1. 企業情報

概要

タカラバイオ株式会社は、ライフサイエンス分野を中心に、遺伝子研究用試薬・機器の販売、再生医療や遺伝子医療のCDMO(開発製造受託)サービス、遺伝子解析・検査サービスを展開しています。主力は研究用試薬(売上比率71%)で、iPS細胞や再生医療分野にも積極的に進出。海外売上比率も67%と高く、グローバルに事業を展開しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

業界内ポジション

バイオテクノロジー分野において国内最大級の研究用試薬メーカーの一つ。PCR関連技術や遺伝子解析技術で高いシェアを持ち、再生医療や遺伝子治療分野でも独自技術を保有。

競争優位性・課題

独自技術(RetroNectin等)やグローバル展開が強み。一方で、ライフサイエンス産業の景気変動や新型コロナ関連製品の需要減少、海外競合との競争激化が課題。

3. 経営戦略と重点分野

経営ビジョン・戦略

「長期経営構想2025」「中期経営計画2025」のもと、研究用試薬・機器事業とCDMO事業を両輪とし、バイオ創薬基盤技術の開発に注力。

重点施策

  • 次世代シーケンシング(NGS)、シングルセル・空間解析分野への注力
  • CDMO事業の強化(特に遺伝子・細胞治療分野)
  • M&Aによる新技術・市場獲得(例:Curio Bioscience買収)
  • グローバル展開の加速

4. 事業モデルの持続可能性

収益モデル

主力の研究用試薬・機器販売に加え、受託サービス(CDMO、遺伝子解析)が収益源。研究開発型であり、技術革新や市場ニーズ変化への適応が不可欠。

適応力

NGSや再生医療分野など成長市場へのシフト、M&Aによる技術強化など、市場変化への対応力を備える一方、コロナ関連需要減少等の影響も受けやすい。

5. 技術革新と主力製品

技術開発動向・独自性

  • RetroNectin(遺伝子治療製造用材料)など独自技術を保有
  • NY-ESO-1 siTCR遺伝子治療製品の開発
  • JAK/STAT技術、CereAAV™(脳指向型AAVベクター)など先端領域にも取り組み
  • 空間解析技術強化(Curio Bioscience買収)

収益牽引製品・サービス

  • 研究用試薬(PCR関連、細胞工学関連)
  • CDMOサービス(遺伝子・細胞治療製造受託)
  • 遺伝子解析・検査サービス

6. 株価の評価

指標比較

  • 株価:864円
  • 予想PER:80.0倍(業界平均20.4倍より大幅に高い)
  • 実績PBR:0.90倍(業界平均1.1倍より低い)
  • 予想EPS:10.80円
  • 実績BPS:959.19円

評価

利益水準が低下しPERは高水準だが、PBRは1倍を下回る。利益回復が見込まれるかが今後の焦点。

7. テクニカル分析

  • 直近株価は864円。
  • 年初来高値:1,058円、年初来安値:711円
  • 50日移動平均:795.94円、200日移動平均:906.97円
  • 直近10日で800円台前半から上昇傾向。
  • 現在は移動平均線を上回り、年初来高値からは下落しているが、安値圏からはやや回復。

8. 財務諸表分析

売上・利益動向

  • 2025年3月期売上高:45,039百万円(前期比+3.5%)
  • 営業利益:2,263百万円(前期比-24.6%)
  • 純利益:1,041百万円(前期比-29.6%)
  • 営業利益率:5.0%(前期6.9%)

キャッシュフロー

  • 営業CF:5,844百万円(前期比増加)
  • 投資CF:-10,912百万円(積極投資傾向)
  • 財務CF:-2,256百万円

安全性・効率性

  • 自己資本比率:92.2%(極めて高い)
  • ROE:0.92%、ROA:1.15%(収益性は低下傾向)

9. 株主還元と配当方針

配当実績・方針

  • 年間配当:17円(配当利回り約1.97%)
  • 配当性向:196.5%(利益水準に対して高め)
  • 5年平均配当利回り:1.8%
  • 自社株買い等の特別還元策は現時点で確認できず

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 直近10日間で株価は800円台前半から860円台へ上昇傾向
  • 52週高値からは下落しているが、安値からは回復
  • 出来高も増加傾向
  • 信用買残は減少傾向、信用倍率は8.45倍とやや高め
  • インサイダー保有比率が高く(約62%)、流動性はやや限定的

11. 総評

タカラバイオは、バイオテクノロジー分野で独自技術とグローバル展開を強みとし、研究用試薬・CDMO事業で安定した売上基盤を持っています。一方で、収益性は直近で大きく低下しており、PERは高水準、PBRは1倍を下回る水準となっています。財務安全性は非常に高いものの、今後の利益回復や成長戦略の実現が注目されます。配当利回りは業界平均並みですが、配当性向は高く、利益成長が伴わない場合は持続性に注意が必要です。株価は直近で反発傾向にありますが、業績動向や市場環境の変化が今後の株価に影響を与える要因となります。


企業情報

銘柄コード 4974
企業名 タカラバイオ
URL http://www.takara-bio.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

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By シャーロット

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