1. 企業情報
- 事業内容
テイ・エス テックは自動車用シートや内装部品の開発・製造・販売を主力とする企業です。主に四輪車用シート（フロント・ミッド・リア）、ドアトリム、二輪車用シート、医療用チェア、レジャー用製品などを手掛けています。売上の約9割がホンダグループ向けであり、ホンダ系部品メーカーとしての色合いが強いです。日本国内だけでなく、米州・中国・アジア・欧州にも生産・販売拠点を持ち、グローバルに展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 競争優位性と課題
テイ・エス テックはホンダ向けOEM供給で安定した取引基盤を持ち、ホンダのグローバル展開と連動した成長が期待されます。一方で、売上の大半をホンダに依存しているため、ホンダの販売動向や方針変更、日系メーカーの中国市場での不振などが業績に大きく影響します。自動車業界全体のEVシフトや世界的な開発計画見直しの影響も注視が必要です。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣のビジョン・戦略
中期経営計画（第15次中期経営計画：2024～2026年）では「業績に左右されない、継続的かつ安定的な株主還元」を掲げています。自己株式取得・消却や安定配当の実施を基本方針とし、グローバル生産体制の強化、自動化・効率化による収益力向上、新規事業領域の開拓にも取り組んでいます。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルと市場変化への適応力
自動車メーカー（特にホンダ）向けに安定した受注を持つ一方、顧客依存度が高い点がリスクです。EVシフトやCASE（コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化）対応など、業界構造変化への適応力が今後の持続成長の鍵となります。生産自動化や新規用途開発も進めています。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向・独自性
シートの軽量化・高機能化、快適性・安全性向上を目指した技術開発を推進。生産現場の自動化や新素材の活用も進めています。主力製品は四輪車用シートで、ホンダの主要車種向けに多数採用されています。医療用チェアやレジャー向け製品など、非自動車分野への展開も模索中です。
6. 株価の評価
- バリュエーション指標
- 株価：1,813円
- 予想PER：22.77倍（業界平均13.3倍より高い水準）
- 実績PBR：0.71倍（業界平均0.8倍より低い水準）
- EPS（会社予想）：79.66円
- BPS（実績）：2,568.48円
- 配当利回り（予想）：4.96%（高水準）
現在の株価は、利益水準に対してやや割高感が見られる一方、PBRや配当利回りは相対的に魅力的な水準です。
7. テクニカル分析
- 株価推移と位置づけ
- 年初来高値：1,825円
- 年初来安値：1,396円
- 直近株価：1,813円
- 50日移動平均：1,682.10円
- 200日移動平均：1,695.24円
直近で年初来高値圏にあり、移動平均線を上回る推移です。短期的に高値圏にあると考えられます。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益・キャッシュフロー等の推移
- 売上高：460,514百万円（前期比+4.3%）
- 営業利益：16,428百万円（前期比-6.2%）
- 当期純利益：8,630百万円（前期比-15.5%）
- 営業CF：28,713百万円（前期比-8,945百万円）
- 自己資本比率：70.8%（高水準）
- ROE（実績）：2.73%
- ROA（実績）：2.30%
- 利益率は低下傾向、特に中国・アジア欧州セグメントで減益が目立ちます。
- 現金水準は高いものの、自己株取得や配当で減少傾向。
- フリーキャッシュフローはマイナス。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り・配当性向等
- 予想配当：90円／株
- 予想配当利回り：約4.96%（高水準）
- 配当性向：117.41%（利益水準に対し高い）
- 自己株式取得・消却も積極的に実施
- 「安定的な株主還元」を中期経営計画の柱としています
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価動向
- 直近10営業日で1800円台前半～後半で推移し、出来高も安定
- 年初来高値圏で推移し、短期的な上昇モメンタムが見られます
- 信用買残はやや減少傾向、信用倍率は1.66倍と落ち着いた水準
- 配当利回りの高さからインカム投資家の関心が強いと考えられます
11. 総評
テイ・エス テックはホンダ向けOEM供給を軸に、グローバルに自動車用シート・内装部品を展開する企業です。財務体質は健全で、自己資本比率や現金水準も高い一方、利益率やROEは低下傾向にあります。中国市場の不振や原材料コスト上昇、為替影響など課題も多いですが、米州での収益改善や生産自動化による効率化も進んでいます。株主還元に積極的で、配当利回りは高水準です。株価は年初来高値圏で推移しており、短期的なモメンタムも強い状況です。今後は業界構造変化への適応力や、ホンダ以外への販路拡大、新規事業の進展が注目されます。
企業情報
| 銘柄コード | 7313 |
| 企業名 | テイ・エス テック |
| URL | http://www.tstech.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 自動車・輸送機 – 輸送用機器 |
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