以下は株式会社日本国土開発(証券コード: 1887)に関する企業分析レポートです。
1. 企業情報
日本国土開発は、日本の建設業界で中堅ゼネコンとして事業を展開しています。特に土木工事に強みを持ち、ダム、河川、橋梁、トンネル、道路といった社会インフラの整備から、地震関連の復興事業、太陽光発電プラント、さらには超高層建築物まで幅広い工事を手掛けています。自社で建設機械や重機を保有しており、これらが得意とする重機土工事での競争力に繋がっています。事業は大きく土木事業、建築事業、そしてそれらに関連する事業の3つのセグメントに分かれています。2003年に会社更生手続きを終結し、再上場を果たしました。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は土木工事に強みを持つ中堅ゼネコンとして、特定の分野で競争優位性を確立しています。特に自社で建機・重機を保有している点は、重機土工事においてコスト効率や施工品質に寄与すると考えられます。東日本大震災の復興事業における実績も、その技術力と信頼性を示すものです。
一方で、建設業界は景気変動や資材価格の高騰、人手不足といった課題に直面しています。同社も近年、土木事業においては損失を計上するなど、コスト面で厳しい事業環境にあります。
3. 経営戦略と重点分野
同社は「中期経営計画2027」を策定し、「持続的に利益を生み出す経営基盤を再構築し、『成長軌道への回帰』を実現する」ことをミッションに掲げています。2028年5月期にはROE 8.0%、営業利益90億円を目標としています。
具体的な施策としては、セグメントごとに異なる戦略を推進しています。
* 土木事業: 適正利益の確保に向けて、施工管理体制の強化に注力しています。
* 建築事業: エリア別マーケットの確立、適正利益の確保、現場管理の徹底を通じて収益性改善を目指しています。
* 関連事業: 堅実な投資を通じてストック収益(賃料収入など)を伸ばしつつ、開発不動産の売却によるフロー収益も確保することで、収益の柱として期待されています。
4. 事業モデルの持続可能性
土木・建築という基幹事業に加え、太陽光発電、不動産開発、農業関連事業など多角的な「関連事業」を展開している点が特徴です。直近の決算では関連事業が売上高、セグメント利益ともに大幅に増加し、全体の黒字化に貢献しており、収益の安定化と成長を牽引する可能性があります。建設投資は堅調に推移しているものの、コスト増という市場ニーズの変化に対応するため、各事業の収益性強化と、関連事業の拡大による収益源の多様化が持続可能性を高める上で重要となります。
5. 技術革新と主力製品
主要な技術革新に関する具体的な情報は提供されていませんが、「建機・重機を自社保有」し「重機土工事得意」という点から、高度な施工技術やノウハウを蓄積していることが推測されます。また「超高層建築に参入」しており、技術的な挑戦にも取り組んでいるようです。
収益を牽引しているのは、連結売上構成比を見ると建築事業が65%と最も大きく、次いで土木事業が30%となっています。直近の2025年5月期決算では、建築事業がセグメント利益2,582百万円と回復し、さらに関連事業が5,905百万円の大幅なセグメント利益を計上し、全体の黒字化に貢献しました。
6. 株価の評価
- 株価: 464.0円
- EPS(会社予想): 25.11円
- PER(会社予想): 18.48倍
- BPS(実績): 831.37円
- PBR(実績): 0.56倍
- 業界平均PER: 14.0倍
- 業界平均PBR: 1.1倍
現在の株価は、1株当たり純資産(BPS)に対してPBRが0.56倍と、業界平均PBR1.1倍と比較して割安な水準にあります。これは、企業の保有する資産価値に対して株価が低く評価されていることを示唆しています。
一方で、PER(会社予想)は18.48倍であり、業界平均PER14.0倍と比較するとやや高い水準です。これは、今後の業績回復への期待が一部織り込まれている可能性も考えられます。なお、最新の決算短信で報告されている2025年5月期の1株当たり当期純利益は16.62円であり、これに基づくとPERは約27.92倍(464円 ÷ 16.62円)となります。会社予想EPS25.11円は2026年5月期予想に基づいている可能性があり、業績の回復が前提となっていると見られます。
7. テクニカル分析
