以下は、積水化成品工業(証券コード:4228)に関する企業分析レポートです。
1. 企業情報
積水化成品工業は、発泡プラスチック製品の製造・販売を主軸とする企業です。主な事業は、「ヒューマンライフ分野」と「インダストリー分野」の2つに分かれています。ヒューマンライフ分野では、農水産物・食品容器、物流資材、建材・土木資材などに用いられる多様な発泡プラスチック製品を提供しています。インダストリー分野では、自動車部品、電子部品、産業資材、医療・ヘルスケア材料などに使われる高機能な発泡体や成形品、ポリマー微粒子などを手掛けています。同社は発泡プラスチック業界で大手の一角を占め、積水化学工業のグループ企業です。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は「発泡プラスチックで首位」と紹介されており、この分野における高い技術力と生産能力を背景に、業界内で主要なポジションを占めているものと推測されます。特に自動車向け部品や電子部品など、高付加価値分野に強みを持っています。
しかし、世界経済の不確実性、自動車産業の回復の遅れ、資源価格や為替変動、労務費の高騰などが、同社の収益に影響を与える課題となっています。特に欧州市場の自動車生産台数減少は、海外事業会社Proseatグループの赤字継続に繋がっており、構造改革が進行中です。
3. 経営戦略と重点分野
同社は3カ年中期経営計画「Spiral-up 2024」を経て、2025年4月より新中期経営計画「Going Beyond 2027 ~ 変革と完遂~」を開始しました。重点分野としては、以下の点が挙げられます。
* 収益体質の強化と事業ポートフォリオの再構築: 不採算事業の整理や高付加価値品への資源集中を進め、収益性を改善することを目指しています。特に、Proseatグループの売却を進めるなど、大きな構造改革に取り組んでいます。
* 環境・社会課題解決型事業への転換: 環境に配慮した製品開発(リサイクル原料使用製品、省資源素材など)や、都市緑化資材といった新規需要開拓を推進しています。
* 経営基盤の強化: 安定した経営体制の構築に加え、新技術の開発による新市場開拓にも注力しています。
2027年度の定量目標として、売上高1,000億円、営業利益45億円(営業利益率4.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益29億円、ROE6.0%を掲げています。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、多様な産業分野に製品を提供することでリスク分散を図っています。特に「ヒューマンライフ分野」においては、環境対応型製品へのシフトを進めており、リサイクル原料使用製品や省資源素材の需要拡大は、持続可能な社会への貢献と同時に新たな収益機会となり得ます。
一方、「インダストリー分野」では、自動車産業の市況やEV普及に伴う市場構造の変化に対応するため、高付加価値品への資源集中と新技術開発が収益モデルの持続性を図る上で重要です。経済の不確実性、原材料価格や為替の変動は継続的な課題であり、これらへの適応力が事業モデルの持続性を左右します。
5. 技術革新と主力製品
同社は発泡プラスチックのリーディングカンパニーとして、多様な用途に対応する製品群を展開しています。
* ヒューマンライフ分野: ESLENビーズ、ESLENシート、ESLENウッド、INTERFOAM、ES DANマットなどが主要製品で、農水産・食品容器、流通資材、建設・土木資材などに広く使われています。リサイクル原料を使用した製品や省資源素材の開発に力を入れています。
* インダストリー分野: PIOCELAN、LIGHTLON、NEOMICROLEN、CELPET、TECHPOLYMER、ST-gelなどが主力です。これらは自動車部品、梱包材、電子部品材料、医療・ヘルスケア材料といった高機能・高付加価値用途向けです。特に、液晶パネル搬送資材やモニター・自動車用ライティング用途、テクノゲルなどが好調に推移しています。
新中期経営計画においても新技術開発を掲げており、技術革新を通じて新たな市場機会の創出を目指しています。
6. 株価の評価
現在の株価は344.0円です。
* EPS(1株当たり純利益): 2025年3月期の連結実績EPSは-138.28円であり、当期純損失を計上しています。会社予想EPSは0.00円とされていますが、これは次期(2026年3月期)の純利益予想が0百万円となっているためと考えられます。
* PER(株価収益率): EPSがマイナスまたはゼロのため、PERは算出できません。
* PBR(株価純資産倍率): 連結実績PBRは0.32倍であり、1株当たり純資産(BPS)1,075.86円と比較して、株価が純資産に対して割安な水準にあると言えます。業界平均PBRが1.1倍であることを考えると、このPBRは非常に低い水準にあります。
当期純損失を計上しているため、利益面からの株価評価は困難な状況です。しかし、PBRは約0.32倍と低い水準にあり、企業が保有する純資産価値に対して株価が割安であると見ることもできます。
7. テクニカル分析
現在の株価344.0円は、年初来高値381円と年初来安値285円の間に位置しています。年初来高値からは約9.7%安、年初来安値からは約20.7%高の水準です。
直近10日間の株価推移を見ると、335円から345円の範囲で推移しており、大きな方向性のある動きは見られません。日々の出来高は数万株程度で、活発な取引があるというよりは、比較的落ち着いた動きです。
