アサガミ(証券コード:9311)の企業分析レポートを以下の通りご報告します。
1. 企業情報
アサガミ株式会社は、総合物流事業、不動産事業、印刷事業の3つのセグメントを柱に事業を展開しています。主要な事業は物流サービスであり、港湾・海上運送、通関、倉庫、陸上運送、航空貨物サービスなど多岐にわたる物流ソリューションを提供しています。また、不動産賃貸・管理事業、新聞印刷や年賀状・婚礼案内状印刷を手掛ける印刷事業も行っています。同社は1948年に設立され、東京都千代田区に本社を置いています。
2. 業界のポジションと市場シェア
アサガミは、総合物流、不動産、印刷という異なる特性を持つ事業を多角的に展開しています。
物流業界全体では、ドライバーの有効求人倍率が高水準で推移しており、燃料価格の高止まりも続くなど、厳しい経営環境にあります。同社はこの中で、物流センターの保管取扱量の増加が見られる一方、港湾フォワーディング部門の一部や運輸部門の輸送量には減少が見られます。
印刷業界は新聞発行部数の減少や年賀・婚礼分野の市場縮小傾向が続いており、全体として厳しい状況にあります。
不動産事業においては、都心オフィスの空室率は減少傾向の一方で、首都圏の大型物流施設では空室率が高止まりしている状況です。
同社の各事業セグメントにおける具体的な市場シェアに関する情報は確認できませんでしたが、多様な事業を持つことで、特定の市場環境変動リスクを分散していると考えられます。
3. 経営戦略と重点分野
同社は、中期経営計画に関する具体的な開示はありません。しかし、物流、不動産、印刷の各セグメントにおいて、経営理念である「顧客に対する最高のサービス」「適正利潤の追求」「眞に働きがいのある会社」に立ち返り、経営環境に対応した事業活動を実施しているとされています。特に印刷事業では、市場縮小傾向にある中で事業構造改善による固定費削減に取り組むなど、採算性向上に注力している様子が見受けられます。
4. 事業モデルの持続可能性
アサガミの事業モデルは、物流事業を核としつつ、不動産賃貸・管理、印刷という他の事業を持つことにより、収益源の多角化が図られています。
物流事業は経済活動に不可欠なサービスであり、市場ニーズは持続的に存在しますが、ドライバー不足や燃料費高騰などの課題に直面しています。同社は情報技術を活用した物流管理サービスも提供しており、効率化への取り組みが見られます。
不動産事業は安定した賃貸収入が見込まれる一方、市場の動向に影響を受けます。
印刷事業は市場規模の縮小傾向が続く中で、事業構造の改善によるコスト削減が収益の安定に寄与している現状です。
全体としては、多様な事業ポートフォリオにより、各市場の変化に対する適応力向上を目指していると考えられます。
5. 技術革新と主力製品
同社は物流事業において、情報技術を用いた物流管理サービスを提供しており、取引・在庫管理、集約、輸送管理などが挙げられます。これにより、ERP/SCMソフトウェアとのデータ連携を通じてグローバルな物流ネットワークを展開しているとされています。ただし、具体的な技術開発の動向や独自性に関する詳細な情報は確認できません。
収益を牽引する主力製品・サービスとしては、総合物流サービス(倉庫サービス、港湾サービス、陸上運送サービス、サードパーティロジスティクスサービス、航空貨物サービスなど)と、新聞印刷、年賀状・婚礼案内状印刷が挙げられます。
6. 株価の評価
2025年3月期会社予想のEPS(1株当たり利益)は809.46円、PBR(実績)は0.39倍、PER(会社予想)は7.30倍です。
前日終値5,860円とこれらの指標を比較すると以下のようになります。
* PER(株価収益率): 7.30倍(会社予想)
* 業界平均PER(11.8倍)と比較すると、アサガミのPERは低い水準にあります。
* PBR(株価純資産倍率): 0.39倍(実績)
* 業界平均PBR(0.5倍)と比較すると、アサガミのPBRも低い水準にあります。
これらの指標だけを見ると、アサガミの株価は業界平均と比較して割安感がある可能性を示しています。
7. テクニカル分析
直近の株価は、2025年7月7日から7月18日までの10営業日において、5,800円から5,910円の小幅なレンジでの推移が見られます。年初来高値が6,220円、年初来安値が5,450円であるため、現在の株価5,910円は年初来レンジの中央付近に位置しています。
特筆すべき点は、この期間の出来高が非常に少ないことです(100株から200株、出来高が記録されていない日もあります)。これは市場での流動性が低いことを示しており、少量の取引でも株価が大きく変動する可能性があります。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去数年間は微減傾向にあり、2025年3月期も38,943百万円と前年比1.7%減となりました。
