広済堂ホールディングス(7868)企業分析レポート
東京証券取引所プライム市場に上場している広済堂ホールディングス(証券コード: 7868)について、個人投資家向けに分かりやすく分析したレポートです。
1. 企業情報
広済堂ホールディングスは、祖業である印刷事業に加え、葬祭事業、求人・人材事業を主要な3本柱として展開する企業です。特に、東京都内で「東京博善」として6つの火葬場・総合斎場を保有・運営する葬祭事業が収益の大きな柱となっています。また、IT関連事業や資産コンサルティング事業も手掛けています。2021年10月に社名を広済堂ホールディングスに変更し、ホールディングス体制へ移行しました。
連結事業の構成は、2025年3月期予測では以下の通りです。
* 葬祭公益: 15%
* 葬祭収益: 27%
* 資産コンサルティング: 5%
* 情報: 39%
* 人材: 14%
(注:カッコ内の数値はセグメント利益です。事業年度の見通しに基づくものであり、実績ではありません。)
セグメント別の売上高を見ると、情報事業と葬祭収益事業が大きな割合を占め、葬祭公益事業、人材事業がそれに続いています。
2. 業界のポジションと市場シェア
広済堂ホールディングスは、多角的な事業ポートフォリオを持つ点が特徴です。
* 葬祭事業: 「東京博善」を通じて東京都内における火葬事業において高いシェアを占めており、安定した収益基盤となっています。高齢化社会の進展を背景に、エンディング市場は緩やかな拡大傾向にあり、この分野での同社の競争優位性は高いと考えられます。
* 印刷事業(情報セグメントの一部): 祖業でありながら、市場全体としては縮小傾向にあります。同社は情報ソリューション事業に注力するなど、事業構造の転換を進めていますが、商業印刷領域の低調や新聞印刷領域からの撤退など、厳しい市場環境に直面しています。
* 人材事業: 労働人口の減少やインフレによる賃金上昇、海外人材活用の動きなど、市場は変化しています。同事業は紙媒体の減収や人材派遣・紹介事業の低調により、厳しい状況が見られます。
全体として、収益の柱である葬祭事業の安定性が競争優位性となっており、他の事業においては市場の変化への適応と構造改革が継続的な課題となっています。
3. 経営戦略と重点分野
同社は、中期経営計画「中期経営計画5.0」をアップデートし、2027年度の連結営業利益100億円達成を目指しています。この計画の基本方針は以下の3点です。
* 長期的な利益成長の実現: 特にエンディング事業を成長事業と位置づけ、事業規模拡大を推進しています。葬祭収益セグメントでは、式場増床や改修、TVCM放映などの施策を通じて増収増益を達成しました。
* 戦略的投資と効率化の推進: 情報・人材セグメントについては、選択と集中を進め、収益構造の改善を目指しています。印刷関連ソリューション事業の好調が見られる一方で、不採算事業の整理や効率化も図られていると推測されます。
* 株主還元の充実: 利益成長に伴い、株主への還元も重視する方針が示されており、増配予想に繋がっています。
代表取締役社長の交代予定(2025年6月27日)も発表されており、新たな経営体制の下で中期経営計画の進捗が注目されます。
4. 事業モデルの持続可能性
- 葬祭事業: 日本の高齢化は今後も進むため、火葬・葬儀のニーズは安定的に推移すると見込まれます。特に都内での火葬場運営は、新規参入が極めて困難であるため、インフラとしての安定した収益が期待できます。これは同社の事業モデルの最大の強みであり、持続可能性を支える基盤です。
- 情報事業: 従来の印刷業は市場縮小傾向にありますが、情報ソリューションやBPOサービスへのシフトを進めることで、事業構造の転換を図っています。市場ニーズの変化に対応し、高付加価値分野への転換が成功すれば、収益源の多様化と持続可能性に貢献します。
- 人材事業: 労働市場の変化が激しい分野であり、少子高齢化、労働力不足、多様な働き方への対応が求められます。求人媒体や人材紹介・派遣、RPO(採用代行)など、多角的なサービスを提供することで、市場ニーズへの適応を図っています。
- 資産コンサルティング事業: 大型貸付案件が業績に貢献した実績があり、金融サービスや相続相談・不動産仲介といった分野で、新たな収益機会を創出しています。
全体としては、安定した葬祭事業を基盤としつつ、他の事業で市場の変化への適応と成長戦略を実行することで、事業モデルの持続可能性を高めようとしていると考えられます。
