1. 企業情報
三和ホールディングスは、シャッター・ドア製品を中心とした建築用金属製品の製造・販売を手掛ける企業です。事業は日本国内のみならず、北米・欧州・アジアにも展開しており、特にシャッター分野では重量・軽量ともに国内首位のシェアを持ちます。欧米ではM&Aを通じて事業拡大を図り、近年は非シャッター分野の強化にも注力しています。1948年設立、本社は東京都新宿区。
– 連結売上比率（2025年3月期）：日本43%、北米37%、欧州17%、アジア2%
– 従業員数：13,116人
2. 業界のポジションと市場シェア
三和ホールディングスは、シャッター・ドア分野で国内トップシェアを誇り、世界的にも有力なプレーヤーです。特に日本市場では圧倒的なブランド力と販売網を持ち、欧米市場でもM&Aによる規模拡大が進んでいます。競争優位性としては、製品ラインナップの幅広さ、メンテナンス・サービス事業の展開、グローバルな生産・販売体制が挙げられます。一方で、建設需要の変動や原材料価格の高騰、海外事業の為替リスクが課題となります。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は「グローバルNo.1の建材ソリューションカンパニー」をビジョンに掲げ、以下の施策を推進しています。
– 欧米・アジアでのM&Aによる事業拡大
– 非シャッター分野（自動ドア、パーティション、住宅用ドア等）の強化
– サービス・メンテナンス事業の拡充
– 環境対応製品や省エネ製品の開発
– DX（デジタルトランスフォーメーション）による業務効率化
中期経営計画では、収益性向上とグローバル事業の拡大、ESG経営の推進が重点分野となっています。
4. 事業モデルの持続可能性
三和ホールディングスは、建築需要の基盤が堅固なシャッター・ドア分野で安定した収益を確保しています。加えて、メンテナンスやサービス事業を強化することで、ストック型収益の比率を高めています。市場ニーズの変化（省エネ、セキュリティ、IoT化等）にも積極的に対応しており、事業モデルの持続性は高いと考えられます。
5. 技術革新と主力製品
同社は、耐震・防火・省エネ性能を高めたシャッターや自動ドア、IoT対応製品など、技術開発に注力しています。特に自動ドアや高機能シャッターは、国内外で高い評価を受けています。また、M&Aで獲得した海外ブランドの技術も活用し、グローバルな製品開発力を強化しています。
6. 株価の評価
- 現在株価：4,747円
- 予想EPS：269.97円
- 予想PER：17.58倍（業界平均：17.5倍）
- BPS（実績）：1,499.14円
- 実績PBR：3.17倍（業界平均：0.7倍）
PERは業界平均並み、PBRは業界平均を大きく上回っています。ROE（18.99%）の高さが評価されていると考えられます。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：5,352円
- 年初来安値：3,951円
- 直近株価（7/29）：4,747円
- 50日移動平均：4,888.08円
- 200日移動平均：4,651.38円
直近株価は50日移動平均をやや下回り、200日移動平均を上回る水準。年初来高値からは下落傾向ですが、安値圏ではありません。直近10日間はやや下落基調が見られます。
8. 財務諸表分析
- 売上高（2025/3）：662,380百万円（前年比+8.4%）
- 営業利益（2025/3）：80,515百万円（前年比+23.2%）
- 当期純利益（2025/3）：57,512百万円（前年比+33.1%）
- 営業利益率：12.2%→15.7%へ改善
- ROE：18.99%、ROA：9.81%
- 自己資本比率：60.2%
- 営業キャッシュフロー：76,940百万円
- レバレッジドフリーキャッシュフロー：46,890百万円
過去数年で売上・利益ともに増加傾向。利益率・ROEも高水準を維持し、財務基盤も健全です。
9. 株主還元と配当方針
- 予想配当利回り：2.61%
- 1株配当（予想）：124円
- 配当性向：40.09%
- 5年平均配当利回り：2.78%
- 自己株式保有比率：5.36%
配当性向は安定しており、自己株式取得も実施。配当方針は安定的・持続的な還元を重視する姿勢が見られます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近10日間は下落傾向
- 52週変動幅：2,647円～5,352円（約2倍のレンジ）
- 52週騰落率：+54.83%
- 信用倍率：1.63倍（やや買い長）
- 機関投資家保有比率：53.94%
直近は調整局面ですが、1年で大きく上昇しており、投資家の関心は高い水準です。
11. 総評
三和ホールディングスは、シャッター・ドア分野で国内外トップシェアを持ち、安定した収益基盤と高い収益性を有しています。グローバル展開や非シャッター分野の強化、技術革新にも積極的で、財務面も良好です。株価は過去1年で大きく上昇し、現在はやや調整局面にありますが、配当還元や自己株取得も継続しており、株主還元姿勢も明確です。今後はグローバル事業の進展や建設需要の動向、為替・原材料価格の影響などが注目点となります。
企業情報
| 銘柄コード | 5929 |
| 企業名 | 三和ホールディングス |
| URL | http://www.sanwa-hldgs.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 金属製品 |
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