1. 企業情報
- 社名: ハリマ化成グループ株式会社
- 設立: 1947年11月18日
- 本社所在地: 大阪市中央区今橋4-4-7
- 従業員数: 1,695人
- 事業内容: 松ヤニ由来のロジン（トール油）を原料とした化学品の大手メーカー。
主力は「樹脂・化成品（印刷インキ・塗料・接着剤用樹脂等）」「製紙用薬品（紙力増強剤・サイズ剤等）」「電子材料（はんだ付け材料など）」「ローター（米国子会社によるロジン製品）」の4事業。
海外売上比率が高く、グローバル展開を強化。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: 松ヤニ化学分野のパイオニアで、特に製紙用薬品・トール油分野で高いシェアを持つ。
米国ローター社を傘下に持ち、グローバルなロジン製品供給体制を確立。
– 競争優位性: 独自原料調達力と長年の技術蓄積、海外展開力が強み。
– 課題: 原材料価格の変動、為替リスク、海外経済の不透明感、競争激化。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン: 安定配当と内部留保の充実を両立し、経営基盤強化・財務体質強化・研究開発・生産体制の整備に注力。
- 重点分野・施策:
- 海外事業の拡大（特にアジア・北米）
- 付加価値の高い製品開発（電子材料・水系粘着剤等）
- コスト削減・生産効率化
- 研究開発投資強化
- 中期計画: 具体的な数値目標等は開示されていないが、安定配当と成長投資の両立を重視。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: BtoB型で、製紙・印刷・電子・自動車・建材等の幅広い産業に素材・薬品を供給。
- 市場ニーズへの適応力: 環境対応型製品（バイオマス由来、VOC低減等）や電子材料分野での技術革新に対応。
海外市場の成長を取り込みつつ、安定した国内需要も維持。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向: ロジン化学品の高度利用技術、環境対応型樹脂・粘着剤、電子材料向け高機能樹脂等を開発。
- 主力製品・サービス:
- 印刷インキ用樹脂・塗料用樹脂
- 製紙用薬品（紙力増強剤、サイズ剤等）
- 電子材料（はんだ付け材料、熱交換器用ろう付け材料）
- ローター社の粘接着剤用樹脂
- 独自性: 松ヤニ由来のバイオマス原料、グローバルな供給体制。
6. 株価の評価
- 株価: 832円（2025/7/29終値）
- EPS（会社予想）: 49.45円
- BPS（実績）: 1,538.53円
- PER（会社予想）: 16.83倍
- PBR（実績）: 0.54倍
- 業界平均: PER 20.4倍、PBR 1.1倍
- 評価: 業界平均と比較してPER・PBRともに割安水準。BPSに対し株価は大きく下回っている。
7. テクニカル分析
- 年初来高値: 896円
- 年初来安値: 753円
- 直近株価推移: 直近10日間は800円台前半で安定。50日移動平均（794円）より上、200日移動平均（837円）付近。
年初来安値圏からはやや反発傾向だが、年初来高値には届いていない。
– 信用取引: 信用買残が大幅に多く、信用倍率が高い（79.82倍）。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 1,010億円（前期比+9.4%）
- 営業利益: 21億円（前期は赤字）
- 純利益: 7.6億円（前期は赤字）
- 営業利益率: 2.1%
- ROE: 2.05%
- ROA: 1.31%
- 自己資本比率: 37.3%
- キャッシュフロー: 営業CFはプラス（61億円）、投資・財務CFはマイナス（設備投資・出資等）。
- 傾向: 前期の赤字から黒字転換。売上は堅調だが、利益率は低い水準にとどまる。有利子負債比率は高め（Debt/Equity 111.98%）。
- セグメント別: 製紙用薬品・ローターが好調、電子材料は増収減益。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 5.05%
- 1株配当（会社予想）: 42円
- 配当性向: 133.5%
- 自社株買い: 自己株式保有あり（6.96%）、今期の新たな自社株買いは未記載。
- 方針: 安定配当を重視しつつ、内部留保を成長投資に活用する方針。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向: 直近は800円台前半で横ばい、出来高は安定。52週で-12.93%と下落傾向。
- 投資家構成: インサイダー保有比率が高い（43.7%）、機関投資家比率は低い（9.39%）。
- 影響要因: 業績回復、配当利回りの高さ、原材料価格や為替動向、海外市場の成長性などが株価に影響。
11. 総評
- ハリマ化成グループは松ヤニ化学品のリーディングカンパニーであり、製紙用薬品・トール油分野で高いシェアとグローバル展開力を有する。
- 2025年3月期は増収・黒字転換を達成したが、利益率やROEは低水準にとどまる。財務安全性は一定水準を維持しているものの、負債比率は高め。
- 配当利回りは高く、安定配当を維持する方針が示されているが、配当性向は高水準。
- 株価は割安圏にあり、業界平均と比べて評価は低い。株価モメンタムは横ばいで、出来高も安定。
- 今後は、海外事業の成長、原材料コストや為替リスクへの対応、利益率改善が課題となる。
企業情報
| 銘柄コード | 4410 |
| 企業名 | ハリマ化成グループ |
| URL | http://www.harima.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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