瀧上工業(証券コード:5918)について、各種データに基づき企業分析を行います。

1. 企業情報

瀧上工業は、1895年創業の歴史を持つ企業で、主な事業は橋梁、鋼構造物の製造・建設です。特に、火力発電所向けの鉄骨に強みを持っています。事業の中心は公共性の高いインフラ整備であり、高速道路などの官公需への依存度が高い特徴があります。愛知県に主要な生産拠点を持ち、近年では橋梁の大規模保全工事にも注力しています。
連結事業の構成(2025年3月期実績)は、鋼構造物製造が売上高の87%を占めており、その他に不動産賃貸(4%)、材料販売(8%)、運送(0%)、工作機械(1%)の事業を展開しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

同社は「鉄骨・橋梁中堅」と位置づけられており、特定の市場における具体的な市場シェアは不明ですが、長年の実績と火力発電用鉄骨といった専門性の高い分野での強みが競争優位性と考えられます。一方で、高速道などの官公需への依存度が高いことは、公共投資の動向に業績が左右される可能性を持つ課題と言えます。
建設市場全体としては、国土強靭化計画やインフラ老朽化対策による需要が見込まれるものの、資材価格や労務費の高騰、建設業界全体の担い手不足、時間外労働の上限規制といった構造的な課題に直面しています。これらの課題は、同社の事業運営にも影響を与える可能性があります。

3. 経営戦略と重点分野

瀧上工業は「第5次中期経営計画」の2年目であり、創業130周年となる2025年度に向けて、事業利益の更なる向上を目指しています。具体的な戦略としては以下の点が挙げられます。
* 橋梁事業: 中部地区を重点とした受注戦略の推進と、大規模保全工事において異業種・地元企業およびグループ会社との連携を強化。
* 鉄骨・鉄構事業: 設備のフル稼働と作図能力の増強に加え、株式会社菊池鉄工所の連結子会社化によるシナジー効果の創出を目指しています。
* 不動産賃貸事業: 新築の大型マンション案件の稼働率向上に注力。
* 海外・新規事業: アスファルト添加剤のフィリピン全域への事業展開を推進。

4. 事業モデルの持続可能性

同社の収益モデルは、売上の大部分を占める鋼構造物製造事業が中心です。国土強靭化やインフラ老朽化対策といった国の政策に連動する官公需に支えられる構造は、一定の安定性をもたらすと考えられます。しかし、前述の通り資材・労務費の高騰や人手不足といった建設市場の課題は、収益性を圧迫する要因となる可能性があります。
事業の多角化として不動産賃貸、材料販売、運送、工作機械製造なども手掛けており、主力事業のリスクを分散し、市場ニーズの変化への適応力を高めようとする姿勢が見られます。

5. 技術革新と主力製品

瀧上工業の主力製品は、橋梁、鉄骨、その他の鋼構造物であり、中でも火力発電用鉄骨に強みを持っています。提供された情報からは具体的な技術革新に関する詳細は見られませんが、中期経営計画において作図能力の増強や子会社とのシナジー効果に言及していることから、生産効率や技術力の向上には継続的に取り組んでいるものと推察されます。

6. 株価の評価

現在の株価は6,520.0円です。各種指標を用いて現在の株価の評価を行います。
* PER(株価収益率):
* 会社予想EPS(連結): 291.29円
* 現在の株価: 6,520円
* 計算上のPER: 6,520円 ÷ 291.29円 = 約22.38倍
* 業界平均PER: 11.3倍
* 同社のPERは業界平均と比較して高水準にあると見受けられます。
* PBR(株価純資産倍率):
* 実績BPS(連結): 21,005.11円
* 現在の株価: 6,520円
* 計算上のPBR: 6,520円 ÷ 21,005.11円 = 約0.31倍
* 業界平均PBR: 0.5倍
* 同社のPBRは業界平均と比較して低水準にあり、純資産に対して株価が低く評価されている状態と見られます。

PERは高い一方でPBRは低いという状況は、市場が短期的な収益見通し(EPS)に比して、同社の保有する純資産価値を評価しきれていない、または今後の収益性改善への不透明感を反映している可能性が考えられます。

7. テクニカル分析

現在の株価(6,520円)は、年初来高値(8,850円)や52週高値(8,850円)と比較して安値圏に位置しています。年初来安値は6,450円であり、現在の株価はそれに近い水準です。
また、株価は50日移動平均線(6,822.80円)および200日移動平均線(7,038.20円)を下回っており、短期および中期的には下降トレンドにあることが示唆されます。直近10日間の株価推移を見ても、小幅な変動はあるものの、出来高が非常に少ない状況であり、市場の注目度は限定的と見られます。

