1. 企業情報
企業名: 未来工業株式会社
設立: 1965年8月17日
所在地: 岐阜県安八郡輪之内町
従業員数: 1,271人
平均年齢／年収: 47.5歳／6,450千円
市場区分: 東証プライム
事業内容:
– 電設資材（電線管・配線ボックス等）や配線器具（スイッチ・コンセント等）、省力化機械・金型、合成樹脂材料の製造販売
– 建設関連サービス（建築管理・保守、コンサル）、ケーブルテレビ、データセンター、貨物運送なども展開
– 製品数は約2万点。独自性の高い製品が多く、高い利益率を誇る
– 「残業ゼロ経営」などユニークな企業文化も特徴
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: 電設資材業界の大手。特に配電ボックス分野で高いシェアを持つ。
製品の独自性・多様性が競争優位性となっている。
– 競争優位性:
– 多品種・小ロットの独自製品開発力
– 高利益率の維持（業界平均を上回る）
– 安定した財務体質と高い自己資本比率
– 課題:
– 原材料やユーティリティコストの高騰による収益圧迫
– 建設業界全体の需要減少（新設住宅着工戸数減など）
– 競合他社との差別化維持と人材確保
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン・戦略: 「独自性ある製品開発」と「省力化ニーズへの対応」を軸に、利益率向上と株主還元の拡充を目指す。
- 中期経営計画（2024〜2026年）:
- 利益率の維持・向上
- 配当性向50%を目安とした安定的な株主還元
- 省力化製品の開発拡大と新市場開拓
- 営業活動の強化と新製品投入の継続
- 重点分野:
- 建設業界の人手不足対策となる省力化製品
- 配線器具のデザイン刷新・新製品展開
- 営業力強化によるシェア維持・拡大
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 多品種・小ロットの独自製品を高利益率で提供。ストック型ではないが、建設・設備投資のベース需要が下支え。
- 市場ニーズ適応力: 建設業界の人手不足や省力化ニーズに対応した製品開発力が強み。景気変動や原材料高騰リスクには注意が必要。
- 財務健全性: 自己資本比率79.2%、有利子負債ほぼゼロ、キャッシュリッチな体質。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向:
- 独自の省力化製品開発（例：配線ボックスの簡易施工型など）
- 樹脂成形技術や省力化機械の内製化
- 主力製品:
- 電設資材（配電ボックス、電線管等）
- 配線器具（スイッチ、コンセント等）
- 省力化機械・樹脂成形用金型
- 独自性:
- 他社にないアイデア製品の多さ
- 製品数の多さによる提案力
6. 株価の評価
- EPS（会社予想）: 262.72円
- BPS（実績）: 3,263.69円
- 株価: 3,420円
- PER（会社予想）: 13.02倍（業界平均20.4倍より割安）
- PBR（実績）: 1.05倍（業界平均1.1倍と同水準）
- 配当利回り（会社予想）: 3.80%（高水準）
- 配当性向: 約50%（安定的な株主還元方針）
7. テクニカル分析
- 株価推移:
- 年初来高値：3,945円
- 年初来安値：3,105円
- 直近株価：3,420円（7/18終値）
- 移動平均線:
- 50日：3,465.2円
- 200日：3,605.95円
→ 直近株価は移動平均線をやや下回る水準
– 直近の値動き:
– 10日間は3,390〜3,460円のレンジで推移し、方向感に乏しい
– 年初来高値からは調整局面
– ボラティリティ:
– β値0.11と低く、株価の値動きは市場平均より安定
8. 財務諸表分析
- 売上高:
- 2025年3月期：45,113百万円（前年比+2.3%、過去最高）
- 営業利益:
- 6,897百万円（前年比-5.9%）
- 純利益:
- 4,833百万円（前年比-5.5%）
- 営業利益率:
- 15.3%（前年16.6%）
- ROE:
- 9.4%（前年10.3%）
- ROA:
- 6.6%
- キャッシュフロー:
- 営業CF：7,531百万円（前年比+61.1%）
- 投資CF：△3,546百万円
- 財務CF：△2,643百万円
- 現金同等物残高：19,474百万円
- 自己資本比率:
- 79.2%（財務安全性が高い）
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績・予想:
- 2025年3月期：年間150円（中間50円＋期末100円）
- 2026年3月期（予想）：年間130円（中間50円＋期末80円）
- 配当利回り:
- 3.8%（予想）、4.36%（実績）と高水準
- 配当性向:
- 50%を目安とし、安定的な株主還元を重視
- 自社株買い:
- 自己株式保有比率が高く、機動的な株主還元策を実施
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向:
- 直近1年は高値（3,945円）から調整し、3,400円前後で安定推移
- 52週変動率は-6.94%と市場平均（S&P500：+13.16%）を下回る
- 投資家関心:
- 出来高は1日平均1.4万〜2.8万株程度と流動性は中程度
- インサイダー保有比率が高く、安定株主構成
- 信用取引動向:
- 信用買残はやや減少傾向、信用倍率3.95倍とやや買い長
11. 総評
未来工業は、電設資材業界で高いシェアと独自性を持つ企業です。省力化ニーズや独自製品開発力を武器に安定した収益基盤を維持しています。直近では原材料高や建設業界の需要減少により減益となりましたが、売上高は過去最高を更新し、財務体質も極めて健全です。配当利回りは高く、配当性向50%を目安とした株主還元方針も明確です。株価は年初来高値から調整局面にありますが、業界平均と比較してもバリュエーションは割安水準にあります。今後は建設業界の需要動向や原材料コストの推移が注目点となります。
（本レポートは情報提供を目的とし、投資判断を目的としたものではありません。）
企業情報
| 銘柄コード | 7931 |
| 企業名 | 未来工業 |
| URL | http://www.mirai.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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