1. 企業情報
Chordia Therapeuticsは、2017年に設立された日本のバイオテクノロジー企業です。主に、RNA制御ストレスを標的とする低分子抗がん薬の研究開発を手掛けています。武田薬品工業にルーツを持つ研究者らが中心となっており、アンメットメディカルニーズ(いまだ有効な治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ)の高いがん領域に特化し、画期的な治療薬(ファーストインクラス)の開発を目指しています。現在は、医薬品事業の単一セグメントで事業を展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は医薬品業界に属し、特にがん領域における創薬ベンチャーとして活動しています。製品が上市されていない段階であるため、特定の市場シェアは確立されていません。しかし、RNA制御ストレスを標的とする独自のアプローチは、既存のがん治療薬とは異なる作用機序を持つ可能性があり、競争優位性となり得ます。
業界内での競争は厳しく、研究開発には多額の費用と長い期間を要し、臨床試験の成功確率は低いという課題があります。主要なパイプラインが臨床試験段階であり、今後の開発進捗が同社のポジションを左右すると考えられます。
3. 経営戦略と重点分野
同社は「Tomorrow is Another day~明日に希望を感じる社会~」をビジョンに掲げ、アンメットメディカルニーズの高いがん領域での創薬研究開発を推進し、ファーストインクラスの医薬品開発を志向しています。
主要な開発パイプラインは以下の通りです。
* CLK阻害薬 CTX-712 (rogocekib): 急性骨髄性白血病および骨髄異形成症候群を対象とした第1/2相臨床試験が進行中であり、開発リソースが注力されている主要パイプラインです。
* MALT1阻害薬 CTX-177: 小野薬品工業株式会社とのライセンス契約が戦略上の理由により中止され、現在は同社が全権利を保有し、開発再開に向けた選択肢を検討している状況です。
* CDK12阻害薬 CTX-439 および GCN2阻害薬: AMEDからの助成金を活用して研究が推進されていますが、研究リソースはrogocekibに注力されており、早期のパートナリングも含めた幅広い可能性が検討されています。
知的財産戦略として、主要パイプラインの物質特許は各国で追加登録が進んでおり、新たな特許出願も実施されています。
中期経営計画に関する具体的な言及は、提供された情報にはありません。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、製品が未上市の研究開発型バイオベンチャー特有のものです。現時点では医薬品の販売による事業収益は計上されておらず、主に投資家からの資金調達や助成金によって研究開発活動が行われています。
損益計算書を見ると、継続的に研究開発費が先行し、営業損失、経常損失、純損失を計上している状況です。これは、新薬開発には長い期間と多額の費用がかかるため、一般的なバイオベンチャーに見られる事業フェーズです。
継続的な研究開発と臨床試験の進捗には、資金の確保が不可欠となります。直近の決算短信では、総資産のうち現金及び預金が減少傾向にあることが示されており、今後の資金調達の動向が事業の持続可能性に影響を与える可能性があります。パイプラインの成功による収益化が、将来的な自立した事業運営の鍵となります。
5. 技術革新と主力製品
同社の技術革新は、RNA制御ストレスを標的とする低分子抗がん薬の開発という独自のアプローチにあります。これは、既存の治療法では効果が不十分な、アンメットメディカルニーズが高いがん種への適用を目指すものです。武田薬品工業にルーツを持つ研究開発体制も技術力の背景にあると見られます。
現状の主力製品は、販売されている医薬品ではなく、開発中のパイプラインです。中でも、CLK阻害薬であるCTX-712 (rogocekib) が主要なパイプラインであり、急性骨髄性白血病および骨髄異形成症候群を対象とした第1/2相臨床試験が進行しています。このrogocekibの臨床試験の進捗が、現時点での事業の中心と考えられます。
6. 株価の評価
- PER(株価収益率): 会社予想のEPS(1株当たり純利益)がマイナス34.75円であるため、利益に基づくPERは算出できません。これは、研究開発段階で赤字が継続しているバイオベンチャーによく見られる状況です。
- PBR(株価純資産倍率): 実績PBRは4.96倍です。現在の株価203円に対し、1株当たり純資産であるBPS(実績)40.89円から計算した場合は約4.96倍となります。純資産と比較して株価が高い水準にあることを示しています。これは、現状の純資産価値ではなく、将来的なパイプラインの成功による収益化への期待が株価に織り込まれている可能性を示唆しています。
7. テクニカル分析
直近の株価推移(過去10日間)を見ると、株価は196円から218円の範囲で推移しています。現在の株価(2025年7月18日終値:203円)は、年初来安値196円に近く、年初来高値457円からは大きく下落した水準にあります。この状況から、現在の株価は年初来の範囲においては安値圏にあると判断されます。
