1. 企業情報
- 企業名：アステラス製薬株式会社
- 設立：1939年3月20日
- 本社所在地：東京都中央区日本橋本町2-5-1
- 代表者：岡村 直樹
- 従業員数：13,643名
- 平均年齢／年収：42.4歳／10,460千円
- 事業内容：医薬品の研究開発、製造、販売。特に新薬開発に注力し、泌尿器、移植、がん領域に強み。主力製品は前立腺がん治療薬「XTANDI」、急性骨髄性白血病治療薬「XOSPATA」、膀胱がん治療薬「PADCEV」など。海外売上比率は約85%と高い。
- 沿革：山之内製薬と藤沢薬品工業の統合で誕生。国内医薬品メーカーとしては武田薬品に次ぐ規模。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション：国内医薬品メーカー第2位。グローバルでも存在感を持つ。
- 競争優位性：
- 泌尿器・移植分野、抗がん剤領域での強み。
- 研究開発型企業として、独自の新薬開発力を有する。
- 海外売上比率が高く、グローバル展開力に優れる。
- 課題：
- 主力製品XTANDIの特許切れ（2020年代後半）後の収益構造の転換が必要。
- 新薬開発の成功率や規制対応、薬価改定リスク等。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン：「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの『価値』に変える」
- 中期経営計画：
- 「Focus Areaアプローチ」により、5つのPrimary Focus（重点領域）に経営資源を集中。
- 再生医療・眼科領域（Iveric Bio買収によるIZERVAYなど）への投資強化。
- XTANDIの独占期間終了後を見据えた新たな成長ドライバーの育成。
- 研究開発投資の拡大とグローバル展開の加速。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル：新薬の開発・販売による収益。主力製品のライフサイクルマネジメントと新規パイプラインの創出が重要。
- 市場ニーズ適応力：高齢化やがん治療の高度化、希少疾患治療薬への需要増に対応。Iveric Bio買収などで新領域への進出も進める。
- リスク：主力製品の特許切れリスク、開発失敗リスク、薬価引き下げリスク等。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向：
- 独自の研究開発体制を持ち、グローバルな開発・提携を推進。
- 遺伝子・細胞治療、再生医療、眼科領域など新技術への積極投資。
- 主力製品：
- XTANDI（前立腺がん治療薬）：売上の柱。
- PADCEV（膀胱がん治療薬）、XOSPATA（急性骨髄性白血病治療薬）。
- IZERVAY（眼科領域）：Iveric Bio買収により新たな成長エンジンとして期待。
6. 株価の評価
- 株価：1,482.5円（2025年7月23日終値）
- EPS（会社予想）：72.61円
- BPS（実績）：845.25円
- PER（会社予想）：20.49倍（業界平均27.8倍）
- PBR（実績）：1.76倍（業界平均1.4倍）
- 評価：
- PERは業界平均より低め。
- PBRは業界平均よりやや高いが、研究開発型企業としては標準的。
- 配当利回りは5%台と高水準。
7. テクニカル分析
- 年初来高値/安値：1,560円／1,244円
- 直近株価推移：
- 直近10日で1,377円→1,483円と上昇基調。
- 50日移動平均：1,396.19円、200日移動平均：1,492.49円
- 現在株価は50日線を上回り、200日線付近。
- 年初来高値圏に近づいているが、52週高値（1,835円）にはまだ距離あり。
8. 財務諸表分析
- 売上高：1兆9,123億円（前期比19.2%増）
- 営業利益：410億円（前期比60.8%増）
- 当期純利益：507億円（前期比197.7%増）
- 営業キャッシュフロー：1,945億円（前期比増加）
- ROE：3.26%
- ROA：4.77%
- 自己資本比率：45.3%
- 利益率：営業利益率2.1%、純利益率2.65%（直近12ヶ月）
- 財務安全性：自己資本比率・流動比率ともに健全な水準。
- 成長傾向：売上・利益ともに増加傾向だが、利益率は低い。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績・予想：
- 2024年：70円、2025年：74円、2026年予想：78円
- 配当利回り（予想）：5.24%（高水準）
- 配当性向（予想）：107.4%（2026年3月期、前期は261.1%）
- 自社株買い：自己株式保有割合は低い（0.03%）
- 総合還元策：安定配当重視。利益水準に対して配当性向は高め。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム：直近10日間は上昇基調。出来高も増加傾向。
- 信用取引：信用買残は減少傾向、信用倍率は5.67倍とやや高め。
- 投資家層：機関投資家比率が高く、安定株主が多い。
- 影響要因：主力製品の動向、新薬開発進捗、為替動向、配当利回りへの注目度が高い。
11. 総評
アステラス製薬は、国内2位の医薬品メーカーであり、グローバル展開力と新薬開発力を強みに持つ企業です。主力製品XTANDIの売上が大きい一方、特許切れリスクに備えて眼科領域など新たな成長分野への投資を積極化しています。直近の業績は増収増益で、配当利回りも高水準を維持していますが、利益率はやや低めです。株価は直近で上昇基調にあり、配当利回りや新薬開発の進捗に対する投資家の関心が高まっています。今後は新規パイプラインの進捗やグローバル展開の成果が注目されるポイントとなります。
企業情報
| 銘柄コード | 4503 |
| 企業名 | アステラス製薬 |
| URL | http://www.astellas.com/jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 医薬品 – 医薬品 |
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