1. 企業情報
中央自動車工業は、自動車部品・用品の開発、輸出入、販売、および関連サービスを提供する企業です。また、損害保険会社の全損認定車両の処分に関する業務を行う自動車処分事業も展開しています。主要な事業セグメントは「自動車部品・用品等販売事業」が全体の78%、「自動車処分事業」が22%（2025年3月期）を占めています。自社企画の自動車用品（コーティング剤など）の販売や、自動車補修部品の輸出も手掛ける自動車用品商社です。本社は大阪府にあります。
2. 業界のポジションと市場シェア
中央自動車工業は、自動車部品の卸売および補修部品の輸出、並びに自動車処分という特定のニッチ市場で事業を展開しています。
* 自動車部品・用品等販売事業: 国内新車販売台数の回復や部品不足の解消、堅調なインバウンド需要といった市場環境の影響を受けつつ、地域密着型営業の強化や高付加価値商材の拡販、新規顧客開拓に注力しています。海外市場においては、在庫調整の影響を受けることもあります。
* 自動車処分事業: 中古車市場の好況や円安が事業を後押しし、取扱台数が増加しています。
明確な市場シェアに関する数値データは提供されていませんが、同社は特定の事業領域において、経済状況や市場ニーズの変化に対応し、事業を推進しています。
3. 経営戦略と重点分野
中央自動車工業は、中期経営計画「未来のモビリティ社会における最良のパートナー」の実現を経営ビジョンとして掲げています。このビジョン達成のために、M&Aや新規事業、ベンチャー企業への投資を積極的に推進しています。具体的な施策としては、主要な「自動車部品・用品等販売事業」において地域密着型営業の強化、高付加価値商材の拡販、新規顧客開拓を重視し、「自動車処分事業」では中古車市場の動向に対応した効率的な業務遂行を目指しています。
4. 事業モデルの持続可能性
中央自動車工業の収益モデルは、自動車部品・用品の販売と自動車処分事業の2本柱です。
* 自動車部品・用品販売: 自動車の補修・メンテナンス需要は安定しており、新車供給の回復や国内外の車両保有台数の変化に合わせて変動する可能性があります。自社開発品の提供は、付加価値を高め、他社との差別化につながる可能性があります。
* 自動車処分事業: 中古車市場の需給や輸出環境（為替など）に影響を受けやすい特性があります。
同社は、非常に高い自己資本比率（87.7%）と潤沢な現金（235.6億円）を持つ強固な財務基盤を特徴としており、これが不安定な市場環境下でも事業を継続・発展させる上での大きな支えとなっています。M&Aや新規事業への投資を積極的に行う戦略は、将来のモビリティ社会の変化への適応と持続的な成長を目指すものと考えられます。
5. 技術革新と主力製品
中央自動車工業は、特定の技術革新に関する詳細な情報はありませんが、自社企画の自動車用品（コーティング剤など）を展開しています。収益を牽引しているのは、「自動車部品・用品等販売事業」であり、エンジン部品、フィルター、冷却部品、シャーシ部品、ブレーキ・クラッチ部品、電装部品、化学品、エアコン部品など多岐にわたる自動車部品・用品を取り扱っています。これらの幅広いラインナップが高収益性を支えていると考えられます。
6. 株価の評価
- 現在の株価: 1,951.0円
- PER（会社予想）: 11.97倍
- 業界平均PER（卸売業）は10.1倍であり、現在の同社のPERは業界平均より高い水準にあります。
- PBR（実績）: 1.93倍
- 業界平均PBR（卸売業）は0.7倍であり、現在の同社のPBRは業界平均より高い水準にあります。
同社のPERおよびPBRが業界平均よりも高い水準にあることは、市場が同社の健全な財務状況、安定した事業基盤、継続的な収益成長に対して一定の評価を与えている可能性を示唆しています。
7. テクニカル分析
現在の株価1,951.0円は、年初来高値1,987円に近く、比較的高値圏で推移しています。直近10日間の株価推移を見ると、1850円から1951円の範囲で緩やかな上昇傾向が見られます。50日移動平均線（1,831.26円）および200日移動平均線（1,644.52円）を大きく上回っており、短期および中期的に上昇トレンドにあることが示唆されます。出来高は直近10日平均（約39.52千株）と比べて本日（26.30千株）はやや少ない水準です。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去数年にわたり継続的に増加しており、2022年3月期から2025年3月期にかけて306億円から415億円へと順調に伸長しています。