5. 技術革新と主力製品
同社の主要な収益源は、葬祭事業における火葬場運営サービスとエンディング関連サービス(式場提供、葬儀サービスなど)です。これらのサービスは、特定の技術革新によって飛躍的な売上増加を目指すというよりは、安定した需要と高い参入障壁を持つインフラ事業としての特性が強いと考えられます。
情報セグメントでは、印刷技術はもちろん、ITソリューションやBPOサービスといったデジタル分野への事業展開を通じて、効率化や新たな価値提供を図っています。人材セグメントでもHRテック(HR×Technology)サービスを提供しており、これらの分野での技術活用が進められている可能性があります。ただし、現時点の開示情報からは具体的な技術開発や独自性の詳細について明確な記述は見られません。
6. 株価の評価
現在の株価454.0円に対し、提供された指標を用いて評価します。
* EPS(1株当たり当期純利益): 会社予想38.09円
* PER(株価収益率): 会社予想11.92倍
* BPS(1株当たり純資産): 実績332.67円
* PBR(株価純資産倍率): 実績1.36倍
* 業界平均PER: 14.5倍
* 業界平均PBR: 1.3倍
現在のPER11.92倍は、業界平均PER14.5倍と比較すると割安な水準にあります。
一方、PBR1.36倍は、業界平均PBR1.3倍と比較するとやや割高な水準にあります。
PERとPBRの評価が異なるため、現在の株価は、利益面から見ると相対的に評価が低い一方、純資産面から見ると既に業界平均程度の評価を受けている状況と言えます。
7. テクニカル分析
- 現在の株価: 454.0円
- 年初来高値: 560円
- 年初来安値: 434円
- 52週高値: 598.00円
- 52週安値: 391.00円
- 50日移動平均: 469.14円
- 200日移動平均: 502.50円
現在の株価454.0円は、年初来安値434円に近く、52週安値391円からも比較的近い水準です。また、50日移動平均線(469.14円)および200日移動平均線(502.50円)を大きく下回って推移しており、株価は安値圏にあると見ることができます。
直近10日間の株価推移を見ると、489円から454円まで下落傾向にあり、短期的には下降の勢いが強い状況です。
8. 財務諸表分析
Breakdown | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 (実績/予測) |
---|---|---|---|---|
総売上高 | 35,361百万円 | 36,668百万円 | 35,457百万円 | 38,302百万円 |
営業利益 | 3,729百万円 | 4,280百万円 | 5,324百万円 | 8,302百万円 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 3,643百万円 | 4,042百万円 | 4,336百万円 | 4,462百万円 |
自己資本比率 | N/A | N/A | 59.3% | 60.8% |
ROE | N/A | N/A | 9.60% | 9.54% (過去12ヶ月) |
ROA | N/A | N/A | 6.71% | 6.71% (過去12ヶ月) |
(損益計算書)
- 売上高: 過去数年間で堅調に推移しており、2025年3月期は38,302百万円と前期比8.0%増加しました。
- 営業利益: 顕著な増加が見られ、2025年3月期は8,302百万円と前期比55.9%の大幅増益です。これは主に葬祭関連事業の好調が寄与しています。
- 親会社株主に帰属する当期純利益: 利益が安定的に増加しています。2025年3月期は4,462百万円と前期比2.9%増加しました。
(貸借対照表関連)
- 自己資本比率: 2025年3月期は60.8%と、前事業年度末の59.3%からさらに上昇しており、財務の健全性が高い水準にあることを示しています。
- 総負債対自己資本比率(Total Debt/Equity): 47.13%と比較的に低く、レバレッジが過度に高くないことを示唆します。
(キャッシュフロー)
- 営業活動によるキャッシュフロー: 2025年3月期は、△8,453百万円と大幅なマイナスとなりました。これは、決算短信によると「税金等調整前当期純利益や営業貸付金等の増減によるもの」とされています。前期はプラス10,000百万円であったため、一時的な要因か今後の推移を注視する必要があります。
