1. 企業情報
- 社名：若築建設株式会社（Wakachiku Construction Co., Ltd.）
- 設立：1890年5月23日
- 本社所在地：東京都目黒区下目黒2-23-18
- 従業員数：854人（平均年齢44.7歳、平均年収911万円）
- 事業内容：
- 主に海上土木（港湾・空港・海洋土木）、陸上土木、建築工事を展開
- 官公庁向け工事が中心だが、民間設備工事や海外事業にも注力
- 不動産事業（販売・賃貸）も手掛ける
- 売上構成（2025.3期）：建設98%、不動産1%、その他1%
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション：北九州地盤の海上土木中堅。陸上土木や建築にも進出し、官公庁案件が多い
- 競争優位性：
- 海上土木分野での長年の実績と技術力
- 官公庁工事の安定受注
- 課題：
- 建設資材価格の高騰、労働人口減少による人手不足
- 競合他社（大手ゼネコン等）との受注競争
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略：
- 「ステークホルダーとの連携強化による持続可能性の追求」を中期経営計画の基本方針とする
- DX（デジタルトランスフォーメーション）投資、人的資本投資の拡大
- 中期経営計画（2024～2026年度）：
- 2026年3月期の目標：売上高1,006億円、経常利益55億円、当期純利益37億円
- 建設・不動産両事業の収益基盤強化
- 株主還元強化（配当性向目標、自己株式取得等）
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル：
- 官公庁向けの大型土木案件による安定収益
- 民間・海外案件の拡充による収益多様化
- 不動産事業は規模は小さいが利益率は高め
- 市場変化への適応：
- DX投資や人材育成を通じて生産性向上・省人化を推進
- 環境・気候変動リスクへの対応も意識
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発：
- 海上土木分野での特殊技術・施工ノウハウの蓄積
- ICT施工、BIM/CIM導入による効率化
- 主力事業：
- 港湾・空港・護岸等の海上土木工事
- 陸上土木（道路・橋梁等）、建築工事
- 不動産の販売・賃貸
6. 株価の評価
- 株価：5,240円（2025-08-01終値）
- EPS（2025年3月期実績）：289.96円
- BPS（直近四半期）：3,802.75円
- PER（株価÷EPS）：約18.1倍（業界平均14.0倍）
- PBR（株価÷BPS）：約1.38倍（業界平均1.1倍）
7. テクニカル分析
- 直近株価推移：7月下旬から急上昇し、8月1日に52週高値（5,290円）を記録
- 50日移動平均：4,252.9円
- 200日移動平均：3,849.3円
- 現状：高値圏にあり、短期的に過熱感もみられる
8. 財務諸表分析
- 売上・利益推移（単位：百万円）
| 年度 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 | 営業CF |
|---|---|---|---|---|
| 2022/3 | 89,164 | 6,835 | 4,736 | – |
| 2023/3 | 84,004 | 6,236 | 5,442 | – |
| 2024/3 | 94,916 | 6,977 | 5,092 | -3,964 |
| 2025/3 | 86,462 | 5,220 | 3,690 | -10,211 |
- 指標（2025/3期）
- 営業利益率：6.0%（前年7.0%）
- ROE：7.76%
- ROA：3.57%
- 自己資本比率：52.6%
- 営業CF：-102億円（売上債権増加等によるマイナス拡大）
- 有利子負債：127億円、D/Eレシオ：25.47%
- 傾向：
- 売上・利益ともに2024/3期から減少
- 営業CFは大幅なマイナスに転じており、資金繰りには注意が必要
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績・予想：
- 2025/3期：1株当たり126円
- 2026/3期（予想）：131円
- 配当利回り：
- 予想配当利回り：約2.5%（実績）、5.0%（Forward）
- 配当性向：43.45%
- 自社株買い：実施実績あり
- 方針：配当性向・自己株式取得を通じて株主還元を強化
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム：
- 直近10日間で約16%上昇、出来高も増加
- 52週高値を更新中
- 信用取引動向：
- 信用買残：65,100株（前週比+500株）、信用倍率4.89倍
- 信用売残：13,300株（前週比+1,300株）
- 要因：
- 決算発表や配当利回りの高さ、株主還元策への期待感が影響
- 業績回復見通しや建設業界の政策動向も注目材料
11. 総評
- 若築建設は、海上土木を中心に官公庁向け工事で安定した実績を持つ中堅建設会社です。近年はDX投資や人的資本投資を強化し、経営基盤の持続的強化を図っています。
- 2025年3月期は売上・利益ともに減少し、営業キャッシュフローも大幅なマイナスとなりましたが、自己資本比率は50%超と財務安全性は確保されています。
- 株価は直近で大きく上昇し高値圏に位置し、PER・PBRともに業界平均を上回っています。配当利回りも高水準で、株主還元策が強化されています。
- 今後は、建設資材価格の動向や人手不足への対応、業績回復の進捗、株主還元方針の持続などが注目されます。
※本レポートは公開情報に基づき作成しており、投資判断を目的としたものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 1888 |
| 企業名 | 若築建設 |
| URL | http://www.wakachiku.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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