ダイコク電機の企業分析レポートを、個人投資家の皆様にわかりやすくお届けします。
1. 企業情報
ダイコク電機は、パチンコホール向けのコンピュータシステム開発・製造・販売を主軸とする企業です。景品顧客管理システムや情報公開システムなど、ホールの運営をサポートする幅広いシステムを提供し、業界最大手の地位を確立しています。また、パチンコ・パチスロ遊技機用の表示ユニットや制御ユニットの開発・製造・販売、さらには自社パチスロ機の企画・開発も手掛けています。2025年3月期の実績では、情報システム事業が売上高の約91%、アミューズメント事業が約8%を占めており、情報システムが収益の大部分を占める構成となっています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社はパチンコホール向け運用システムにおいて業界最大手とされており、この分野で高い競争優位性を持っていると見られます。近年のパチンコ業界は店舗数や設置台数の減少傾向にあるものの、遊技機の大型化や「スマート遊技機」への移行、新紙幣流通に伴う設備投資需要は、同社の情報システム事業にとって追い風となっています。一方で、遊技機メーカーの販売計画やパチンコホール経営企業の設備投資動向に業績が左右されるという業界特有の課題も抱えています。
3. 経営戦略と重点分野
ダイコク電機は「中期経営計画2025~2027」を策定し、企業価値向上に向けた重点戦略を掲げています。具体的には、AI・ビッグデータを活用したDX（デジタルトランスフォーメーション）推進、スマート遊技機への対応強化、そして新規事業への挑戦です。
情報システム事業では、DXリーダーを目指し、ホール運営プロセスの最適化、集客支援サービスへの参入、データドリブン経営の実現、生産性向上を図るとしています。アミューズメント事業では、スマートパチスロ「ようこそ実力至上主義の教室へ」を皮切りに、自社パチスロ機による知名度・市場シェア拡大、コンテンツ事業育成、パチンコソフト受託、自社ゲームタイトルのリピートビジネス構築を進める方針です。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の収益モデルは、パチンコホールへのシステム提供が中心であるため、遊技業界の動向に大きく依存します。市場が縮小傾向にある中で、スマート遊技機への対応や新紙幣改刷対応といった投資需要を捉えることで、収益を確保してきました。今後は、DX推進によるホールの経営効率改善支援や、集客支援サービスへの参入、さらにM&Aや投資を通じて、ディスプレイ事業、システム開発、飲食、観光分野など、新たな事業領域へも進出し、事業基盤の強化と収益機会の創出を図る戦略です。これらの新規事業への挑戦が、長期的な事業モデルの持続性を高める鍵となると考えられます。一方で、投資に伴うのれんの減損損失を計上している点も確認されています。
5. 技術革新と主力製品
同社の技術開発は、パチンコホール向けの情報システムにおいて高い独自性を持っています。主力製品は、スマート遊技機に対応したコンピュータシステムや、カードユニットの改刷対応製品、情報公開端末の新製品などです。これらが情報システム事業の堅調な売上を牽引しています。アミューズメント事業では、主にパチンコ遊技機用ユニットを提供してきましたが、近年はスマートパチスロ「ようこそ実力至上主義の教室へ」をリリースするなど、自社パチスロ機の開発にも注力し、コンテンツ・ソフトの受注増加やゲーム事業の好調に寄与しています。
6. 株価の評価
現在の株価2,228.0円に対し、各指標は以下の通りです。
* PER（会社予想）: 9.22倍
* PBR（実績）: 0.71倍
* EPS（会社予想）: 241.67円
* BPS（実績）: 3,127.07円
参考として業界平均PERが16.6倍、業界平均PBRが1.4倍とされています。現在の同社のPERとPBRは、それぞれ業界平均を下回っており、これらの指標だけをみると割安感がある状態と見られます。
7. テクニカル分析
現在の株価2,228.0円は、年初来高値3,065円（52週高値3,760円）からは大きく下落しており、年初来安値2,072円（52週安値2,072円）に近い水準にあります。
直近10日間の株価推移を見ると、2,100円台前半から2,200円台にかけて緩やかに上昇する傾向が見られます。50日移動平均線（2,150.92円）は上回っていますが、200日移動平均線（2,694.40円）は大きく下回っています。これらの状況から、現在の株価は過去1年の高値と比較して安値圏に位置していると見ることができます。
損益計算書（年度別比較）
| 指標 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 24,390百万円 | 31,824百万円 | 53,861百万円 | 57,415百万円 |
| 営業利益 | 1,191百万円 | 4,019百万円 | 12,001百万円 | 12,212百万円 |
| 親会社株主純利益 | 1,228百万円 | 2,927百万円 | 8,464百万円 | 7,727百万円 |
