1. 企業情報
事業内容の説明
日本アクアは、ウレタン断熱材「アクアフォーム」の施工・販売を主力とし、住宅・建築物向け断熱材の生産・施工を行う企業です。戸建住宅や集合住宅、工場、倉庫など多様な建築物に対し、スプレー式硬質ウレタンフォーム断熱材や防水材「アクアハジクン」などを提供しています。ヤマダHD傘下のヒノキヤグループの子会社であり、主に工務店向けに断熱材を販売・施工しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
競争優位性・課題
- 住宅・建築物用ウレタン断熱材市場で高いシェアを持ち、特に戸建分野での拡大が目立ちます。
- 省エネルギー基準の義務化（2025年4月～）やGX志向型住宅の拡大など、断熱材需要の増加が追い風です。
- 競合他社との直接比較は不明ですが、ヒノキヤグループ傘下で安定した受注基盤を有しています。
- 建設費や資材価格の高騰、景気変動による着工遅延などが課題です。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略
「気密なき断熱は無力なり」を掲げ、断熱施工と気密測定サービスの組み合わせによる差別化を推進。
– 中期経営計画（2024～2026年度）
– 持続可能な成長率10%
– 営業利益率10%
– ROE20%
– 配当性向50%
– 2026年度目標：売上高370億円、経常利益34.05億円
– 重点分野
戸建・建築物部門でのシェア拡大、非住宅分野（工場・データセンター等）や防水改修需要の取り込み。
4. 事業モデルの持続可能性
- 住宅・建築物の断熱・防水需要は、エネルギー効率化や老朽化建物の改修需要により今後も安定的に見込まれます。
- 省エネ基準義務化など政策面の追い風もあり、収益モデルは比較的安定。
- 市場ニーズの変化に対しても、新技術やサービス（気密測定など）で対応力を見せています。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発・独自性
スプレー式硬質ウレタンフォーム断熱材「アクアフォーム」や防水材「アクアハジクン」など独自ブランドを展開。
– 主力製品・サービス
戸建住宅向け断熱材施工が主力。建築物や防水分野にも進出し、複合的な断熱・防水ソリューションを提供。
6. 株価の評価
- EPS（過去12か月）： 60.18円
- BPS（Book Value Per Share）： 307.84円
- 株価（2025/8/5終値）： 837円
- PER（株価収益率）：
837 ÷ 60.18 ≒ 13.9（業界平均PER 14.0と同水準）
– PBR（株価純資産倍率）：
837 ÷ 307.84 ≒ 2.72（業界平均PBR 1.1より高い）
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移
直近10日間で株価は790円台から830円台へ上昇傾向。
50日移動平均：793.08円、200日移動平均：769.62円
現在株価は両移動平均を上回り、52週高値（920円）には届かないものの、安値（650円）からは大きく回復。
– 信用倍率
360倍と非常に高く、信用買い残が多い状況。
8. 財務諸表分析
- 売上高（過去12か月）： 30,265百万円 → 3年で約27%増加
- 営業利益（過去12か月）： 2,575百万円 → 増加傾向
- 純利益（過去12か月）： 1,839百万円 → 3年で倍増
- ROE（過去12か月）： 20.59%（高水準）
- ROA（過去12か月）： 7.91%
- 営業利益率（過去12か月）： 7.02%
- キャッシュフロー・財務安全性
現金2.46B円、総資産22.58B円、自己資本比率43.5%、流動比率1.37、総負債4.92B円（Debt/Equity 50.13%）
9. 株主還元と配当方針
- 配当方針
累進配当制度（安定的な増配を目指す）
– 配当実績・予想
2024年：34円、2025年予想：35円
– 配当利回り
35 ÷ 837 ≒ 4.18%（Forward Annual Dividend Yield 8.24%は分割や特別要因の影響か）
– 配当性向
56.5%
– 自社株買い
自己株式保有比率8.2%と一定の株主還元策あり
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向
直近1か月で上昇基調、出来高も増加傾向。52週高値からはやや下落しているが、安値からは大きく回復。
– 投資家関心
信用買い残が多く、個人投資家の関心が高い。インサイダー保有率も高い（55.45%）。
11. 総評
日本アクアは、住宅・建築物向け断熱材市場で高いシェアと技術力を持ち、政策面の追い風や建物老朽化による改修需要などから安定した成長が期待される企業です。中期経営計画では、成長・収益・株主還元のバランスを重視しており、財務指標も堅調です。株価は業界平均PERと同水準、PBRはやや高めですが、ROEの高さや配当方針の明確さが評価されています。株価モメンタムも良好で、信用買い残が多い点には注意が必要です。今後も省エネ政策や住宅市場の動向、資材コストの変動などが注視点となります。
企業情報
| 銘柄コード | 1429 |
| 企業名 | 日本アクア |
| URL | http://www.n-aqua.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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