1. 企業情報
企業名: 株式会社九電工（Kyudenko Corporation）
本社所在地: 福岡市中央区天神1-11-1
設立: 1944年12月1日
従業員数: 10,828人
事業内容:
– 電気設備工事、空調管工事、屋内線工事を主軸とする総合設備工事会社
– 再生可能エネルギー発電所、オフィスビル、工場、教育・文化・リゾート施設等の電気・空調・給排水・防災設備の設計、施工、保守
– 通信設備（携帯基地局、CATV等）の設計・施工・保守
– 海外（東南アジア等）への事業展開
– その他、不動産、再エネ発電、医療支援、ホテル運営等の多角化事業
2. 業界のポジションと市場シェア
- 九州電力グループの電気工事会社だが、九州電力向け売上比率は1割強と限定的
- 九州を地盤に首都圏へも進出し、全国展開を拡大中
- 業界内では大手サブコン（設備工事会社）として高い施工能力と総合力を有する
- 競合は関電工、きんでん、東光高岳、四電工など
- 市場シェアは九州地域で高いが、全国的には中堅規模
- 技術力・実績・財務基盤に強みがある一方、建設需要の変動や人材確保が課題
3. 経営戦略と重点分野
- 中期経営計画（2026年3月期）
- 売上高490,000百万円、営業利益44,500百万円、純利益32,000百万円を目標
- 再生可能エネルギー（宇久島メガソーラー等）や首都圏再開発案件の受注強化
- 収益力向上のための工事利益率改善
- 海外展開（東南アジア等）の拡大
- 多角化事業（不動産、医療、ホテル等）の推進
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 設備工事受注による売上が中心（売上比率96%）、その他事業も展開
- 持続性: インフラ老朽化対応、再生エネ需要、都市再開発等の社会的ニーズに対応
- リスク: 建設需要の景気変動、労働力不足、資材価格変動等
- 適応力: 再エネ・海外・多角化でリスク分散を図る
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発: 再生可能エネルギー発電設備（太陽光・風力）、省エネ・環境対応設備、IoT活用の施工管理等
- 主力プロジェクト: 宇久島メガソーラー（大規模再エネ）、首都圏再開発案件
- 独自性: 電気・空調・通信の一体施工、再エネ分野での先行投資
6. 株価の評価
- 株価: 6,676円（2025/7/25終値）
- EPS（1株利益）: 408.36円（2025年3月期）
- BPS（1株純資産）: 4,384.29円（直近四半期）
- PER（株価収益率）: 6,676 ÷ 408.36 ≒ 16.3倍（業界平均14.0倍よりやや高い）
- PBR（株価純資産倍率）: 6,676 ÷ 4,384.29 ≒ 1.52倍（業界平均1.1倍より高い）
- 配当利回り（予想）: 年間180円 ÷ 6,676円 ≒ 2.69%（5年平均2.79%と同水準）
7. テクニカル分析
- 直近株価推移: 7/25に大幅高（前日比+480円、+7.7%）、出来高急増
- 52週高値: 7,084円（直近高値圏に接近）
- 52週安値: 4,209円
- 50日移動平均: 5,703.86円
- 200日移動平均: 5,235.50円
- 現在値は高値圏。短期的なモメンタム強いが、直近の急騰後は調整リスクも
8. 財務諸表分析
- 売上高: 473,953百万円（2025/3期）、過去3年で増加傾向
- 営業利益: 41,388百万円（2025/3期）、営業利益率7.95%
- 純利益: 28,883百万円（2025/3期）、純利益率6.09%
- ROE: 9.63%、ROA: 5.17%（建設業としては堅実な水準）
- 自己資本比率: 67.5%（財務健全性高い）
- キャッシュフロー: 営業CF 8,660百万円、フリーCF 5,270百万円（プラス維持）
- 負債比率: 総負債/純資産 7.2%と低水準
- **利益・売上ともに堅調だが、2025/3期の四半期売上は前年同期比減少、利益率改善でカバー
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績: 2025年3月期 140円、2026年3月期予想 180円（増配予定）
- 配当性向: 34.28%（安定的）
- 配当利回り: 2.69%（業界平均並み）
- 自社株買い: 直近実施情報なし
- 株主構成: 九州電力が筆頭株主（22.55%）、信託銀行・地銀等が続く
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム: 直近10日で急騰、特に7/25は出来高大幅増
- 信用取引: 買残減少・売残増加、信用倍率3.22倍（やや買い長）
- 要因: 業績予想据置・増配予想・利益率改善などが材料視された可能性
- 投資家関心: 出来高増加・値動き活発
11. 総評
九電工は、電気・空調・通信設備工事を主軸に、再生可能エネルギーや多角化事業を推進する総合設備工事会社です。九州を拠点に全国展開・海外展開も進めており、業界内での技術力と財務基盤に強みがあります。直近では売上高がやや減少したものの、利益率改善や増配方針が好感され、株価は高値圏にあります。財務健全性も高く、配当も安定していますが、建設需要や人材確保、資材価格変動などのリスクには引き続き注意が必要です。全体として、事業の持続性と成長性を意識した経営が継続されています。
企業情報
| 銘柄コード | 1959 |
| 企業名 | 九電工 |
| URL | http://www.kyudenko.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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