1. 企業情報
三菱化工機株式会社は、エンジニアリング事業と単体機械事業を主軸とし、化学・石油・環境分野の各種プラントや装置の設計、調達、建設（EPC）を国内外で展開しています。主な事業は、都市ガス・石油プラント、水処理・下水処理設備、産業排水処理、油清浄機、分離・濾過装置、SOxスクラバーなどの環境関連機器の製造・販売です。近年はGX（グリーントランスフォーメーション）事業も新たなセグメントとして注力しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
三菱化工機は、国内の化学・環境プラントエンジニアリング分野で一定の存在感を持ち、特に下水・排水処理装置や油清浄機など環境関連装置に強みがあります。競合には日揮、千代田化工建設、栗田工業などが挙げられます。市場シェアの詳細は非公開ですが、ニッチな環境分野での技術力・納入実績が競争優位性となっています。一方、海外大手との競争や価格競争、環境規制強化への対応が課題です。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略
「中期経営計画（2025～2027年度）」に基づき、従来のエンジニアリング・単体機械事業の収益基盤強化とともに、GX（グリーントランスフォーメーション）事業を戦略的成長分野と位置付けています。
– 具体的施策
– GX事業の拡大（カーボンニュートラル、再生可能エネルギー、水素関連等）
– 環境装置・水処理関連の技術開発・新製品投入
– 海外展開の強化
– 生産性向上・コスト競争力強化
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
プラントのEPC（設計・調達・建設）受注と、単体機械の販売が主な収益源。環境規制強化、インフラ老朽化対策、GX需要の拡大を背景に、今後も一定の市場ニーズが見込まれます。
– 市場変化への適応力
GX事業への積極的な投資・セグメント新設など、環境・エネルギー分野のトレンドに対応する姿勢が見られます。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向
水素製造装置、SOxスクラバー、バラスト水処理装置など、環境規制やGX分野に対応した技術開発を推進。
– 主力製品・サービス
– 油清浄機・分離装置
– 下水・排水処理装置
– SOxスクラバー
– バラスト水処理装置
– 水素関連装置
6. 株価の評価
- EPS（会社予想）：235.32円
- BPS（実績）：1,672.19円
- PER（会社予想）：9.40倍（業界平均16.6倍）
- PBR（実績）：1.32倍（業界平均1.4倍）
- 株価：2,213円
評価
PER・PBRともに業界平均を下回っており、利益水準や資産価値に対して株価は割安な水準と見られます（価値判断は控えます）。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：2,253円 年初来安値：1,029円
- 直近株価：2,213円（高値圏に接近）
- 50日移動平均：1,996.82円
- 200日移動平均：1,418.03円
- 直近10日間の推移：2,100円台後半～2,200円台で推移し、高値圏を維持
- モメンタム：出来高増加とともに上昇傾向が続いている
8. 財務諸表分析
- 売上高：59,202百万円（2025/3期）、前年47,774百万円から増加
- 営業利益：5,703百万円、前年4,419百万円から増加
- 純利益：4,879百万円、前年5,397百万円（特別利益の反動減）
- ROE（実績）：13.40%
- ROA（実績）：5.20%
- 自己資本比率：57.8%（直近四半期60.0%）
- キャッシュフロー：詳細データなしだが、現預金は豊富（10,820百万円）、有利子負債は低水準（3,300百万円）、財務健全性高い
- 成長傾向：売上・利益ともに直近数年で増加基調
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）：3.62%
- 1株配当（予想）：80円（株式分割考慮前は240円相当）
- 配当性向：32.74%
- 自社株買い：保有株式数2.84%（自己株口）
- 配当方針：安定配当を基本としつつ、業績連動型の還元も実施
- 直近の株式分割：2025年3月に1:3の株式分割実施
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動：2024年の年初来安値（1,029円）から高値（2,253円）まで大幅上昇（52週で+127%）
- 信用買残：増加傾向（信用倍率11.79倍）、個人投資家の関心高い
- 出来高：直近増加傾向
- 要因：業績好調、GX事業への期待、株式分割による流動性向上などが背景
- リスク：米国通商政策など外部環境の影響に注意
11. 総評
三菱化工機は、環境・エネルギー分野を中心としたエンジニアリング・機械メーカーとして、安定した収益基盤と高い財務健全性を有しています。GX事業への積極的な展開や、安定した配当政策、株式分割による流動性向上など、事業・株主還元両面で積極的な姿勢が見られます。直近の株価は高値圏にあり、業績拡大や新規事業への期待が投資家関心を集めています。今後は、GX分野の成長と外部環境リスクへの対応が注目されます。
企業情報
| 銘柄コード | 6331 |
| 企業名 | 三菱化工機 |
| URL | http://www.kakoki.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 機械 – 機械 |
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