 253,136百万円(前年同期比+14.1%)と大幅に増加しました。過去数年順調に増加傾向にあります(2022年3月期: 193,188百万円 → 2023年3月期: 190,865百万円 → 2024年3月期: 221,919百万円 → 2025年3月期: 253,136百万円)。
* 営業利益: 21,893百万円(前年同期比+88.9%)と大幅な増益を達成しました。2023年3月期に一時的に落ち込んだものの、2024年3月期から急回復しています。これは主に大型工事の進捗と利益率改善によるものです。
* 経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益: 営業利益と同様に大幅な増益(経常利益+80.9%、純利益+92.2%)を達成しました。
* キャッシュフロー(営業活動): 29,725百万円の増加(前年同期は1,285百万円の増加)と大幅に改善しました。税金調整前当期純利益の増加と、売上債権の回収が進んだことが大きく寄与しています。
* 自己資本比率: 52.9%(前年同期51.7%)と、50%を超える高い水準を維持しており、財務安全性は非常に良好です。
* ROE(実績): 16.33%と、中期経営計画の目標(16.0%以上)を既に達成している高い収益性を示しています。
全体として、売上高は堅調に推移し、特に2025年3月期は利益が大幅に改善しました。キャッシュフローも健全で、財務基盤は強固です。
9. 株主還元と配当方針
同社は株主還元に積極的な姿勢を示しています。
* 配当利回り(会社予想): 3.90%
* 1株配当(会社予想): 165.00円
* 2024年3月期は年間85.00円(特別配当含む)でしたが、2025年3月期は年間165.00円と大幅な増配を実施しました。2026年3月期も165.00円の継続を予想しています。
* 配当性向: EPS(会社予想)376.66円、1株配当165円から計算すると、配当性向は約43.8%となります。
* 株主還元策: 中期経営計画2027において、純資産配当率(DOE)5.0%以上と自己株式取得400万株程度を目標として掲げており、配当だけでなく自社株買いも視野に入れた積極的な株主還元方針です。実際に2025年3月期は自己株式の取得も行っています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は年初来高値圏で推移しており、強い上昇モメンタムが見られます。
* 信用売残: 7,000株に対し、信用買残: 153,400株、信用倍率: 21.91倍。信用買残が多く、一部に将来的な売圧となる可能性もありますが、現状では需給が逼迫している状況ではありません。
* 株価への影響要因:
* ポジティブ要因: 半導体製造工場やデータセンター建設といった活況な建設投資、脱炭素化・省人化といった社会的ニーズの高まり、堅調な業績推移と今後の増益予想、積極的な株主還元策。
* ネガティブ要因: 資機材価格高騰や技術者不足、大型プロジェクトの施工遅延リスクが引き続き事業のコスト増や収益圧迫要因となる可能性があります。
全般的には、足元の業績好調と株主還元姿勢が投資家の関心を引き、株価を押し上げていると考えられます。
11. 総評
三機工業は、多様な事業を持つ総合エンジニアリング企業として、足元の業績が非常に好調です。特に2025年3月期は建築設備事業と環境システム事業の好調に牽引され、売上高・利益ともに大幅な増加を達成しました。財務基盤は高い自己資本比率と改善した営業キャッシュフローにより強固であり、ROEも高い水準を維持しています。
中期経営計画「MIRAI 2030」と「中期経営計画2027」において、明確な業績目標と積極的な株主還元方針(DOE 5.0%以上、自己株式取得を含む)を掲げており、企業価値向上への意欲が伺えます。
株価は年初来高値圏で推移しており、テクニカルには上昇傾向にあります。PERは業界平均と比較して割安感がある一方、PBRは割高感があるため、投資家は利益成長の持続性や今後の事業展開に注目が集まるでしょう。建設業界特有の課題(資機材価格高騰、技術者不足)は引き続き注視する必要がありますが、成長市場への注力と堅実な経営により、持続的な成長が期待される企業です。
企業情報
銘柄コード | 1961 |
企業名 | 三機工業 |
URL | http://www.sanki.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.0)」によって自動生成されました。
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