東映アニメーション(4816)企業分析レポート
個人投資家の皆様へ
本レポートでは、東京証券取引所スタンダード市場に上場している東映アニメーション(4816)について、多角的な視点から企業分析を行います。
1. 企業情報
東映アニメーションは、東映系のアニメーション制作の老舗企業です。テレビアニメ、劇場作品の企画・製作を主軸とし、それらのアニメ作品の映像販売(テレビ放映権、DVD/Blu-ray、配信など)を行っています。また、作品に登場するキャラクターの商品化権許諾(版権事業)や、キャラクター関連商品の販売、イベント運営なども手掛けています。特に版権収入が収益の大きな柱となっており、近年は海外展開も重視しています。保有するコンテンツは258本の映画、231本のテレビ番組、13,300話のエピソードに及びます。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は日本最大級かつ世界有数のアニメーション製作会社であり、豊富なライブラリー作品と新作IPを継続的に生み出すことで、業界内で強固な競争優位性を築いています。特に「ドラゴンボール」「ワンピース」「プリキュア」などの強力なIP(知的財産)を多数保有している点が強みです。
アニメーション業界全体としては、海外市場の拡大により良好な環境が続いています。しかし一方で、近年は異業種からの新規参入が増加し、人気作品の開発競争が激化しているという課題も抱えています。
3. 経営戦略と重点分野
同社は、中期経営計画において「IPを戦略の軸に据えたグローバル事業展開」をより一層強化し、持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指す姿勢を示しています。具体的な施策としては、以下の4点を重点分野として掲げています。
* 新規IP創出数の増強と同社IPのライフサイクルの長期化
* 顧客接点の拡大とIP当たり収益規模の伸長
* 日本発IPの増強と海外発IPの強化
* 製作能力の進化(2D/3D先端技術の統合など)
これらの戦略は、同社が競争激化するアニメ業界で優位性を確立し続けるための基盤と見られます。
4. 事業モデルの持続可能性
東映アニメーションの主要な収益源は、売上高全体の約50%を占め、利益の約80%を稼ぎ出す「版権事業」です。強力なIPを基盤としたキャラクターの商品化権やゲーム化権の許諾によって安定した収益を上げており、この点がビジネスモデルの強みとなっています。
また、VR・AR・メタバース・NFTそしてAIといった新技術の登場に対し、アニメーションからの収益化や制作工程の効率化・クオリティ向上の機会と捉えており、市場ニーズの変化への適応力も有していると考えられます。過去のヒット作からの安定収入と、新作によるIPポートフォリオの強化を両輪で進めることで、事業の持続可能性を確保しています。
5. 技術革新と主力製品
同社は、2D/3D先端技術の統合など、製作能力の進化に積極的に取り組んでいます。これにより、高品質なアニメーション制作を維持・向上させることを目指しています。
収益を牽引している主力製品・サービスは、「ドラゴンボール」シリーズのゲーム化権・商品化権販売、ならびに「ワンピース」「デジモン」シリーズの商品化権・ゲーム化権販売が国内外で特に好調です。劇場アニメ「THE FIRST SLAM DUNK」も、そのコンテンツ自体の人気と関連商品の販売を通じて収益に貢献しました。
6. 株価の評価
現在の株価(3,320.0円)に対する主要指標は以下の通りです。
* PER(会社予想):約35.55倍
* PBR(実績):約4.43倍
一方で、業界平均PERは約17.6倍、業界平均PBRは約1.6倍となっています。同社のPER、PBRは業界平均と比較して高水準にあり、市場からの高い評価を受けていることがうかがえます。
7. テクニカル分析
現在の株価3,320.0円は、年初来高値3,730円からやや下落した水準にあり、年初来安値2,878円からは上昇しています。50日移動平均線(3,224.10円)を上回っていますが、200日移動平均線(3,336.35円)にはわずかに届いていません。直近10日間の株価推移を見ると、3,245円から3,410円の間で推移しており、直近の日ではやや軟調な動きが見られます。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益: 過去数年間で売上高、各利益、1株当たり利益ともに成長傾向にあり、特に2025年3月期(過去12ヶ月/会社予想)は、売上高1,008億円(前期比+13.7%)、営業利益324億円(前期比+38.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益236億円(前期比+25.7%)と大幅な増収増益を達成しました。2024年3月期に一時的な減益があったものの、2025年3月期で回復基調を明確にしました。
- 収益性: 売上高営業利益率は32.2%(2025年3月期)、ROEは16.58%、ROAは11.46%と、非常に高い収益性を示しています。これは特に版権事業の高利益率に支えられています。
- 財務安全性: 自己資本比率は80.2%と非常に高く、強固な財務基盤を有しています。流動比率も3.76と高く、短期的な支払能力に問題はありません。
- キャッシュフロー: 営業活動によるキャッシュフローは271億円と潤沢であり、安定した事業活動を示しています。投資活動によるキャッシュフローは55億円の支出増ですが、これは主に定期預金の預け入れによるもので、財務健全性を維持しつつも資産運用が行われていると見られます。期末の現金及び現金同等物も667億円と潤沢です。
- セグメント別: 版権事業が売上高の約50%、利益の約80%を占める主要な収益源であり、利益率も非常に高いことが特徴です。
9. 株主還元と配当方針
同社の2025年3月期予想、および2026年3月期(予想)1株配当は41.00円です(株式分割考慮後)。現在の株価に基づく配当利回り(会社予想)は1.23%であり、配当性向は35.49%です。
同社は安定配当を基本方針としつつ、投資戦略や業績動向に応じて柔軟に配当を判断するとしています。2024年4月に5分割を実施しており、投資単位の引き下げを通じて流動性の向上を図っています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価は3,200円台後半から3,400円台前半での推移となっており、上下動を繰り返しながらも、特定の強い上昇・下降トレンドは現時点では確認されていません。今日の出来高は171,600株で、3ヶ月平均出来高(約31.3万株)や10日平均出来高(約21.7万株)と比較して減少傾向にあります。
信用取引状況を見ると、信用買残が前週比で減少、信用売残が増加しており、需給に変化の兆しが見られます。
今後の株価に影響を与える要因としては、2025年7月30日に予定されている決算発表が注目されます。次期(2026年3月期)の業績予想が、前年度の大型劇場作品や新作ゲームの反動減により減収減益見通しである点は、警戒要因となる可能性があります。
11. 総評
東映アニメーションは、強力なIPと豊富なコンテンツライブラリーを基盤とし、特に高利益率の版権事業を通じて安定した収益を上げている企業です。近年の業績は海外展開の成功や主力IPの好調に支えられ、高い成長性を示しています。財務体質も自己資本比率80.2%と極めて健全であり、潤沢な現金を保有しています。
中期経営戦略では「IPを軸としたグローバル展開」を掲げ、新規IP創出や製作能力の強化を通じて持続的成長を目指しています。VR・AR・AIなどの新技術への着目も、将来の収益機会拡大に繋がりうる点です。
一方で、現在の株価はPER、PBRともに業界平均と比較して高い水準にあり、市場からの期待が高いことがうかがえます。また、2026年3月期の業績については、大型作品の反動減により減収減益の予想が出されており、今後の業績推移と株価形成に影響を与える可能性があります。
企業情報
銘柄コード | 4816 |
企業名 | 東映アニメーション |
URL | http://www.toei-anim.co.jp/ |
市場区分 | スタンダード市場 |
業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
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証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.0)」によって自動生成されました。
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