直近2日間の出来高は148万株、155万株と比較的高い水準で推移しており、株価が安値圏で売買が増加している状況が見られます。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益:
- 損益計算書および決算短信によると、直近の2025年8月期第3四半期累計期間を含む過去複数年度において、主要な事業収益はほとんど計上されていません(Total Revenueは0百万円)。
- 営業利益、経常利益、純利益は継続して赤字(損失)です。特に2025年8月期第3四半期累計期間では、研究開発費(1,125百万円)、販売費及び一般管理費(295百万円)が増加したことにより、営業損失、経常損失、四半期純損失が前年同四半期に比べて拡大している状況です。
- キャッシュフロー:
- 決算短信にはキャッシュフロー計算書が作成されていないため、詳細なキャッシュフローの状況は不明です。しかし、貸借対照表における現金及び預金の減少(2025年5月31日時点の総資産2,985百万円のうち、流動資産の減少が主因)は、研究開発投資などによる資金支出が継続していることを示唆しています。
- ROE(自己資本当期純利益率):
- 実績ROEは-42.32%と大きくマイナスです。これは継続的な純損失を計上しているためであり、収益性という点では改善が課題となります。
- ROA(総資産利益率):
- データが提供されていないため評価できません。
- 自己資本比率:
- 実績値で89.8%と高く、2025年5月31日時点では94.5%に上昇しており、非常に高い水準を維持しています。これは、事業の初期段階で得られた資金が自己資本として計上されているためと考えられ、財務の安全性は高いと評価できます。
全体傾向: 同社は新薬開発のため、売上高はほぼ発生せず、研究開発費という先行投資が継続することによる赤字が常態化している状態です。自己資本比率は高い水準にありますが、現預金の減少傾向から、今後の資金調達が継続的な事業運営に重要であると考えられます。
9. 株主還元と配当方針
同社は、会社予想で配当利回り0.00%、1株配当0.00円とされています。また、2025年8月期の年間配当予想も0.00円であり、現時点では配当を実施していません。研究開発に多額の資金を必要とするバイオベンチャーの特性上、利益が出たとしても、当面は研究開発への再投資が優先される方針であると考えられます。自社株買いなどの株主還元策についても、提供された情報には言及がありません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は直近の10日間で見て、年初来安値圏での推移が継続している状況です。大きくトレンドを形成しているわけではありませんが、緩やかな下落基調にあるとも見受けられます。直近2日間の出来高は比較的高く、安値圏での売買が活発化していることを示唆しています。
投資家関心を示す信用状況を見ると、信用買残が4,520,400株と多く、信用売残が0株であるため信用倍率は0.00倍となっています。これは、今後の株価上昇を期待して保有する投資家が存在する一方で、株価下落時には買い残の圧縮圧力となる可能性をはらんでいます。
株価への影響を与える主な要因としては、主要パイプライン(特にrogocekib)の臨床試験の進捗状況、新たな提携契約の締結、既存の提携契約(CTX-177のように)の中止・変更、そして今後の資金調達の状況が挙げられます。直近ではCTX-177のライセンス契約中止の発表が、株価にネガティブな影響を与えている可能性があります。
11. 総評
Chordia Therapeuticsは、RNA制御ストレスを標的とする抗がん剤という独自の技術で、アンメットメディカルニーズの高いがん領域の創薬に挑戦するバイオベンチャーです。主力パイプラインであるrogocekibは臨床試験段階にあり、将来的な製品上市を目指しています。
財務面では、製品が未上市のため事業収益はほぼなく、多額の研究開発費により継続的に赤字を計上しています。自己資本比率は非常高く財務の安全性は現状高い水準ですが、現預金は減少傾向にあり、今後の研究開発継続のための資金調達が引き続き重要課題となるでしょう。
株価は年初来の高値から大きく下落し、現在は年初来安値圏で推移しています。PERは算出不可であり、PBRは純資産に対して高い水準にあります。これは、現時点の収益性ではなく、将来の新薬開発成功への期待が株価に織り込まれていることを示唆しています。株主還元は現時点では行われていません。
同社への投資は、新薬開発の成功による大きなリターンが期待できる一方で、臨床試験の不成功や開発中止、資金繰りの悪化などのリスクも伴う、ハイリスク・ハイリターンな特性を持つと考えられます。投資家は、主要パイプラインの治験進捗、新たなパートナリングや資金調達の動向を注視し、関連する開示情報に留意することが重要となるでしょう。
企業情報
銘柄コード | 190A |
企業名 | Chordia Therapeutics |
URL | https://www.chordiatherapeutics.com/ |
市場区分 | グロース市場 |
業種 | 医薬品 – 医薬品 |
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