1. 企業情報
概要
関西ペイント株式会社は、1918年設立の総合塗料メーカーで、建築用・自動車用・工業用・船舶用など多様な塗料を製造・販売しています。国内では自動車用塗料で首位、海外ではアジア・インドで高いシェアを持ち、インド事業が収益の柱となっています。事業は日本・インド・欧州・アジア・アフリカ・その他（米国等）で展開しています。
事業構成（2025年3月期）
- 建築塗料：25%
- 自動車塗料：30%
- 自動車補修・船舶・防食塗料：11%
- 工業塗料：29%
- その他：6%
- 海外売上比率：72%
2. 業界のポジションと市場シェア
- 国内では日本ペイントと並ぶ総合塗料メーカーのトップクラス。
- 特に自動車用塗料で国内首位。
- インド・アジア市場で高いシェアを持ち、インドはグループ最大の収益源。
- 競争優位性：グローバル展開力、現地密着型の製品開発、幅広い用途への対応力。
- 課題：欧州・中国市場の景気停滞、原材料高、為替・地政学リスク。
3. 経営戦略と重点分野
- 中期経営計画（第18次中計、2024年11月策定）
- テーマ：「事業・人材・エンゲージメントの強化」
- 重点方針
- 構造改革による収益性・効率性強化
- 製品開発とDX推進
- 人材育成と最適配置
- 最適資本構成に基づく投資と株主還元
- 2027年度に財務・非財務両方の中間目標達成を目指す。
- 地域別戦略：インド・アジアの成長、欧州の収益改善、日本の安定収益確保。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル：多様な塗料製品の製造・販売、グローバル分散型事業構造。
- 市場ニーズ適応力：自動車・建築・工業・船舶など幅広い用途、現地ニーズに応じた製品開発。
- 課題：原材料価格変動、為替リスク、各地域の経済情勢変化への対応力が求められる。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発：環境対応型塗料、耐久性・機能性向上製品、電子材料分野への展開。
- 主力製品：自動車用塗料（国内首位）、建築用・工業用・船舶用塗料。
- 独自性：現地市場に適した製品開発、塗装技術・設備の提供、電子材料・水処理材料など新分野にも進出。
6. 株価の評価
- 株価：2,131.5円（2025/7/25終値）
- EPS（予想）：204.29円
- PER（予想）：10.43倍（業界平均20.4倍）
- BPS（実績）：1,527.55円
- PBR（実績）：1.40倍（業界平均1.1倍）
- 配当利回り（予想）：2.63%
- 評価：PERは業界平均より低く、PBRはやや高め。利益成長鈍化や一過性損失の影響が株価に織り込まれている可能性。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：2,284円
- 年初来安値：1,895円
- 直近株価推移：2,000円台前半で推移、50日移動平均（2,017.56円）を上回り、200日移動平均（2,149.76円）をやや下回る。
- 直近10日間の値動き：2,000～2,150円のレンジで推移、出来高も安定。
- 評価：安値圏からやや反発傾向、上値は年初来高値が意識される。
8. 財務諸表分析
- 売上高：588,825百万円（前期比+4.7%）
- 営業利益：52,050百万円（前期比+0.9%）
- 経常利益：49,103百万円（前期比-14.9%）
- 純利益：38,306百万円（前期比-42.9%）
- 営業CF：34,966百万円（前期67,084百万円から減少）
- 自己資本比率：35.9%（前期44.9%から低下）
- ROE（実績）：13.23%
- ROA（実績）：4.52%
- 傾向：売上は堅調だが、利益・キャッシュフローは減少傾向。特別損失や一過性要因の影響が大きい。財務健全性はやや低下。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績・予想
- 2024年3月期：40円
- 2025年3月期：50円
- 2026年3月期（予想）：56円
- 配当性向：29.54%
- 配当利回り：2.63%（5年平均1.51%を上回る水準）
- 株主還元策：自社株買いの記載なし。安定配当を重視し、増配傾向。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム：直近は2,000円台前半で安定し、やや反発傾向。52週変動幅は1,895～2,714.5円。
- 信用取引動向：信用買残減少、信用売残増加。信用倍率1.56倍とやや売り圧力が強まる傾向。
- 投資家構成：機関投資家の保有比率が高い（61.68%）、インサイダー保有9.93%。
- 影響要因：業績見通し、為替・原材料価格、海外市場の景気動向。
11. 総評
関西ペイントは、国内外で高いシェアを持つ総合塗料メーカーであり、特にインド市場が成長を牽引しています。直近決算では売上は堅調に推移したものの、一過性損失や特別利益の剥落により利益面は減少、財務安全性もやや低下しています。PERは業界平均より低く、株価は割安感がある一方、今後の利益回復や海外市場の成長、原材料費・為替リスクへの対応が注目されます。配当は増配傾向で株主還元も意識されていますが、安定した利益成長の実現が今後の課題となります。
企業情報
| 銘柄コード | 4613 |
| 企業名 | 関西ペイント |
| URL | http://www.kansai.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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