1. 企業情報
事業内容:
エーアイテイー(AIT)は、主に中国・東南アジア地域を中心とした国際貨物混載(NVOCC)を主力事業とする総合物流企業です。海上・航空貨物輸送、通関業務、倉庫・荷役、国内輸配送などを一貫して提供し、特に日中間の海上貨物輸送(アパレル・日用雑貨等の輸入)に強みを持っています。加えて、コンテナや輸送機器の販売・輸出入、各種商品の取扱いも行っています。本社は大阪市中央区。
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション:
エーアイテイーは、関西を中心とした国際複合一貫輸送業者の中で、日中間の海上輸送において高いシェアと実績を有しています。国内大手物流企業と比べると規模はやや小さいものの、特定地域・特定商材(アパレル等)に特化した強みを持ち、競争優位性を確立しています。
課題:
- 海上運賃や為替の変動による収益の不安定化
- 物流業界全体の人手不足やコスト上昇
- グローバルサプライチェーンの変化への対応
3. 経営戦略と重点分野
経営ビジョン・戦略:
- 日中間輸送の強化と新規顧客開拓
- 既存顧客との取引深耕
- 海上運賃の価格改定交渉による利益確保
- ASEAN地域での事業拡大
中期経営計画:
- 具体的な数値目標や施策の記載はありませんが、売上・利益の持続的成長、収益性向上、海外展開強化が重点分野とみられます。
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル:
- 国際貨物輸送(海上・航空)が売上のほぼ100%を占める
- 通関・倉庫・国内配送などの付帯サービスで付加価値を創出
適応力:
- 海上運賃や為替の変動リスクがある一方、アパレル・日用雑貨等の安定した需要層を持つ
- ASEANや中国など成長市場への展開でリスク分散を図っている
5. 技術革新と主力製品
技術開発の動向:
- 目立った独自技術やイノベーションの記載はありませんが、物流業務の効率化や情報システムの強化に注力
主力サービス:
- 日中間の海上貨物混載輸送
- 通関業務
- ASEAN地域での国際輸送
6. 株価の評価
- 株価:1,856円(2025/7/28時点)
- 予想EPS:134.93円
- PER(予想):13.82倍(業界平均14.8倍よりやや割安)
- BPS(実績):797.37円
- PBR(実績):2.34倍(業界平均1.1倍より高い)
- 配当利回り(予想):4.83%
評価:
PERは業界平均より低めで割安感があり、配当利回りも高水準。一方、PBRは業界平均を上回り、株価には一定の成長期待が織り込まれています。
7. テクニカル分析
- 年初来高値:1,867円(直近で更新)
- 年初来安値:1,403円
- 50日移動平均:1,772.50円
- 200日移動平均:1,721.07円
- 直近終値:1,856円(高値圏)
分析:
株価は年初来高値圏にあり、50日・200日移動平均線を上回っています。短期的には強いモメンタムが見られます。
8. 財務諸表分析
売上・利益推移(過去3期)
決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 純利益(百万円) | EPS(円) |
---|---|---|---|---|
2023/2 | 69,463 | 5,289 | 3,684 | 156.85 |
2024/2 | 51,400 | 4,329 | 2,989 | 127.23 |
2025/2 | 55,638 | 4,074 | 3,047 | 129.72 |
- 2023年2月期に一時的な売上高の大幅増加が見られたが、その後は安定的に推移
- 2026年2月期第1四半期は増収・増益基調(売上高前年同期比+14.4%、純利益+14.3%)
財務健全性
- 自己資本比率:74.6%(高水準)
- ROE:16.67%(高収益性)
- ROA:9.97%
- キャッシュ比率・流動比率:良好(流動比率4.20)
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績・予想:2025年2月期80円 → 2026年2月期予想90円(増配傾向)
- 配当利回り:4.83%(高水準)
- 配当性向:61.67%
- 自社株買い:自己株式保有あり(1.76%)
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近10日間の株価:安定した上昇基調で年初来高値を更新
- 信用倍率:245倍(信用買い残多く、売り残極少)
- 出来高:平均的
- 株主構成:経営陣・関係会社の保有比率が高く、安定株主が多い
11. 総評
エーアイテイーは、日中間の海上貨物混載輸送に強みを持つ総合物流企業です。直近ではアパレル商材の荷動きや運賃水準の高さ、通関受注件数の増加などを背景に増収・増益基調が続いています。財務基盤は非常に健全で、自己資本比率・ROEともに高水準。配当利回りも高く、株主還元姿勢が強い点が特徴です。株価は年初来高値圏にあり、モメンタムも強い状況です。今後は、海上運賃や為替の変動、グローバル物流の構造変化など外部環境への適応が引き続き重要となります。
企業情報
銘柄コード | 9381 |
企業名 | エーアイテイー |
URL | http://www.ait-jp.com/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 運輸・物流 – 倉庫・運輸関連業 |
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