1. 企業情報
神戸電鉄株式会社は、兵庫県神戸市を拠点とする阪急阪神グループ傘下の鉄道会社です。主力の神戸有馬線をはじめ、三田線・公園都市線など複数の鉄道路線を運営しています。鉄道事業のほか、バス・タクシー等の運輸業、不動産の開発・販売・賃貸、食品スーパーやコンビニ等の流通業、さらに保育や健康、建設、温泉供給など多角的な事業を展開しています。1926年創業の地域密着型企業です。
2. 業界のポジションと市場シェア
神戸電鉄は大手私鉄には分類されませんが、阪急阪神グループの一員として神戸市北部や三田市などの生活路線を担っています。沿線開発や地域密着施策に強みがある一方、都市圏大手私鉄と比べて規模は小さく、人口減少や競合交通機関（自動車、バス等）との競争、沿線人口の高齢化などの課題も抱えています。
市場シェアは限定的ですが、沿線住民の移動インフラとして不可欠な存在です。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン：「神鉄グループみらいビジョン2030」「中期経営計画2026」を推進。
- 重点施策
- 鉄道・バスの安全・利便性向上、駅施設リニューアル
- 沿線価値向上（地域連携イベント、観光施策等）
- 不動産事業の強化（新規物件取得、テナント誘致）
- 流通事業の品揃え・サービス拡充（食品スーパー、移動スーパー等）
- 多角化（保育・健康・建設業等の拡大）
- 2026年度利益目標を上方修正、収益基盤の強化を目指しています。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル：運輸業（鉄道・バス）が売上・利益の中心。不動産、流通、その他事業でリスク分散。
- 市場環境適応力：人口減少・高齢化に対応し、地域密着型サービスや沿線開発を強化。運賃改定やコスト削減にも取り組み、収益性改善を図っています。
- リスク：沿線人口減や原材料・人件費上昇等の外部要因に影響されやすい面も。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発：鉄道安全管理体制の強化、駅施設リニューアル、配車アプリ導入などデジタル化推進。
- 主力サービス：鉄道・バス輸送、駅ナカサービス、不動産賃貸・販売、食品スーパー・コンビニ運営など。
- 独自性：地域イベントや観光施策、移動スーパーなど、地域密着型の新サービス展開に特徴。
6. 株価の評価
- 株価：2,315円（2025/7/18終値）
- PER：16.50倍（業界平均13.9倍よりやや高い）
- PBR：0.78倍（業界平均1.0倍より低い）
- EPS（予想）：140.29円
- BPS（実績）：2,975.00円
- 株価指標：PBRが1倍を下回っており、純資産価値から見ると割安感も。ただし、PERは業界平均よりやや高め。
7. テクニカル分析
- 直近株価推移：過去10日間は2,300円台前半で安定推移。年初来高値2,648円、安値2,185円。
- 移動平均線：50日移動平均2,303.86円、200日移動平均2,372.67円。現在株価は50日線付近、200日線を下回る水準。
- 位置付け：年初来安値圏からはやや戻しつつも、高値圏からは下落基調。短期的には横ばい～やや弱含み。
8. 財務諸表分析
- 売上高：22,131百万円（前年比-0.8%）
- 営業利益：2,006百万円（前年比+7.9%）
- 純利益：1,150百万円（前年比+12.3%）
- 営業利益率：9.1%（前年8.3%）
- ROE：4.95%
- ROA：1.38%
- 自己資本比率：26.0%（前年25.4%）
- キャッシュフロー：営業CF 2,964百万円、投資CF △2,015百万円、財務CF △1,356百万円
- 有利子負債比率：総負債54,440百万円、Debt/Equity 231.26%
- 傾向：売上は微減も、利益・利益率は改善。財務体質はやや脆弱（自己資本比率・流動比率低め）、借入依存度が高い。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績：2025年3月期・2026年3月期ともに年間20円（配当利回り0.86%）
- 配当性向：約13.9%（利益の一部を配当に充当）
- 自社株買い：直近で大規模な自社株買いの実施はなし
- 方針：安定配当を維持する姿勢
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム：直近1年で約15.7%下落。短期的には横ばい～やや弱含み。
- 出来高：直近10日間の平均は8,560株程度と流動性は高くない。
- 信用取引動向：信用売残が大幅に多く（信用倍率0.08倍）、売り圧力が強い状況。
- 投資家構成：阪急阪神HDが筆頭株主（27.2%）、インサイダー保有比率が高め（約29%）。
11. 総評
神戸電鉄は、阪急阪神グループの一員として神戸市北部を中心に地域密着型の鉄道・不動産・流通事業を展開しています。近年は利益率の改善や中期経営計画の進捗が見られますが、売上は微減傾向であり、自己資本比率や流動比率など財務の健全性には課題も残ります。株価は年初来安値圏からやや戻しているものの、長期的には下落基調。配当は安定的ですが利回りは低めで、株主還元姿勢は控えめです。沿線人口の動向やコスト上昇への対応、借入依存度の高さなどが今後の注目ポイントとなります。
企業情報
| 銘柄コード | 9046 |
| 企業名 | 神戸電鉄 |
| URL | http://www.shintetsu.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 運輸・物流 – 陸運業 |
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