1. 企業情報
概要
中央倉庫は、京都に本社を置く内陸型の総合物流大手企業です。主に国内外の物流サービス（倉庫業、貨物運送、梱包、通関など）を提供し、不動産賃貸や損害保険代理業も展開しています。安田倉庫と連携し、国際貨物分野の拡大にも注力しています。設立は1927年、従業員数は約700名です。
主な事業内容（2025.3期）
- 国内物流（売上構成比80%／利益率11%）
- 国際貨物（売上構成比19%／利益率9%）
- 不動産賃貸（売上構成比1%／利益率43%）
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
- 内陸型総合物流で国内トップクラス。
- 安田倉庫との連携により、国際物流分野の強化を図っています。
- 地域密着型（京都・関西圏）での強み。
競争優位性・課題
- 高い自己資本比率（77.7%）による財務安定性。
- 物流業界全体の課題として、燃料費高騰・人手不足・2024年問題（ドライバー労働規制）への対応が求められています。
- 国際物流分野では中国経済や地政学リスク等の外部要因の影響を受けやすい。
3. 経営戦略と重点分野
経営ビジョン・中期経営計画
- 第7次中期経営計画「Let's TRY! 2024」を完了し、2025年度から第8次「NEXT CS-100」へ移行。
- 基本方針：成長分野への挑戦、国内外物流ネットワーク拡充、業務品質・付加価値創出、情報システム強化、健全な財務体質維持、サステナビリティ対応強化。
重点施策
- 愛知県あま市での新倉庫建設着手。
- 業務効率化と2024年問題対応のためのシステム・人的投資。
- 付加価値サービス拡充や情報システム投資による競争力強化。
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル
- 倉庫保管・貨物運送などのストック型収益が主力。
- 不動産賃貸による安定収益も一部あり。
市場ニーズ適応力
- 物流需要の底堅さと、国際物流の成長余地。
- 労働力不足やコスト上昇など外部環境変化への対応力が今後の持続性の鍵。
5. 技術革新と主力製品
技術開発動向
- 物流DX（デジタル化）推進、業務効率化のための情報システム投資。
- 新倉庫建設による設備・オペレーションの高度化。
主力サービス
- 一般倉庫、定温・定湿倉庫、危険物倉庫、国際貨物取扱、トランクルーム、梱包・流通加工など。
- 付加価値の高い保管・流通サービスが収益を牽引。
6. 株価の評価
バリュエーション指標
- PER（予想）：14.93倍（業界平均14.8倍と同水準）
- PBR（実績）：0.59倍（業界平均1.1倍を大きく下回る）
- EPS（予想）：97.27円
- BPS（実績）：2,474.57円
- 株価：1,444円（2025/8/1終値）
評価
- PBRが1倍を大きく下回り、純資産価値に対して割安感が見られます。
- PERは業界平均並み。
7. テクニカル分析
株価推移
- 直近10日間で1,374円～1,457円のレンジで推移し、やや上昇基調。
- 50日移動平均：1,381.2円、200日移動平均：1,460.15円
- 現在株価は50日線より上、200日線よりやや下。
- 年初来高値：1,578円、年初来安値：1,190円
現在の位置
- 年初来高値からやや下落した水準だが、直近では反発傾向。
8. 財務諸表分析
売上・利益推移
- 売上高：増加傾向（2022年3月期23,931百万円→2025年3月期27,840百万円）
- 営業利益：増加傾向（1,866百万円→2,189百万円）
- 純利益：2024年3月期1,698百万円→2025年3月期1,588百万円（やや減少）
キャッシュフロー
- 営業CF：4,122百万円（安定的なキャッシュ創出）
- フリーCF：2,160百万円（投資・財務活動後もプラス）
財務安全性
- 自己資本比率：77.7%（非常に高い）
- 負債比率：低水準、財務健全
- 総資産：58,928百万円
収益性指標
- ROE：3.49%（やや低め）
- ROA：2.34%
- 営業利益率：7.9%
9. 株主還元と配当方針
配当実績・方針
- 2025年3月期：年間36円（前期比6円増配）
- 2026年3月期（予想）：年間38円
- 配当利回り（予想）：2.62%
- 配当性向（予想）：42.6%
- 自己株式取得も実施（保有割合2.94%）
株主還元姿勢
- 安定配当を重視し、増配傾向。
- 財務余力を活かした株主還元策。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価モメンタム
- 直近10日で反発傾向、出来高も安定。
- 信用買残増加、売残も増加傾向（信用倍率3.56倍）。
投資家関心
- インサイダー保有率24.55%、機関投資家保有率24.41%とバランス良好。
- 流動性は中規模だが、安定した需給状況。
11. 総評
中央倉庫は、内陸型物流でトップクラスの地位と高い財務健全性を有する企業です。売上・営業利益は堅調に増加し、安定したキャッシュフローと高い自己資本比率が特徴です。PBRは業界平均を大きく下回り、純資産価値に対して割安感があります。配当も安定しており、株主還元姿勢が伺えます。今後は、物流業界の構造的課題（人手不足・コスト高）や国際情勢の影響に注視しつつ、中期経営計画に基づく成長戦略の進捗がポイントとなります。
企業情報
| 銘柄コード | 9319 |
| 企業名 | 中央倉庫 |
| URL | http://www.chuosoko.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 運輸・物流 – 倉庫・運輸関連業 |
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