8. 財務諸表分析

過去数年間の財務諸表を見ると、以下の傾向が見られます。
* 売上高: 2022年3月期の146.78億円から2025年3月期には238.40億円と増加傾向にあります。
* 営業利益: 2025年3月期は、大型鉄骨工事等における工事損失引当金計上により、▲3.8億円の営業損失を計上し、前年(6.2億円の営業利益)から大幅な悪化となりました。
* 経常利益: 営業損失の影響を受け、2025年3月期は3.3億円と前年比で72.3%の減益となりました。
* 純利益: 同様に、2025年3月期は2.0億円と前年比で79.7%の減益となりました。過去12ヶ月の diluted EPS は91.93円となっています。
* ROE(自己資本利益率): 過去12ヶ月実績で0.46%と低水準にあり、自己資本を効率的に活用して収益を生み出す力が現状では低い状況が見られます。
* ROA(総資産利益率): 過去12ヶ月実績で▲0.40%とマイナスとなっており、資産全体の収益性が損益分岐点を下回っている状況が見られます。
* 自己資本比率: 2025年3月期は67.4%と、高い水準を維持しており、財務基盤の安定性は高いと言えます。ただし、前年(76.2%)からは若干低下しています。
* キャッシュフロー: 営業活動によるキャッシュフローは36.2億円の収入となり、前年の支出から大幅に改善しました。期末の現金及び現金同等物も67.8億円と大幅に増加しています。流動比率(Current Ratio)も2.08と良好です。総負債を自己資本で割った比率(Total Debt/Equity)も10.86%と低く、負債は非常に少ない状況です。

全体として、財務安全性は高いものの、直近の収益性には課題が見られます。特に、主力事業における工事損失の発生が業績に大きな影響を与えています。

9. 株主還元と配当方針

同社は、2025年3月期の年間配当金として1株当たり100円(中間50円、期末50円)を予想しており、これは2024年3月期の実績50円から増配となる予定です。
* 配当利回り(会社予想): 1.53%
* 配当性向:
* 過去12ヶ月の希薄化後EPS(91.93円)に対する配当性向は約109.09%であり、実績ベースでは純利益を上回る配当となっており高水準です。
* しかし、会社予想EPS(291.29円)に基づく配当性向は約34.3%となり、今後の業績回復が期待される場合は相対的に持続可能な水準に見えます。

株主還元策としては、配当の他に自己株式も保有しており、株主還元への意識は伺えます。

10. 株価モメンタムと投資家関心

直近の株価は、年初来安値圏で推移しており、50日および200日移動平均線を下回っていることから、下降モメンタムの中にあります。過去52週間の株価変動率は-13.53%であり、市場全体の動き(S&P 500の+16.93%)とは逆行する動きとなっています。
出来高は非常に少なく、直近10日間で500株程度の取引しか見られない日が多く、市場からの投資家関心は限定的であると見られます。信用取引においても、信用買残は1,400株あるものの、信用売残は0株となっており、信用倍率は0.00倍と、市場参加者が少ない状況が伺えます。これらの状況は、今後の株価の大きな変動要因としては、業績の進捗や市場の注目を集めるような新たな材料が重要になる可能性を示唆しています。

11. 総評

瀧上工業は、長年の歴史を持つ橋梁・鉄骨の中堅企業として、高い自己資本比率と潤沢な手元資金を持ち、強固な財務基盤を築いていると評価できます。インフラ老朽化対策などの継続的な需要が見込まれる市場で事業を展開しています。
一方で、2025年3月期は主力事業における工事損失の計上により、営業利益が大幅な赤字となるなど、収益性が大きく悪化しました。これにより、EPSも大きく減少し、実績EPSに対する配当性向は100%を超える水準となっています。ただし、会社予想EPSに基づく配当性向は持続可能な水準に見えます。
株価は年初来の安値圏で推移しており、テクニカル的には下降トレンドにあります。PERは業界平均より高く、PBRは業界平均より低いという評価の分かれる状況です。出来高が少なく流動性も限定的であるため、市場の関心は現時点では高くないと考えられます。
今後の鍵は、主力事業の収益性改善とその計画の進捗、そして建設市場が抱える構造的な課題(資材・労務費高騰、担い手不足)への対応策が、同社の業績にどのように寄与していくかにあると言えるでしょう。


企業情報

銘柄コード 5918
企業名 瀧上工業
URL http://www.takigami.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 建設・資材 – 金属製品

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By ジニー

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