1. 企業情報
- 企業名: 東急不動産ホールディングス株式会社
- 設立: 2013年10月1日（前身は1918年創業）
- 所在地: 東京都渋谷区道玄坂1-21-1
- 代表者: 西川 弘典
- 従業員数: 21,898人
- 事業内容: 東急不動産ホールディングスは、総合不動産グループとして、都市開発（オフィスビル・商業施設・マンション分譲）、戦略投資（再生可能エネルギー・物流施設・海外不動産）、管理運営（マンション・ビル管理、ホテル、リゾート、シニア住宅）、不動産流通（仲介・買取再販・賃貸管理）など多岐にわたる事業を展開しています。東急グループの中核企業として、首都圏を中心に幅広い不動産関連サービスを提供しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内の位置付け: 国内大手の総合不動産会社であり、三井不動産・三菱地所・住友不動産などと並ぶ主要プレーヤーの一角です。都市部のオフィスビル賃貸や住宅分譲に強みを持ち、リゾート・再エネ・管理運営など多角化も進めています。
- 競争優位性: 都市開発での大型案件（例：渋谷再開発）や、再生可能エネルギー事業への積極投資、ホテル・リゾート運営など幅広い事業ポートフォリオが特徴です。オフィス空室率の低水準維持や、分譲マンションの高い契約率も強みです。
- 課題: 高い有利子負債比率、国内市場の人口減少・少子高齢化、金利上昇リスク、海外事業の収益性確保などが挙げられます。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン: 「中期経営計画2030」に基づき、持続的な利益成長、1株当たり利益の増大、株主還元強化を掲げています。
- 重点分野・施策:
- 都市開発の収益基盤強化（渋谷を中心とした再開発、オフィス・商業施設の賃貸収益拡大）
- 再生可能エネルギー・物流施設など新領域への投資拡大
- 不動産流通・管理運営の収益力向上（仲介・管理・ホテル・リゾート事業の拡大）
- 配当性向35%以上、累進配当の継続
- 財務健全性の維持・向上
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: オフィス・商業施設賃貸による安定収益、分譲・流通による利益獲得、再エネ・ホテル・リゾートなど多様な収益源を持つ多角化モデルです。
- 市場ニーズへの適応: 都市部の再開発やインバウンド需要の取り込み、再エネ推進など、社会・市場の変化に合わせた事業展開を進めています。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発・独自性: 都市再開発プロジェクト（渋谷Sakura Stage等）や、再生可能エネルギー発電施設の開発・運営に注力。環境配慮型不動産開発やスマートビルディング技術の導入も進めています。
- 主力製品・サービス: オフィスビル・商業施設賃貸、分譲マンション、再エネ発電所、ホテル・リゾート運営、不動産仲介・管理サービスなど。
6. 株価の評価
- EPS（会社予想）: 118.87円
- BPS（実績）: 1,150.27円
- 株価: 1,006円（2025/7/18終値）
- PER（会社予想）: 8.46倍（業界平均13.6倍）
- PBR（実績）: 0.87倍（業界平均1.6倍）
評価:
PER・PBRともに業界平均を下回る水準となっています。BPSに対して株価は割安感が見られます。
7. テクニカル分析
- 株価推移: 直近10日で1,000～1,065円のレンジで推移。年初来高値1,130円、年初来安値911円。
50日移動平均: 1,045.46円、200日移動平均: 996.36円。
– 現在の株価位置: 1,006円は200日移動平均線付近で、直近の高値圏から調整局面にあるといえます。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益推移:
- 売上高: 2022年 9,890億円 → 2023年 1兆58億円 → 2024年 1兆1,030億円 → 2025年 1兆1,503億円（増収基調）
- 営業利益: 2022年 838億円 → 2023年 1,104億円 → 2024年 1,202億円 → 2025年 1,408億円（増益基調）
- 純利益: 2022年 351億円 → 2023年 482億円 → 2024年 685億円 → 2025年 776億円（増益基調）
- キャッシュフロー:
- 営業CFはプラスを維持（2025年3月期 474億円）、投資CFは積極投資によりマイナス（-1,400億円）、財務CFはほぼ横ばい。
- ROE/ROA:
- ROE: 9.86%（2025年3月期）
- ROA: 2.80%（2025年3月期）
- 自己資本比率:
- 25.2%（やや低めだが不動産業界としては標準的）
- 有利子負債比率:
- 207.21%（高水準）
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績・予想:
- 2025年3月期: 年間36.5円
- 2026年3月期予想: 年間42円（配当利回り4.17%）
- 配当性向:
- 33.58%（中期経営計画では35%以上を目標）
- 自社株買い等:
- 直近で大規模な自社株買いの実施は確認できませんが、累進配当方針を掲げています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価変動傾向: 2025年6月以降は1,000円台前半で推移し、やや調整色が強い状況。出来高は安定しており、流動性は高いです。
- 信用取引動向: 信用買残は減少傾向、信用倍率は10倍超と高水準。売り残は増加傾向。
- 投資家関心: 配当利回りの高さや安定した業績、東急グループのブランド力から個人・機関投資家ともに一定の関心が見られます。
11. 総評
東急不動産ホールディングスは、都市開発・再生可能エネルギー・管理運営・流通など多角的な不動産事業を展開し、安定した収益基盤と成長性を兼ね備えています。直近の業績は増収増益基調で、配当利回りも高水準です。財務面では有利子負債比率がやや高いものの、自己資本比率やキャッシュフローは一定の健全性を保っています。株価は業界平均と比較して割安感があり、累進配当方針など株主還元にも注力しています。今後は再エネ・ホテル事業の成長や財務健全性の維持が注目されます。
※本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資判断を推奨・助言するものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 3289 |
| 企業名 | 東急不動産ホールディングス |
| URL | http://www.tokyu-fudosan-hd.co.jp |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 不動産 – 不動産業 |
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