JMS (7702) 企業分析レポート
東京証券取引所スタンダード市場に上場しているJMS(証券コード: 7702)について、提供されたデータに基づき分析を行います。
1. 企業情報
JMSは、広島に本社を置く使い捨て医療器具の大手メーカーです。主に輸液・栄養、透析、外科治療、血液・細胞管理の4つの領域で医療機器や医薬品の製造、販売、輸出入を行っています。特に透析機や輸液セットに強みがあり、日本国内だけでなく、シンガポール、インドネシア、中国、フィリピン、韓国など国際的にも事業を展開し、海外市場の開拓に積極的です。従業員数は5,469人、平均年齢は40.4歳です。
2. 業界のポジションと市場シェア
JMSは「使い捨て医療器具大手」と紹介されており、医療機器業界において一定の存在感を持つ企業と考えられます。輸液・栄養、透析といった生命維持に関わる分野の製品を手掛けており、安定した需要が見込まれます。高齢化や慢性疾患の増加を背景に、医療機器市場はグローバルに安定した成長が見込まれており、特に在宅医療や診断・治療支援といった分野でのニーズ増が指摘されています。JMSの積極的な海外展開は、特定の地域に依存しない事業構造を目指す上で競争優位性となり得ます。具体的な市場シェアに関するデータは提供されていませんが、業界内での主要プレイヤーとして、製品ラインナップや地域展開で差別化を図っていると推測されます。
3. 経営戦略と重点分野
JMSは「中期経営計画2027」を掲げ、事業運営を進めています。この計画では、原材料費等のコスト上昇の影響を吸収するための価格転嫁推進と原価低減に重点を置き、持続的な企業価値向上を目指す方針です。具体的な施策としては、決算短信において日本市場での医療用手袋やプレフィルドシリンジ製剤、薬剤調製・投与クローズドシステム、摂食嚥下関連用品の販売強化が挙げられています。海外では、シンガポールでの成分献血用回路や血液バッグ、中国でのAVF針や人工腎臓用血液回路の販売拡大に注力しており、グローバルでの売上成長を目指しています。
4. 事業モデルの持続可能性
JMSの事業モデルは、医療現場で不可欠な使い捨て医療器具や装置の提供を主軸としています。これらの製品は、衛生管理や医療行為の安全性を確保するために継続的な需要があります。特に高齢化が進行する中、透析治療や輸液、在宅医療へのニーズは今後も増加が見込まれるため、事業基盤は比較的安定していると言えます。複数の領域と地域で事業を展開することで、特定分野のリスクを分散し、市場ニーズの変化への適応を図っています。
一方で、近年の原材料費や輸送費の高騰、激しい販売競争、賃上げなどによるコスト増は収益性を圧迫する要因となっており、価格転嫁や原価低減が事業モデルの効率性を維持する上で重要な課題です。
5. 技術革新と主力製品
JMSは、輸液・栄養、透析、外科治療、血液・細胞管理の各領域で多様な製品を開発・提供しています。
* 輸液・栄養領域: ニードルレスアクセスポート、クローズド薬物混合・輸液システム、輸液ポンプ、経口・経腸栄養システムなど。
* 透析領域: 血液透析装置、腹膜透析液、APD(自動腹膜透析)装置など。
* 外科治療領域: 人工肺、心肺バイパス血液回路セットなど、心臓外科手術や循環器内科で使用される製品。
* 血液・細胞領域: 血清採取セット、血液バッグなど。
特に、プレフィルドシリンジ製剤や薬剤調製・投与クローズドシステムの販売が堅調に推移していることは、技術力や顧客ニーズへの対応力を示唆しています。
6. 株価の評価
現在の株価は441.0円です。
* PER(会社予想): 54.04倍
* PBR(実績): 0.26倍
* EPS(会社予想): 8.16円
* BPS(実績): 1,666.51円
JMSのPER(予想)54.04倍は、業界平均PER17.5倍と比較して高い水準です。これは、当期純利益水準が相対的に低いため、1株当たり純利益(EPS)が小さくなり、結果としてPERが高く算出されるためと考えられます。
一方、PBR(実績)0.26倍は、業界平均PBR1.1倍と比較して大幅に低い水準です。これは、現在の株価が1株当たり純資産価値(BPS)1,666.51円に対して約0.26倍の評価を受けていることを示しており、市場からの評価が簿価に対して割安である可能性があります。
7. テクニカル分析
現在の株価441.0円は、年初来高値492円、年初来安値405円の間に位置しています。
直近10日間の株価は431円から441円の範囲で推移しており、大きな変動は見られず、比較的横ばいの動きが続いています。
50日移動平均線は428.84円、200日移動平均線は446.12円です。現在の株価は50日移動平均線よりは上に位置していますが、200日移動平均線よりは下に位置しており、中長期的なトレンドとしてはやや弱い可能性があります。直近の動きはレンジ内での推移です。
損益計算書 (年度別比較)
- 売上高: 過去数年間で増加傾向にあり、2025年3月期は69,749百万円(前期比6.8%増)と増収を達成しています。
- 営業利益: 2024年3月期は営業損失を計上していましたが、2025年3月期は賃上げや原材料高騰の影響がある中で、増収効果と価格転嫁の推進により872百万円の営業利益を計上し、黒字転換しました。