現在の株価464.0円は、年初来高値530円、52週高値530円と比較すると、高値圏から下落した水準にあります。年初来安値432円、52週安値401円からはやや上昇していますが、直近10日間の株価推移を見ると、450円台後半から460円台前半での推移が多く、大きな上昇トレンドは見られません。50日移動平均線(470.48円)および200日移動平均線(492.30円)を現在の株価が下回っており、短期から中期の株価トレンドは下降傾向にあると見ることができます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2024年5月期は135,700百万円でしたが、2025年5月期決算短信では123,349百万円と9.1%減少しました。これは前期の建築事業の低迷などが影響した可能性があります。
- 利益: 2024年5月期は営業損失9,404百万円、純損失7,191百万円と大幅な赤字でしたが、最新の2025年5月期決算では、営業利益2,318百万円、経常利益1,945百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,332百万円とV字回復し、黒字転換を果たしました。特に建築事業の利益回復と関連事業の大幅な利益貢献が寄与しています。
- キャッシュフロー: 2025年5月期の営業活動によるキャッシュフローは3,793百万円のプラスであり、本業で現金を創出できている状況です。
- 収益性指標: ROE(実績)は1.98%、ROA(実績)は1.01%と示されており、これまでの業績悪化の影響を受けて低い水準にあります。今後の利益改善に伴い、これらの指標の向上が期待されます。
- 財務安全性: 自己資本比率は47.1%と、建設業としては比較的健全な水準を維持しています。総負債を自己資本で割ったTotal Debt/Equityも45.20%であり、財務の安定性は保たれていると言えます。
9. 株主還元と配当方針
同社は積極的な株主還元姿勢を示しています。
* 配当利回り(会社予想): 4.74%
* 1株配当(会社予想): 22.00円
* 過去の決算短信によると、2024年5月期および2025年5月期ともに普通配当20円に加えて特別配当2円を実施しており、年間22円の配当を実現しています。
* 配当性向は120.41%(企業財務指標の数値)と高水準ですが、これは過去の損失影響によるものや、どのEPSを基準に算出されたかによるものです。会社が公表している予想EPS 25.11円(おそらく2026年5月期予想)で計算すると、配当性向は87.6%となり、持続可能な水準に見えます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は年初来高値から下落しており、短期的なトレンドは軟調傾向にあります。出来高は直近10日間で平均13万株台と比較的小規模であり、活発な取引とは言えません。信用取引の状況を見ると、信用買残が信用売残を大きく上回る信用倍率11.72倍となっており、買い残が積み上がっている状態です。これは、今後売り圧力となる可能性も考えられます。株価への影響要因としては、建設投資の動向、資材価格や人件費の変動、中期経営計画の進捗などが挙げられます。
11. 総評
日本国土開発は、土木工事と重機保有に強みを持つ中堅ゼネコンです。近年は厳しい事業環境にありましたが、最新の2025年5月期決算では、建築事業の回復と関連事業の飛躍的な貢献により、前期の赤字から黒字転換を果たしました。これにより、一時の収益性の課題は改善の兆しを見せています。
財務基盤は自己資本比率47.1%と安定しており、高水準の配当を継続している点は注目に値します。株価の評価においては、PBRが業界平均を下回り割安感がある一方で、PERは業界平均より高く、今後の業績回復への期待が価格に織り込まれている可能性があります。
中期経営計画「中期経営計画2027」において、ROE 8.0%と営業利益90億円という意欲的な目標を掲げており、特に高成長を見せる関連事業の動向と、基幹事業である土木・建築事業の収益性改善が今後の株価を動かす重要な要因となるでしょう。市場の変動性や競争環境を考慮しつつ、同社の経営戦略の実行と財務実績の推移を注視していくことが重要と考えられます。
企業情報
銘柄コード | 1887 |
企業名 | 日本国土開発 |
URL | https://www.n-kokudo.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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