過去数年を見ると、売上高、営業利益ともに2022年3月期以降、特に2024年3月期にかけて大きく成長しています。2025年3月期も売上高、営業利益は増加しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比8.7%減となりました。これは一部の事業領域で計上されたのれんの減損損失などの影響があったと見られます。
しかし、2026年3月期の会社予想では、売上高は前期比23.4%減、営業利益は同56.6%減と、大幅な減収減益を見込んでいます。
主要財務指標（2025年3月期）
- 自己資本比率: 79.1% (前期比10.4ポイント上昇)
- ROE（実績）: 17.97%
- ROA（実績）: 13.10%
- 売上高営業利益率: 21.3%
- 流動比率: 3.29倍
- 営業活動によるキャッシュ・フロー: 7,666百万円 (前期比9.0%減)
- 投資活動によるキャッシュ・フロー: △7,845百万円 (前期は△1,734百万円)
- 現金及び現金同等物期末残高: 16,960百万円 (前期比16.9%減)
自己資本比率は79.1%と非常に高く、財務の安全性は極めて良好と評価できます。ROE、ROAも高い水準を維持しており、収益性も優れています。
キャッシュ・フローを見ると、営業活動によるキャッシュ・フローはプラスを維持しているものの、投資活動によるキャッシュ・フローは、事業拡大のためのM&Aや固定資産取得など積極的な投資により、大幅な支出となっています。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式取得と配当金支払によりマイナスとなっています。これにより、期末の現金及び現金同等物は減少しています。
9. 株主還元と配当方針
同社の配当方針については、2025年3月期は年間合計120円（中間40円、期末80円）の実績でした。しかし、2026年3月期の配当予想は年間合計80円（中間30円、期末50円）と、減配予定となっています。
現在の株価2,228.0円に基づくと、会社予想1株配当80.00円での配当利回りは3.59%となります。配当性向は22.78%と、利益に対して無理のない水準と見られます。
同社は自己株式の取得も株主還元策として実施しており、財務活動によるキャッシュ・フローで支出が確認されます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価は安値圏から緩やかに上昇傾向にあります。出来高は特別多くはありませんが、安定して推移しています。
52週間変化率は-36.16%と、S&P 500の同時期の変化率+16.82%と比較して大きく、株価が大きく下落している時期があったことを示しています。
信用取引においては、信用買残が219,800株、信用売残が36,600株で、信用倍率は6.01倍となっています。信用買残が信用売残を上回る状況です。
今後のパチンコ業界の動向、特にスマート遊技機の普及状況や新紙幣対応の進捗、そして同社の新たな中期経営計画における新規事業の進展などが、今後の株価に影響を与える主要な要因となると考えられます。2026年3月期の減益予想がすでに株価に織り込まれている可能性も考えられます。
11. 総評
ダイコク電機は、パチンコホール向けコンピュータシステムで業界最大手の地位を確立し、高い収益性と強固な財務基盤を持つ企業です。ROEやROAも高い水準にあり、資本効率も良好と見られます。
一方で、主要事業が特定の業界に依存しているため、市場縮小という課題を抱えています。これに対し、同社はスマート遊技機対応の強化やDX推進、M&Aによる新規事業領域への進出で事業モデルの変革と持続可能性の向上を目指しています。
株価は年初来高値から大きく下落し、現在は安値圏にあると見られます。PERやPBRといったバリュエーション指標は業界平均を下回っており、減益予想を考慮しても、割安感があると感じられる可能性があります。しかし、2026年3月期には大幅な減収減益と減配を予想しており、これが投資家にとっての懸念材料となる可能性があります。
今後の業績は、中期経営計画で掲げた戦略がどれだけ成果を上げるか、特にスマート遊技機市場の動向と新規事業の成長が鍵となるでしょう。
このレポートは、提供された情報に基づき、企業の現状を客観的に分析したものであり、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資判断は、ご自身の責任において行われるようお願いいたします。
企業情報
| 銘柄コード | 6430 |
| 企業名 | ダイコク電機 |
| URL | http://www.daikoku.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 機械 – 機械 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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