1. 企業情報
概要
三菱自動車工業は、三菱グループの自動車メーカーであり、現在は日産自動車の事実上の傘下にあります。日産・ルノーと3社連合を形成し、新車開発や部品調達などで協業を拡大しています。特に東南アジア市場に強みを持ち、海外売上比率が77%と高いのが特徴です。
主な事業は自動車（乗用車・商用車・軽自動車等）の設計・製造・販売および関連金融事業です。
– 本社所在地：東京都港区芝浦3-1-21
– 従業員数：28,982人
– 平均年齢：42.1歳
– 平均年収：7,860千円
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
三菱自動車は日本の自動車メーカーの中では中堅規模に位置し、日産・ルノー連合の一角としてグローバル展開しています。特に東南アジア（タイ・インドネシア等）での販売が強みです。
競争優位性
- 東南アジア市場でのブランド力・販売網
- 軽自動車やSUV、ピックアップトラックなど特定分野の製品力
- 日産・ルノーとの協業によるコスト競争力
課題
- 世界的な自動車需要の変動
- 為替影響や関税政策など外部環境リスク
- EV・電動化対応など技術革新への投資負担
3. 経営戦略と重点分野
経営戦略
中期経営計画「Challenge 2025」に基づき、事業基盤の安定と変化への迅速な対応を目指しています。2025年度は新型車投入効果の最大化とコスト管理の徹底を重点施策としています。
重点分野
- 新興国市場（特にASEAN）での販売拡大
- 新型車（SUV・EV等）の投入
- コスト競争力強化（部品調達・生産効率化）
- 日産・ルノー連合とのシナジー最大化
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル
自動車の設計・製造・販売が主力。販売金融やリース事業も展開。
持続可能性
- 東南アジア市場での強固な地位
- 連合による規模のメリット
- EV・電動化への対応力が今後の持続性の鍵
市場環境や技術トレンドの変化に対して、柔軟な事業運営が求められています。
5. 技術革新と主力製品
技術開発動向
- EV（電気自動車）、PHEV（プラグインハイブリッド）開発に注力
- 日産・ルノーとの共同開発による技術シナジー
主力製品
- 「アウトランダーPHEV」などのSUV・電動車
- 東南アジア向けピックアップトラック「トライトン」
- 軽自動車（eKシリーズ等）
6. 株価の評価
- 株価：394.6円
- 予想EPS：29.89円
- 実績BPS：698.28円
- 予想PER：13.20倍（業界平均13.3倍と同水準）
- 実績PBR：0.57倍（業界平均0.8倍より低い）
株価指標比較
- PERは業界平均並み、PBRは割安水準。
- BPS（純資産）に対して株価は大きくディスカウントされている。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：523円
- 年初来安値：328円
- 直近株価：394.6円
- 50日移動平均：416.57円
- 200日移動平均：426.80円
現状
- 株価は年初来高値から下落し、移動平均線を下回る水準。
- 直近10日間でやや下落基調、安値圏に近い推移。
8. 財務諸表分析
売上・利益推移
- 売上高（2025/3期）：2兆7,882億円（前期比横ばい）
- 営業利益：1,388億円（前期比△27.3%）
- 当期純利益：409億円（前期比△73.5%）
- 営業利益率：4.2%（前期9.0%から低下）
キャッシュフロー・安全性
- 営業CF：1,747億円（増加）
- 自己資本比率：41.6%
- 現金及び現金同等物：4,501億円
- 有利子負債：3,147億円
- 財務健全性は維持
ROE/ROA
- ROE：4.22%
- ROA：3.69%
- 資本効率はやや低下傾向
9. 株主還元と配当方針
- 2025年3月期配当：15円（前期10円から増配）
- 2026年3月期予想配当：10円（減配予想）
- 配当利回り（予想）：2.53%
- 配当性向：52.26%
- 自己株式保有：8.22%
- 自社株買い実績あり（株主還元意識）
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価は下落基調、移動平均線を下回る
- 信用買残増加、売残減少でやや買い圧力
- 52週変動幅（高値572.9円～安値328.2円）に対し、現在は安値圏寄り
- 日産・三菱商事など大株主の安定保有が特徴
- 業績悪化・減配見通し・外部環境リスクが株価に影響
11. 総評
三菱自動車工業は、日産・ルノー連合の一角として、特に東南アジア市場で強みを持つ自動車メーカーです。2025年3月期は売上横ばいながら、営業利益・純利益が大幅減となり、収益性が低下しました。財務基盤は健全ですが、利益水準の低下や2026年3月期の減配見通しなど、厳しい経営環境が続いています。
株価は業界平均並みのPER、割安なPBRで推移し、現在は安値圏。今後は新型車投入やコスト管理、EVシフトへの対応力が持続的成長の鍵となります。外部環境リスクや業績動向に注視が必要です。
企業情報
| 銘柄コード | 7211 |
| 企業名 | 三菱自動車工業 |
| URL | https://www.mitsubishi-motors.com/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 自動車・輸送機 – 輸送用機器 |
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