1. 企業情報

  • 社名: 旭有機材株式会社(Asahi Yukizai Corporation)
  • 本社所在地: 宮崎県延岡市中の瀬町2-5955
  • 設立: 1945年3月12日
  • 従業員数: 1,787人
  • 事業内容:
    • 管材システム事業(売上比率61%): 樹脂バルブ、ビニール管、半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)向け高機能バルブ、流量制御システム等。設備設計・施工も手掛ける。
    • 樹脂事業(売上比率27%): フェノール樹脂、レジスト用樹脂、発泡ウレタンなど。半導体・自動車・建設分野向け。
    • 水処理・資源開発事業(売上比率12%): 水処理設備設計・施工、地熱・温泉開発、環境設備・薬剤提供、メンテナンス。
  • 特徴: 旭化成グループの中核企業。樹脂バルブ分野で国内トップ、海外展開も積極的。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 競争優位性:
    • 樹脂バルブの国内市場で高いシェアを持つ独占的ポジション。
    • 半導体製造装置向けバルブや樹脂材料での技術力が強み。
    • 海外(中国・アジア)市場でもプレゼンスを拡大中。
  • 課題:
    • 米中経済・関税動向、半導体設備投資サイクルの影響を受けやすい。
    • 人手不足、原材料価格変動、為替リスク。

3. 経営戦略と重点分野

  • ビジョン・戦略:
    • 中期経営計画「GNT2025」に基づき、海外・半導体関連事業の強化を推進。
    • 高付加価値製品へのシフトとグローバル展開拡大。
  • 重点施策:
    • 管材システム事業での新市場開拓、耐食・高機能製品の開発。
    • 樹脂事業での低メタル化技術やAI・半導体需要対応材料の拡充。
    • 水処理・資源開発事業での官公需・メンテナンスサービス強化。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル:
    • 産業向けBtoB(設備投資型)需要が中心。半導体・電子部品・建設・インフラ分野の景気動向に連動。
    • 水処理・資源開発はストック型収益も一部あり。
  • 市場変化への適応:
    • 半導体・AI分野の成長を取り込む体制。
    • 環境規制やインフラ老朽化対応など、社会的ニーズの変化にも柔軟に対応。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発:
    • 耐食性・高純度・低メタル化など、半導体製造装置向け材料・バルブの高機能化。
    • フォトレジスト材料やAI関連半導体向け材料の開発強化。
  • 主力製品:
    • ASAHIAVバルブ、Dymatrixシリーズ(半導体・FPD向け)、Falconics流量制御。
    • フェノール樹脂、発泡ウレタン、環境改善薬剤。

6. 株価の評価

  • 指標比較:
    • 株価: 4,375円
    • EPS(会社予想): 340.73円
    • PER(会社予想): 12.84倍(業界平均: 20.4倍)
    • BPS(実績): 4,046.22円
    • PBR(実績): 1.08倍(業界平均: 1.1倍)
  • 評価:
    • PER・PBRともに業界平均と同等かやや割安な水準。
    • 収益成長鈍化傾向が一因と考えられる。

7. テクニカル分析

  • 株価推移:
    • 年初来高値: 4,570円、年初来安値: 2,949円
    • 直近株価は4,375円で高値圏に位置。
    • 50日移動平均: 4,029.8円、200日移動平均: 4,041.4円を上回る水準。
  • 出来高: 直近10日平均は約3.7万株で安定。

8. 財務諸表分析

  • 売上・利益推移:
    • 売上高は2022年3月期以降、増加傾向だったが2024年3月期以降は横ばい~微減。
    • 営業利益・純利益は2024年3月期にピーク後、減少傾向。
  • 収益性:
    • 営業利益率(2025年3月期): 13.1% → 10.8%(直近四半期)
    • ROE: 10.26%(直近)、ROA: 6.45%
  • 安全性:
    • 自己資本比率: 73.4%(非常に高い)
    • 有利子負債比率: 7.11%(低水準)
    • 流動比率: 3.62(健全)
  • キャッシュフロー: 直近四半期で現金21.69億円、財務余力あり。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当実績・予想:
    • 2025年3月期: 年間110円 → 2026年3月期予想: 年間120円
    • 配当利回り: 2.74%(会社予想)
    • 配当性向: 27.41%
  • 自社株買い: 自己株式保有比率4.38%、安定的な株主還元姿勢。
  • 過去5年平均配当利回り: 2.73%(安定)

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価モメンタム:
    • 直近1年で8.79%上昇。S&P500の21.15%には劣後。
    • 直近10日間でじり高傾向、高値圏で推移。
  • 需給動向:
    • 信用倍率0.84倍(売り長)、短期的な需給はやや売り優勢。
  • 投資家構成:
    • 旭化成(親会社)が約30%保有、機関投資家も一定比率。

11. 総評

旭有機材は、樹脂バルブで国内トップシェアを持ち、半導体・電子材料分野で技術力を発揮する素材・化学メーカーです。中期経営計画では海外・半導体分野の成長を重視し、安定した財務基盤と積極的な株主還元が特徴です。直近は半導体設備投資のサイクルや米中経済の影響を受け減益傾向ですが、財務の健全性・配当の安定性は維持されています。株価は高値圏にあり、業界平均と比較してバリュエーションはやや割安な水準となっています。今後は、半導体・AI分野の需要動向や海外展開の進捗が業績に影響を与えると考えられます。


企業情報

銘柄コード 4216
企業名 旭有機材
URL http://www.asahi-yukizai.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

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By シャーロット

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