- 営業利益・経常利益・純利益: 売上高と同様に、各利益項目も過去数年にわたり一貫して増加傾向にあります。2025年3月期は、営業利益110億円、経常利益124億円、親会社株主に帰属する当期純利益86億円を達成し、それぞれ前期比で順調な増益となっています。
- 収益性:
- 売上高営業利益率（2025年3月期実績）は26.6%と高い水準を維持しています。
- ROE（実績）は16.44%と効率的な株主資本の活用を示しています。
- ROA（過去12か月）は11.42%です。
- 安全性:
- 自己資本比率は87.7%（2025年3月期実績）と極めて高く、財務の安定性が非常に優れています。
- 流動比率（Current Ratio）は4.85と高く、短期的な支払い能力に余裕があります。
- 潤沢な現金及び現金同等物（205.6億円）を保有しています。
- キャッシュフロー:
- 営業活動によるキャッシュフローは安定的にプラスで推移しており、本業で着実に現金を創出しています。
- 2025年3月期は、投資活動によるキャッシュフローはマイナス、財務活動によるキャッシュフローもマイナスとなっており、事業拡大のための投資や株主還元が行われたことを示しています。
全体として、中央自動車工業は過去数年にわたる堅実な売上と利益の成長に加え、極めて健全な財務体質を維持していることが示されます。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 2.87%
- 1株配当（会社予想）: 56.00円（2026年3月期予想）
- 配当性向:
- 2025年3月期（実績）：33.7%
- 2026年3月期（予想）：34.4%
同社は、利益成長に合わせて配当を増加させる傾向が見られます。2025年3月期の実績年間配当額は株式分割考慮前の159円ですが、2025年4月1日に1株を3株に分割したため、分割後の1株あたり配当は53円に相当します。2026年3月期の予想配当は分割後換算で56円であり、増配を計画していることが示されます。具体的な自社株買いの発表は記載されていませんが、主要株主に自己株式が含まれており、過去に実施された可能性があることを示唆しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価の直近の変動傾向: 直近の株価は年初来高値圏で推移しており、50日・200日移動平均線を上回るなど、短期・中期的に上昇の勢いが見られます。年初来では18.24%上昇しており、S&P 500の同時期間の変動率（16.93%）を上回っています。
- 投資家関心: 信用買残が信用売残よりも多く、信用倍率は7.31倍です。株式分割により投資単位が引き下げられたことは、個人投資家にとっての買いやすさを高め、投資家関心を引く要因となる可能性があります。良好な決算内容や安定した財務基盤は、株価への好影響を与える要因と考えられます。
11. 総評
中央自動車工業は、自動車部品・用品販売と自動車処分事業を核に、安定的に成長を続けている企業です。過去数年にわたる売上高と利益の堅実な伸長は、事業の安定性と成長性を示しています。特に注目すべきは、自己資本比率87.7%という極めて強固な財務基盤であり、高い収益性（ROE16.44%、営業利益率26.6%）と相まって、経営の安定性と効率性が高い水準にあることがうかがえます。
中期経営計画ではM&Aや新規事業・ベンチャー投資を積極的に進める方針を掲げており、将来のモビリティ社会の変化に対応し、持続的な成長を目指す姿勢が見られます。
現在の株価は、年初来高値圏で推移しており、PERやPBRは業界平均と比較して高い水準にあります。これは、同社の安定した業績と健全な財務状況が市場から評価されている可能性を示唆しています。2025年4月1日には株式分割を実施しており、これにより投資単位が引き下げられ、より多くの投資家がアクセスしやすくなったと考えられます。配当面では、安定的な配当性向を維持しつつ、増配を予想するなど、株主還元への意識も見られます。
全体として、中央自動車工業は堅実な経営、健全な財務、そして将来の成長戦略を持つ企業であると考えられます。
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企業情報
| 銘柄コード | 8117 |
| 企業名 | 中央自動車工業 |
| URL | http://www.central-auto.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
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