1. 企業情報
- 企業名：アステナホールディングス株式会社
- 設立：1941年9月20日
- 所在地：東京都中央区日本橋本町4-8-2
- 従業員数：1,420人
- 事業内容：
- 医薬品・原料商社を起点に、後発薬（ジェネリック医薬品）、医薬品受託製造（CDMO）、表面処理薬品の製造など、多角的に事業を展開。
- 主要セグメントは「ファインケミカル」「HBC・食品」「医薬」「化学品」「その他」。
- 医薬品原料や化粧品原料、機能性食品素材、電子部品向け化学品など多岐にわたる製品・サービスを提供。
- M&Aを積極的に活用し、事業ポートフォリオの拡大を図っている。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界区分：商社・卸売（卸売業）
- 競争優位性：
- 医薬品原料・ジェネリック医薬品・CDMO・表面処理薬品の4本柱で事業を多角化。
- 医薬品業界では、原料調達から製造受託まで一貫したサービスを提供できる点が強み。
- 化粧品・食品原料分野、電子部品向け化学品分野でも存在感。
- 課題：
- 医薬品分野は薬価改定や規制強化の影響を受けやすい。
- 競合他社も多く、価格競争や技術革新への対応が求められる。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略：
- 2030年を見据えた中長期ビジョンと、2026年までの中期経営計画を推進。
- M&Aや新規事業開発を通じた成長を志向。
- 重点施策：
- ファインケミカル事業：CDMOサービス強化、コスト削減、営業活動の拡大。
- HBC・食品事業：自社企画化粧品・輸入化粧品の販売強化、営業効率化。
- 医薬事業：医療用医薬品・専売化粧品の新製品拡販。
- 化学品事業：半導体・電子部品向け表面処理薬品の拡販。
- その他：ソーシャルインパクト事業（地域活性化等）の推進。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル：
- 医薬品・化学品の原料調達から製造・販売・受託まで、幅広いバリューチェーンを構築。
- 化粧品・食品分野ではOEMや自社ブランド展開も実施。
- 市場ニーズへの適応：
- 医薬品分野では薬価改定や規制変化への対応が不可欠。
- 電子部品・半導体市場の成長を取り込むなど、需要変動への柔軟な対応力が求められる。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向・独自性：
- 医薬品CDMO（受託開発・製造）分野でCMC研究やAPI製造に強み。
- 表面処理薬品では電子部品・半導体向けの高付加価値製品を展開。
- 主力製品・サービス：
- 医薬品原料、ジェネリック医薬品、化粧品原料（1,3-ブチレングリコール等）、機能性食品素材、表面処理薬品。
- 医療機関専売化粧品（NAVISION DRブランド）なども収益に寄与。
6. 株価の評価
- 株価：487円（2025年7月25日終値）
- 予想EPS：44.66円
- 実績BPS：640.83円
- PER（予想）：10.90倍（業界平均12.1倍）
- PBR（実績）：0.76倍（業界平均1.0倍）
- 評価：
- 業界平均と比較してPER・PBRともに割安な水準。
- BPSと比較しても株価は純資産価値を下回る水準。
7. テクニカル分析
- 株価推移：
- 年初来高値：495円、年初来安値：387円
- 直近株価（487円）は高値圏に近いが、年初来高値を明確に抜けてはいない。
- 50日移動平均：470.62円、200日移動平均：469.14円と比較して、やや上方に位置。
- 直近10日間は480円台後半でのもみ合いが続いている。
- 信用取引：
- 信用買残はやや多め（信用倍率20.97倍）だが、売残は減少傾向。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益：
- 2024年11月期売上高：57,993百万円（前年比11.6%増）
- 営業利益：2,815百万円（前年比149.6%増）
- 親会社株主に帰属する当期純利益：△2,525百万円（赤字転落）
- キャッシュフロー：
- 営業CF：4,848百万円（プラス）
- 投資CF：△2,937百万円（設備投資等）
- 財務CF：△2,651百万円（借入返済・配当等）
- 現金同等物：5,978百万円
- ROE・ROA：
- ROE（実績）：-9.43%
- ROA（実績）：3.50%
- 自己資本比率：
- 38.9%（財務健全性は一定水準）
- 過去数年の傾向：
- 売上・営業利益は増加傾向だが、2024年は特別損失等により純利益が赤字。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）：3.70%
- 1株配当（予想）：18.00円
- 配当性向（予想）：33.94%
- 自社株買い：自己株式保有はあるが、積極的な自社株買いの動きは直近で確認できず。
- 過去の配当実績：安定的な配当を維持。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム：
- 直近は480円台後半～490円台での推移が多く、やや高値圏でのもみ合い。
- 出来高は平均的で、短期的な急騰・急落は見られない。
- 投資家関心：
- インサイダー保有率21.3%、機関投資家保有率15.24%と、一定の安定株主が存在。
- 業績の回復や配当利回りに注目が集まる可能性。
11. 総評
アステナホールディングスは、医薬品・化学品・化粧品原料など多角的な事業展開を進めており、CDMOや表面処理薬品など成長分野にも注力しています。2024年11月期は売上・営業利益ともに大幅増加となった一方、特別損失等の影響で純利益は赤字となりました。財務の健全性は一定水準を維持しており、配当利回りも業界平均を上回る水準です。株価は業界平均と比較して割安感が見られ、直近は高値圏でもみ合いが続いています。今後は、事業構造改革や成長分野での収益拡大が注目されます。
企業情報
| 銘柄コード | 8095 |
| 企業名 | アステナホールディングス |
| URL | https://www.astena-hd.com/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
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