- 経常利益: 2025年3月期は514百万円と前期比252.7%増と大幅に改善しました。
- 親会社株主に帰属する当期純利益: 2025年3月期は89百万円と、前期の純損失から黒字転換しました。
- 利益率: 過去12か月の実績では、売上総利益率22.8%、営業利益率0.32%、純利益率0.13%と、売上高は伸長しているものの、利益率は依然として低い水準にあります。
キャッシュフロー計算書
- 営業活動によるキャッシュ・フロー: 2025年3月期は1,467百万円のプラスでした。事業活動によりキャッシュを生み出していますが、前期からは減少しています。
- 投資活動によるキャッシュ・フロー: 2025年3月期は△3,132百万円のマイナスで、設備投資を積極的に行っていることを示唆しています。
- 財務活動によるキャッシュ・フロー: 2025年3月期は△3,186百万円のマイナスで、借入金の返済などが行われたことを示唆しています。
- 事業活動で得たキャッシュフローだけでは設備投資を賄いきれていない状況が見られます。
貸借対照表
- 自己資本比率: 2025年3月期は50.1%と、高い水準を維持しており、財務基盤は比較的安定していると言えます。
- 総負債/純資産: 2025年3月期は59.99%であり、負債は純資産の約6割に留まっており、過度な負債負担は見られません。
- 流動比率: 2025年3月期は1.79倍で、短期的な支払い能力に問題はないと考えられます。
効率性指標
- ROE(実績): 0.22%
- ROA(過去12か月): 0.66%
- ROE、ROAともに非常に低い水準であり、自己資本や総資産を効率的に活用して利益を生み出す点には課題があると言えます。
9. 株主還元と配当方針
JMSは株主還元として配当を実施しており、2025年3月期の1株配当は17.00円(中間8.50円、期末8.50円)であり、配当利回りは3.85%(会社予想)となる見込みです。2024年3月期の実績、2025年3期の実績、そして2026年3月期(予想)も同額の1株配当17.00円を維持する方針であり、安定的な配当継続への意欲がうかがえます。
しかし、配当性向は、会社予想EPS8.16円に対して17.00円の配当であるため、465.75%と非常に高い会計上の比率となっています。これは、当期純利益の水準が低いため、利益の多くまたはそれ以上を配当に充てている状況を示しています。自社株買いに関する情報は提供されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は、431円から441円のレンジで推移しており、明確な上昇または下降のモメンタムは見られず、横ばいの傾向です。
過去3ヶ月および10日間の平均出来高はそれぞれ約29.82k株、約28.74k株と、やや流動性は低いと言えます。
信用取引においては、信用買残が266,700株と前週比で増加しており、信用売残は2,400株と減少しています。この結果、信用倍率は111.13倍と非常に高い水準にあります。信用買い残が積み上がっている状況は、将来的な売り圧力となる可能性を内包しています。
11. 総評
JMSは、日本の医療機器業界において、使い捨て医療器具を中心に輸液、透析、外科治療、血液・細胞管理といった複数の専門分野で事業を展開する企業です。高齢化や慢性疾患の増加を背景に安定した市場ニーズを持つ一方で、積極的な海外展開により成長機会を追求しています。
2025年3月期は売上高が増加し、前期の最終赤字から黒字転換を達成しましたが、利益率は依然として低く、ROE・ROAといった資本効率を示す指標も低い水準にあります。この点から、中期経営計画での目標である価格転嫁や原価低減による収益性改善が、今後の業績回復および持続的な成長に向けた重要な課題となるでしょう。
株価の評価においては、PERが業界平均と比べて高い一方で、PBRは大幅に低い水準にあります。これは、現在の株価が純資産価値に対して割安に評価されている可能性を示唆しています。株主還元政策については、利益水準が低い中においても安定的な配当を継続する方針が見られ、配当利回りは高い水準です。
テクニカル分析では、株価は直近で横ばいの傾向にありますが、中長期的なトレンドは弱い可能性があります。信用買い残の積み上がりは、今後の需給動向を注視すべき点となるでしょう。
JMSの今後の注目点は、中期経営計画を着実に遂行し、収益性をどこまで改善できるかにあると考えられます。
企業情報
銘柄コード | 7702 |
企業名 | JMS |
URL | http://www.jms.cc/ |
市場区分 | スタンダード市場 |
業種 | 電機・精密 – 精密機器 |
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証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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