1. 企業情報
ENEOSホールディングスは、日本最大手の石油元売り企業であり、エネルギー（石油精製・販売、石油・天然ガス開発）、金属（非鉄金属、機能材料）、電力、再生可能エネルギーなど多角的な事業を展開しています。2017年に東燃ゼネラル石油と統合し、国内石油元売り市場で約5割のシェアを持つリーディングカンパニーです。海外展開も積極的で、アジアを中心にグローバルに事業を展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション：国内石油元売り最大手。国内シェア約50%で首位。
- 競争優位性：規模の経済、調達力、全国に広がる販売網、安定した供給能力が強み。
- 課題：国内燃料需要の長期的減少（人口減・省エネ・EV化）、脱炭素社会への対応、原油価格変動リスク。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン：「エネルギー・素材の未来を切り拓く」ことを掲げ、安定供給と脱炭素化の両立を目指す。
- 中期経営計画の重点施策：
- 石油精製・販売事業の効率化・再編
- 再生可能エネルギー（太陽光・水素等）や電力事業への投資拡大
- 機能材料・非鉄金属（銅、チタン等）分野の強化
- 海外事業の拡大
- DX推進による業務効率化
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル：石油精製・販売が主力だが、非石油分野（再エネ、金属、機能材等）へのシフトを進めている。
- 市場ニーズへの適応：脱炭素・電動化社会への対応として、水素や再生可能エネルギー分野に投資。既存事業の効率化と新分野の育成を両立。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向：水素供給インフラ、バイオ燃料、次世代リサイクル技術、機能性材料（銅箔、薄膜材料等）などで独自性を発揮。
- 主力製品・サービス：ガソリン、軽油、潤滑油、石油化学製品、銅・チタン等の非鉄金属、電力・水素供給。
6. 株価の評価
- PER（予想）：10.71倍（業界平均8.0倍より高い）
- PBR（実績）：0.64倍（業界平均0.9倍より低い）
- EPS（予想）：68.76円
- BPS（実績）：1,152.5円
- 株価（7/21時点）：736.7円
- 評価：PBRは割安感がある一方、PERは業界平均よりやや高め。BPSに対する株価は約0.64倍で資産価値に対し割安水準。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：864円
- 年初来安値：590円
- 50日移動平均：708.76円
- 200日移動平均：763.75円
- 直近株価トレンド：7月上旬から上昇基調。現在は50日平均を上回り、200日平均をやや下回る水準。短期的には上昇モメンタムが見られるが、長期的にはやや調整局面。
8. 財務諸表分析
- 売上高：12,322,494百万円（2025/3期）
- 営業利益：96,468百万円（同上、前年より減少）
- 純利益：226,071百万円
- ROE：7.15%
- ROA：1.73%
- 自己資本比率：35.3%
- 営業キャッシュフロー：576,835百万円（前年より減少）
- 傾向：2022年以降、売上は高水準を維持するも、利益は減少傾向。キャッシュフローも減少。減損損失や非継続事業の影響が見られる。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）：4.07%
- 1株配当（予想）：30円
- 配当性向：661.58%（利益減少により高水準）
- 自社株買い：自己株式の保有割合が約11%と高い
- 方針：安定配当を重視しつつ、自己株買いも実施。利益水準に比べ配当性向は高め。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価変動：7月上旬以降は上昇基調。出来高も安定して高水準。
- 信用倍率：4.17倍（やや買い長）
- 株価推移要因：原油価格動向、配当利回り、脱炭素関連のニュース、業績予想の変化などが影響。
11. 総評
ENEOSホールディングスは、国内最大手の石油元売りとして高い市場シェアと安定した収益基盤を持ちますが、国内燃料需要の減少や脱炭素社会への対応が長期的な課題です。近年は利益・キャッシュフローが減少傾向にあり、配当性向も高まっています。再生可能エネルギーや機能材料分野への事業転換を進めている点が今後の成長のカギとなります。株価はPBR水準で割安感が見られ、配当利回りも高い水準です。短期的には上昇モメンタムが観測されますが、中長期的には構造改革と新規事業の成長が注目されます。
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資判断を助言・推奨するものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 5020 |
| 企業名 | ENEOSホールディングス |
| URL | https://www.hd.eneos.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | エネルギー資源 – 石油・石炭製品 |
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