- 投資活動によるキャッシュフロー: 4,086百万円のプラスとなっており、資産売却などがあった可能性があります。
- 現金及び現金同等物期末残高: 前期比で7,226百万円減少しています。
(収益性・効率性指標)
- ROE: 9.60%(実績)は、一般的に良好な水準とされます。企業が株主資本を効率的に利用して利益を上げているかを示す指標です。
- ROA: 6.71%(過去12か月)も、総資産に対する利益の効率性を示し、健全な水準です。
財務全体としては、葬祭事業の好調を背景に売上・利益は増加しており、自己資本比率も高水準で財務安定性は高いと言えます。ただし、営業キャッシュフローのマイナス要因については今後の動向を継続して確認することが望ましいでしょう。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り(会社予想): 2.94%
- 1株配当(会社予想): 13.34円
- 配当性向(過去12ヶ月): 44.05%
同社は、2025年3月期の期末配当を6.37円と決定し、来期2026年3月期については年間13.34円(中間6.67円、期末6.67円)を予想しており、増配の計画を示しています。配当性向44.05%は、利益の半分近くを株主還元に充てる方針であり、株主還元への意識が高いと言えます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価の直近の変動傾向: 直近10日間の株価は下落傾向にあり、現在の株価は短・中期移動平均線を下回っています。
- 出来高: 直近の出来高は381,100株で、過去3ヶ月平均の652,830株や10日平均の584,250株と比較すると減少傾向にあり、市場からの関心が一時的に低下している可能性があります。
- 信用取引: 信用買残が信用売残を大きく上回っており(信用倍率8.55倍)、多くの買いが残っている状況です。これは将来的な株式の需給バランスに影響を与える可能性があります。
- Beta(5Y Monthly): -0.20というマイナスのβ値は、市場全体の動きに対して逆の方向に動きやすい、または連動性が低い銘柄であることを示唆しています。
- 株主構成: インサイダー(企業関係者)による保有割合が53.68%と高く、企業の安定した運営に関心が深い株主が多いと考えられます。SBIホールディングスや光通信など、主要な機関投資家や事業会社も上位株主として名を連ねており、多様な投資家層からの関心が見られます。
11. 総評
広済堂ホールディングスは、葬祭事業という安定した高収益事業を強力な柱とし、高齢化社会の進展という追い風を受けています。この事業の好調が全体業績を牽引し、2025年3月期は大幅な増益を達成しました。財務基盤は自己資本比率60.8%と高く、安定性が評価できます。また、中期経営計画においてさらなる利益成長と株主還元の充実を掲げ、2026年3月期には増配を予想している点は、株主にとって良い材料と言えるでしょう。現在のPERは業界平均と比較して割安水準にあります。
一方で、祖業である印刷事業や人材事業は、市場環境の変化に直面しており、事業構造の転換と効率化が継続的な課題です。直近の営業キャッシュフローがマイナスに転じた点は、その原因と今後の推移を注視する必要があります。株価は年初来の安値に近い水準で推移しており、短期的には下落トレンドが見られます。
広済堂ホールディングスは、安定性と成長性を併せ持つ事業構造を目指しており、主要事業の安定と他の事業の構造改革が今後の成長の鍵となると考えられます。
企業情報
銘柄コード | 7868 |
企業名 | 広済堂ホールディングス |
URL | https://www.kosaido.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 情報通信・サービスその他 – その他製品 |
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証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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