50日移動平均線(328.02円)より上に位置しており、短期的なトレンドは上昇傾向にあるようにも見えますが、200日移動平均線(349.52円)の下にあるため、長期的なトレンドはまだ上向きとは言えません。現在の株価は、高値圏と安値圏の中間やや高めの水準にあります。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去数年間で増加傾向にあり、2025年3月期は1,370億7千2百万円(前期比5.2%増)と増収を達成しています。
- 利益:
- 営業利益は2025年3月期に6億4千1百万円(前期比49.2%減)と大幅に減少しました。
- 経常利益は1億2百万円(前期比96.2%減)とさらに落ち込みました。
- 親会社株主に帰属する当期純損益は、62億8千2百万円の純損失(前期は10億8千3百万円の利益)となりました。これは、特別損失として事業整理損11億1千万円、固定資産の減損損失40億7千2百万円を計上したことが主な要因です。
- キャッシュフロー(CF):
- 営業活動によるキャッシュ・フローは47億5千3百万円の収入(前期比26億2千2百万円減少)で、本業での現金創出能力は維持されています。
- 投資活動によるキャッシュ・フローは56億9千4百万円の支出(前期比19億1千5百万円支出増加)で、有形固定資産の取得などへの投資が行われています。
- 結果として、現金及び現金同等物の期末残高は減少しています。
- 収益性・効率性指標:
- ROE(自己資本利益率)は-11.97%、ROA(総資産利益率)は0.28%(過去12か月)と、当期純損失により収益性が大幅に悪化している状況です。
- 売上高営業利益率は0.5%(前期1.0%)と低水準です。
- 財務安全性:
- 自己資本比率は35.9%(前期38.3%)とやや低下しましたが、一定の安全性は保っています。
- 流動比率は1.12と、短期的な支払い能力に問題はないと考えられます。
- D/Eレシオ(有利子負債倍率)は78.68%と、純資産に対して負債が約0.8倍ある状態です。
全体として、収益は増収となったものの、特別損失の計上により大幅な純損失を計上し、財務指標上の収益性は悪化しています。ただし、本業のキャッシュフローはプラスであり、財務基盤の一定の健全性は維持されています。
9. 株主還元と配当方針
会社予想配当利回りは2.91%とありますが、これは年間10.00円の配当を前提としたものです。
しかし、2025年3月期決算短信では、期末配当は0.00円となり、年間配当は中間配当のみの3.00円/株となる予想が示されています。これは、第4四半期に多額の特別損失を計上し、当事業年度末の計算書類承認時に欠損が生じたためと説明されています。
過去5年間の平均配当利回りは3.22%ですが、直近の配当は当期純損失の影響を大きく受けています。
配当性向は233.81%と非常に高くなっていますが、これは純損失に対して配当を支払った場合に発生する数値であり、実質的な配当能力が低いことを示唆しています。自社株式買いに関する具体的な情報はありません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価は335円から345円の間で横ばいに近い動きを見せており、強い上昇または下降のモメンタムは見られません。出来高も平均以下で、投資家の関心は一時的に低下している可能性があります。
信用取引を見ると、信用買残が46万2,200株、信用売残が2万4,200株であり、信用倍率は19.10倍と、信用買いが非常に多い状況です。これは、将来的な株価上昇を期待している投資家が多い一方で、株価が下落した場合には信用買いの投げ売りが発生するリスクも考えられます。
今後の株価に影響を与える要因としては、新中期経営計画「Going Beyond 2027」の進捗状況、特にProseatグループ売却に伴う損失の影響の吸収、及び新たな成長戦略の具体化と成果が挙げられます。世界経済の動向、自動車産業の回復、原材料価格や為替の変動も引き続き影響を与える要素となります。
11. 総評
積水化成品工業は、発泡プラスチックの主要メーカーとして長年の歴史と技術力を持つ企業です。ヒューマンライフ分野での環境対応型製品の需要拡大やインダストリー分野での高付加価値品への注力は、今後の成長ドライバーとなり得るでしょう。
しかし、2025年3月期は特別損失の計上により大幅な純損失を計上し、PBRが0.32倍と純資産価値に対して非常に割安な水準にあります。これは、現状の収益性悪化と不採算事業の構造改革が投資家から懸念されていることを示唆している可能性があります。
新中期経営計画「Going Beyond 2027」では、大胆な構造改革と収益体質の強化、環境・社会課題解決型事業への転換を掲げており、その進捗と成果が注目されます。特に、2026年3月期もProseatグループ売却に伴う損失が業績に影響する見込みであるため、財務の回復には時間を要する可能性があります。
株価は年初来高値と安値の中間よりやや高めの水準で推移しており、今後の事業構造改革の進捗や、国際経済・産業の回復状況が株価に影響を与える主要な要因となるでしょう。
企業情報
銘柄コード | 4228 |
企業名 | 積水化成品工業 |
URL | https://www.sekisuikasei.com/jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 素材・化学 – 化学 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.0)」によって自動生成されました。
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