1. 企業情報
- 企業名: 株式会社ディスコ (DISCO Corporation)
- 所在地: 東京都大田区大森北2-13-11
- 設立: 1940年3月2日
- 従業員数: 5,256人（平均年齢37.3歳、平均年収1,671万円）
- 事業内容: 半導体や電子部品向けの精密加工装置（切断・研削・研磨装置）および消耗品（ダイヤモンド砥石など）の製造・販売。装置の保守・リサイクル・中古機器売買、技術研修サービスも展開。
連結売上の100%が精密加工システム関連で、海外売上比率は90%。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: 半導体・電子部品向け切断・研削・研磨装置で世界トップシェア。特に「ダイシングソー」や「グラインダー」などの装置、およびダイヤモンド砥石などの消耗品で高い競争力を持つ。
- 競争優位性: 高精度・高信頼性の装置技術、消耗品とのセット販売によるロックイン効果、グローバルな販売・サポート体制。
- 課題: 半導体業界の投資サイクル変動、顧客需要の短期変動、為替リスク。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン: 精密加工分野のグローバルリーダーとして、顧客ニーズに応じた高付加価値製品の提供。
- 重点分野・施策:
- 生成AI向け半導体市場など成長分野への注力
- 高付加価値装置・消耗品の開発・販売強化
- アフターサービス・技術研修の拡充
- 為替変動リスクへの柔軟な対応
- 中期経営計画: 直近の決算短信では具体的な中期計画の開示はなし。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 装置販売＋消耗品販売（ストック型）＋保守・サービス収入。装置導入後も継続的に消耗品需要が発生するため、安定した収益基盤。
- 市場ニーズ変化への適応力: 生成AI向け半導体など新規用途への対応、技術革新による製品競争力維持。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向: 精密切断・研削・研磨技術で業界をリード。高精度・高効率化、低ダメージ加工技術の開発を継続。
- 主力製品・サービス:
- ダイシングソー、レーザーソー、グラインダー、ポリッシャー
- ダイヤモンド砥石などの消耗品
- 保守・研修サービス
- 独自性: 装置と消耗品の一体開発・提供による高い顧客ロイヤルティ。
6. 株価の評価
- 株価: 42,520円（2025/7/31時点）
- BPS（実績）: 4,458.82円
- PBR（実績）: 9.54倍（業界平均1.4倍を大きく上回る）
- EPS（直近12ヶ月）: 1,140.91円
- PER（会社予想）: 開示なし
- 業界平均PER: 16.6倍
- 参考計算: 仮に直近EPSでPERを算出すると約37.3倍（＝42,520円÷1,140.91円）
- 評価: 業界平均と比較して高いバリュエーション水準。
7. テクニカル分析
- 年初来高値: 53,680円
- 年初来安値: 22,640円
- 50日移動平均: 38,278円
- 200日移動平均: 38,699円
- 直近株価推移: 2月下旬に一時37,570円まで下落後、反発し42,000円台を回復。移動平均線を上回る水準。
- 現在の株価位置: 高値圏からはやや下落したものの、年初来安値からは大きく上昇した位置。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2022年3月期: 2,537億円
2023年3月期: 2,841億円
2024年3月期: 3,075億円
2025年3月期: 3,933億円（過去12か月）
– 営業利益: 2022年: 915億円 → 2023年: 1,104億円 → 2024年: 1,215億円 → 2025年: 1,668億円
– 純利益: 2022年: 662億円 → 2023年: 828億円 → 2024年: 842億円 → 2025年: 1,238億円
– ROE（実績）: 27.64%（高水準）
– 自己資本比率: 75.1%（健全）
– 営業利益率: 38.3%（高収益体質）
– キャッシュフロー: 直近四半期現金1985億円、流動比率2.92倍と高い流動性
– 成長性: 売上・利益ともに過去数年で大きく増加。2025年3月期も増収増益を維持。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績: 2025年3月期: 年間413円（期末289円）
2026年3月期: 中間110円（予想）
– 配当利回り: 0.95%前後（直近株価ベース）
– 配当性向: 36.26%（利益成長に応じた配当実施）
– 自社株買い: 自己株式保有割合は0.01%と低水準
– 配当方針: 利益成長に連動した配当実施。特別配当等は現時点でなし。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価変動: 2月下旬に大きく下落後、反発基調。出来高も高水準で推移。
- 投資家関心: 半導体関連のテーマ性や生成AI向け需要などで注目度が高い。信用買残は前週比減少、信用倍率1.63倍と適度な水準。
- 影響要因: 半導体市況、生成AI関連の需要動向、為替変動、決算発表など。
11. 総評
ディスコは、半導体および電子部品向けの精密加工装置・消耗品で世界トップシェアを誇る企業です。装置と消耗品の両輪による安定した収益モデル、高い技術力、グローバル展開が特徴です。近年は生成AI向け半導体需要を背景に業績が大きく拡大し、売上・利益ともに過去最高水準を更新しています。財務基盤も非常に健全で、ROEや営業利益率は業界でも高い水準です。
一方、株価は業界平均と比べて高いバリュエーション水準にあり、半導体市況や為替変動、顧客投資サイクルの変動がリスク要因となります。配当利回りは相対的に低いものの、利益成長に応じた株主還元方針を維持しています。
全体として、ディスコは業界内での競争力と成長性、財務健全性を兼ね備えた企業であり、今後も半導体市場の動向や技術革新に注目が集まる状況です。
企業情報
| 銘柄コード | 6146 |
| 企業名 | ディスコ |
| URL | http://www.disco.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 機械 – 機械 |
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