- 利益: 2025年3月期は、営業利益1,928百万円(前年比25.5%増)、経常利益2,056百万円(前年比25.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,174百万円(前年比36.8%増)と、売上高が減少する中で大幅な増益を達成しました。これは、販売費及び一般管理費の削減や特別利益の計上、各事業セグメントでの採算性改善が主な要因とされています。
- キャッシュフロー: 営業活動によるキャッシュフローは3,126百万円の純収入と好調に推移し、資金の累積に貢献しています。投資活動によるキャッシュフローは純支出が減少し、これは有形固定資産の取得に伴う支出減や売却による収入増が影響しています。財務活動によるキャッシュフローは長期借入金の返済支出が大部分を占め、純支出となりました。
- 収益性・効率性: 売上高営業利益率は5.0%に改善し、収益性が向上しています。ROE(自己資本利益率)は5.69%(実績)です。
- 財務安全性: 自己資本比率は47.9%と前年同期の44.2%から改善しており、財務基盤の安定性が高い水準にあることを示しています。キャッシュ・フロー対有利子負債比率は3.3倍、インタレスト・カバレッジ・レシオは29.2倍であり、借り入れに対する返済能力は十分にあると見られます。
全体として、売上高は減少傾向にあるものの、コスト管理の徹底や事業再編により利益率は改善し、財務の健全性が維持・向上されている状況です。
9. 株主還元と配当方針
同社は2024年3月期、2025年3月期ともに1株当たり120.00円の期末配当を実施しており、2026年3月期も同額の120.00円を予想しています。
* 配当利回り(計算値): 120円 (1株配当予想) ÷ 5,860円 (前日終値) ≒ 2.05%
* 配当性向(計算値): 120円 (1株配当予想) ÷ 809.46円 (EPS会社予想) ≒ 14.8%
配当性向は比較的に低い水準であり、利益からより多くの金額を内部留保に回していると考えられます。株主情報に「自社(自己株口)」が存在することから、過去に自社株買いを実施した実績があることが示唆されますが、直近の自社株買いに関する具体的な情報はありません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は、小幅なレンジで推移しており、出来高も非常に少ないため、明確な上昇または下降の勢い(モメンタム)は確認しにくい状況です。市場での関心は、日々の取引量から判断すると、現時点ではそれほど高くない可能性があります。
株価に影響を与える要因としては、今後発表される決算内容(特に2025年5月15日の決算発表予定)や、連結事業の動向(物流業界のコスト環境、印刷業界の市場縮小、不動産からの安定収入)、さらに日本の経済動向(物価上昇、倒産件数、金利・為替動向)や国際情勢(地政学リスク、貿易政策)などが挙げられます。流動性が低いため、特定のニュースや大口の売買によって株価が大きく変動するリスクも考えられます。
11. 総評
アサガミは、物流、不動産、印刷の3事業を組み合わせた多角経営を行う企業です。売上高は近年で微減傾向にありますが、2025年3月期には抜本的なコスト削減と事業採算性の改善により、営業利益、経常利益、純利益が大きく増加しました。これは、厳しい外部環境下においても、経営努力が実を結び始めている可能性を示しています。
財務状況は、自己資本比率の改善や安定したキャッシュフローにより、健全性が維持されていると評価できます。
株価の評価においては、PERやPBRが業界平均と比較して低い水準にあり、数値上は割安感がある可能性があります。しかし、市場での出来高が極めて少なく、流動性が低い点は留意が必要です。配当は安定しており、配当性向は低い水準です。
今後の見通しとしては、物流、印刷事業ともに厳しい市場環境が予測されており、引き続きコスト管理や事業構造改革の進捗が注目されます。具体的な成長戦略や中期経営計画の開示がないため、将来的な事業拡大や競争力強化に向けた取り組みについて、今後の情報開示が待たれます。
企業情報
銘柄コード | 9311 |
企業名 | アサガミ |
URL | http://www.asagami.co.jp/ |
市場区分 | スタンダード市場 |
業種 | 運輸・物流 – 倉庫・運輸関連業 |
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証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.0)」によって自動生成されました。
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