1. 企業情報
- 企業名: 積水化成品工業株式会社
- 設立: 1959年10月1日
- 本社所在地: 大阪市北区西天満2-4-4
- 従業員数: 3,294人
- 事業内容: 積水化成品工業は発泡プラスチック製品の製造・販売を主力とし、ヒューマンライフ分野（農水産・食品容器、建材等）とインダストリー分野（自動車・家電部材、工業用梱包材、医療・健康材料等）を展開。国内外に事業基盤を持ち、積水化学グループの一員。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: 発泡プラスチック分野で国内首位級。特に自動車部材や高付加価値ポリマー微粒子で強み。
- 競争優位性: 独自の発泡技術や高機能素材の開発力、グローバル展開（海外売上比率43%）が特徴。積水化学グループのネットワークも活用。
- 課題: 主要顧客である自動車産業の回復遅れ、原材料価格や為替変動、欧州事業の不振、環境対応への迅速な転換が求められる。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン: 「Going Beyond 2027 ~変革と完遂~」のもと、収益体質強化と環境・社会課題解決型事業への転換を目指す。
- 中期経営計画（2027年度目標）:
- 売上高: 1,000億円
- 営業利益: 45億円（営業利益率4.5%）
- 経常利益: 43億円
- 当期純利益: 29億円
- ROE: 6.0%
- 重点分野: 環境対応製品の開発・拡販、高付加価値品へのシフト、グローバル市場開拓、不採算事業の整理。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 発泡プラスチックの素材・成形品を幅広い産業に供給し、安定した需要基盤を持つ。近年は環境対応製品やリサイクル素材の拡大にも注力。
- 市場ニーズ対応力: 環境規制強化に対し、リサイクル原料や省資源素材の開発を推進。自動車・エレクトロニクス・医療など成長分野への展開も進行。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向: 発泡技術・高機能ポリマー微粒子・リサイクル技術等の独自開発。環境配慮型素材や新用途開発に積極的。
- 主力製品・サービス:
- ヒューマンライフ分野: 食品・農水産容器、建材、都市緑化関連
- インダストリー分野: 自動車部材、家電・電子部品梱包材、医療・健康素材
- 収益牽引製品: 自動車関連部材、液晶パネル搬送資材、リサイクル原料使用製品など。
6. 株価の評価
- 株価: 344円（2025/7/17時点）
- EPS（会社予想）: 0.00円（2026年3月期予想）、直近12か月は-138.28円
- BPS（実績）: 1,075.86円
- PER（会社予想）: —（赤字予想のため算出不可）
- PBR（実績）: 0.32倍
→ 業界平均PBR（1.1倍）と比較して大幅に低い水準。
7. テクニカル分析
- 株価推移: 直近10日間は330～345円のレンジで推移し、やや上昇傾向。年初来高値381円、安値285円。
50日移動平均: 328.02円、200日移動平均: 349.52円。
– 現在の株価位置: 200日移動平均線付近で推移し、年初来安値からは回復傾向だが、過去1年でみると下落基調（52週変化率-25.97%）。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 1,370.7億円（前期比+5.2%）
- 営業利益: 6.41億円（前期比-49.2%）
- 経常利益: 1.02億円（前期比-96.2%）
- 純利益: -62.82億円（赤字転落、特別損失計上が主因）
- ROE: -11.97%（前年は+2.5%程度）
- ROA: 0.28%
- 自己資本比率: 35.9%（財務健全性は維持）
- キャッシュフロー:
- 営業CF: +47.53億円（前年より減少）
- 投資CF: -56.94億円（設備投資増加）
- 財務CF: -6.18億円
- 傾向: 2025年3月期は特別損失（減損等）で赤字転落。売上は堅調だが、利益率低下。不採算事業整理中。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績・予想:
- 2025年3月期: 年間3.00円/株（中間3.00円、期末0円）
- 2026年3月期: 年間10.00円/株（会社予想、配当利回り2.91%）
- 配当性向: 233.81%（直近赤字のため高水準）
- 自社株買い: 直近での大規模な自社株買い実施は確認できず。
- 方針: 財務体質や業績動向を踏まえ、安定配当を基本とする。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム: 直近は底堅い動きだが、過去1年では下落傾向。出来高は安定。
- 信用取引動向: 信用買残高が高く（信用倍率19.1倍）、やや買い長。
- 投資家関心: インサイダー保有比率35.22%、機関投資家保有比率14.59%と、安定株主が多い構成。
11. 総評
積水化成品工業は発泡プラスチック分野の国内大手であり、グローバル展開や高機能素材開発に強みを持ちます。2025年3月期は特別損失計上等により赤字に転落しましたが、売上は堅調に推移しています。中期経営計画では収益体質の強化と環境対応分野へのシフトを掲げており、今後の事業ポートフォリオ再構築や高付加価値分野への展開が注目されます。
財務面では自己資本比率を維持しつつも、利益率の低下や一時的な赤字が課題です。株価はPBR0.32倍と割安感がある一方、業績回復への道筋が重要視される局面です。配当は安定志向ですが、直近は赤字により配当性向が高くなっています。今後は新中期経営計画の進捗と、グローバル市場での収益改善が注目点となります。
本レポートは公開情報に基づき整理したものであり、投資判断を目的としたものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 4228 |
| 企業名 | 積水化成品工業 |
| URL | https://www.sekisuikasei.com/jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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