1. 企業情報

事業内容の説明

乃村工藝社は、展示施設や商業施設、博物館、美術館、イベントなどの空間づくりに関する企画・設計・施工・運営管理を手掛ける、ディスプレイ業界の最大手企業です。国内外で事業展開し、専門店、百貨店、複合商業施設、広報・販売促進、博物館・美術館、余暇施設、博覧会・イベントなど幅広い分野にサービスを提供しています。
また、研究開発やマーケティングリサーチ、マスタープランニング、家具・什器の製造、空間デザイン、運営管理、PR・プロモーション支援など、空間創造に関するトータルソリューションを提供しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

競争優位性と課題

  • 乃村工藝社はディスプレイ業界の最大手であり、長年の実績とノウハウ、幅広い顧客基盤を有しています。
  • 都市再開発やインバウンド需要、消費者の体験志向の高まりなどの追い風を受け、リアル空間の価値向上が進む中で高い競争力を維持しています。
  • 一方、資材価格や労務費の上昇、価格競争の激化による採算悪化リスク、景気変動の影響を受けやすい点が課題とされています。

3. 経営戦略と重点分野

ビジョン・戦略

  • 中期経営計画の最終年度(2025年度)において、人財育成や業務推進手法の見直しなど、組織力強化と業績向上を目指す施策を推進。
  • 重点分野としては、都市再開発案件、インバウンド関連施設、企業PR施設、イベント・博覧会市場など成長分野へのリソース集中を図っています。
  • デジタル技術やサステナビリティへの対応も強化。

4. 事業モデルの持続可能性

収益モデル・市場変化への適応力

  • 施設の新設・改装、イベント需要など、景気や社会動向に左右されやすいものの、幅広い業種・分野の顧客を持つことでリスク分散しています。
  • 近年は「モノ消費」から「コト消費」へのシフト、インバウンド需要増加、都市再開発など中長期的な需要拡大が見込まれます。
  • サステナブルな空間づくりやデジタル体験の提案など、時代の変化に対応したサービス展開を進めています。

5. 技術革新と主力製品

技術開発の動向・独自性

  • 空間デザインにおける先進的な技術・ノウハウを蓄積しており、デジタルサイネージやインタラクティブ展示、環境配慮型素材の活用など新技術導入にも積極的です。
  • 企業PR施設や大型商業施設、博覧会などの大型案件が収益を牽引しています。

6. 株価の評価

バリュエーション指標

  • 現在株価:907円
  • 予想EPS:62.75円
  • 予想PER:14.45倍(業界平均:17.0倍)
  • 実績BPS:480.95円
  • 実績PBR:1.89倍(業界平均:1.8倍)

評価

  • PERは業界平均よりやや割安水準。
  • PBRは業界平均並み~やや高め。
  • ROE(12.92%)は高水準。

7. テクニカル分析

  • 年初来高値:997円、年初来安値:704円
  • 直近株価は907円で、50日移動平均(892.92円)、200日移動平均(862.36円)を上回る水準。
  • ここ1か月は上昇基調で、年初来高値圏にはやや距離があるものの、安値圏からは大きく回復。
  • 信用買残はやや多めだが、直近で減少傾向。

8. 財務諸表分析

売上・利益・キャッシュフロー等

  • 2026年2月期第1四半期 売上高:408億円(前年同期比+40.4%)
  • 営業利益:45億円(前年同期比+341.8%)
  • 純利益:30億円(前年同期比+398.5%)
  • 通期予想:売上高1,550億円、営業利益95億円、純利益70億円
  • ROE(実績):12.92%、ROA(実績):9.32%
  • 自己資本比率:60.5%(前期末53.0%→改善)

傾向

  • 直近四半期は大幅な増収増益。
  • 財務安全性も高く、自己資本比率・流動比率ともに良好。

9. 株主還元と配当方針

  • 2026年2月期配当予想:34円(利回り3.75%)
  • 配当性向:38.9%
  • 自社株買い実績あり(自己株式保有率6.97%)
  • 5年平均配当利回り:3.33%
  • 安定的な配当方針とみられる。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 直近10日間で株価は上昇基調、出来高も比較的安定。
  • 信用倍率は高く、買い残が多いが、直近で減少傾向。
  • インバウンド需要や万博関連、都市再開発などのテーマ性から投資家の関心が高い。

11. 総評

乃村工藝社は、ディスプレイ業界の最大手として、空間創造の分野で高い競争力と実績を持ちます。直近の業績は大幅な増収増益となっており、財務基盤も強固です。PERは業界平均よりやや割安、PBRは平均並みで、配当利回りも安定的です。
今後も都市再開発やインバウンド需要、体験型消費の拡大など中長期的な成長要因が見込まれる一方、資材価格や労務費の上昇、景気変動リスクには注意が必要です。
株価は直近で上昇基調にあり、年初来高値圏にはやや余地がある状況です。株主還元にも積極的な姿勢が見られます。


企業情報

銘柄コード 9716
企業名 乃村工藝社
URL https://www.nomurakougei.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 情報通信・サービスその他 – サービス業

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By シャーロット

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