1. 企業情報
カゴメ株式会社は、主にトマト加工品や野菜飲料などの食品・飲料の製造・販売を行う国内最大手企業です。事業は「国内加工食品」「国内農事業」「国際事業」の3セグメントで構成され、国内では飲料ブランドが強み、海外では業務用トマト製品の展開に注力しています。1899年創業、名古屋市に本社を置き、従業員数は約3,200名です。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 国内トマト加工品で圧倒的首位。野菜飲料分野でも高いブランド力を有します。
- 競合にはカゴメ以外にデルモンテ（キッコーマン）、伊藤園などがありますが、トマト加工品・野菜飲料の両軸での強みは独自性があります。
- 課題は、原材料高騰や海外市況（特にトマトペースト価格）の影響を受けやすい点です。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン：「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業」を目指す。
- 中期経営計画の重点施策
- 野菜摂取推進による需要創出
- ファンベースドマーケティングへの転換
- オーガニック・インオーガニック両面での成長
- グループ経営基盤の強化
- 具体策：国内飲料のブランド強化、健康志向商品の開発、海外業務用トマト製品の拡大など。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル：飲料・加工食品の安定収益と、農産品・国際事業による成長を両立。
- 市場ニーズへの適応：健康志向や野菜摂取ニーズの高まりに対応した商品開発を継続。
- リスク：原材料価格や為替変動、国際市況の影響を受けやすい。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発：トマトの新品種開発、栽培技術、健康機能性の研究に注力。
- 主力製品：野菜生活100、トマトジュース、業務用トマトペーストなど。
- 独自性：自社農場や契約農家との連携による高品質原料の安定調達。
6. 株価の評価
- PER（予想）：19.29倍（業界平均19.5倍と同程度）
- PBR（実績）：1.55倍（業界平均1.3倍よりやや高い）
- EPS（予想）：151.33円
- BPS（実績）：1,877.04円
- 株価：2,918.5円
- EPS・BPSからみて、株価は業界平均水準～やや割高感も見られる。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：3,076円
- 年初来安値：2,668円
- 直近株価：2,918.5円（8/6終値）
- 50日移動平均：2,891.99円
- 200日移動平均：2,942.72円
- 直近株価は50日・200日移動平均線付近で推移。年初来高値からはやや下落、安値からは反発している中間圏。
- 直近10日間は2,850～2,930円のレンジで推移し、出来高はやや増加傾向。
8. 財務諸表分析
- 売上高（過去12か月）：306,869百万円（前年比増加傾向）
- 営業利益（過去12か月）：35,952百万円（大幅増益）
- 純利益（過去12か月）：25,015百万円（大幅増益）
- ROE（実績）：15.73%（高水準）
- ROA（実績）：2.16%
- 自己資本比率：51.3%（財務健全）
- キャッシュフロー：営業CF 28,470百万円、フリーCF 12,030百万円
- 直近四半期：売上・利益とも前年同期比で減少。特に国際事業の減収減益が響いている。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）：1.64%
- 1株配当（予想）：48.00円（前年57.00円から減配予想）
- 配当性向：33.86%
- 自社株買い：自己株式保有比率は低水準（0.14%）
- 配当は安定的だが、直近は減配傾向。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価推移：直近10日間はレンジ相場。年初来高値からはやや調整。
- 信用倍率：3.61倍（やや買い長）
- 流動性：出来高は安定、直近はやや増加。
- 投資家構成：機関投資家・信託銀行の保有比率が高い。
11. 総評
カゴメは国内トマト加工品・野菜飲料で圧倒的なブランド力とシェアを持つ食品メーカーです。飲料・加工食品の安定収益と、農事業・海外展開による成長性が特徴ですが、2025年上期は原材料高騰や国際市況悪化の影響で減収減益となっています。財務基盤は健全で、ROEも高水準を維持。株価バリュエーションは業界平均並み～やや割高、配当利回りは1.6%台と安定的ですが、減配傾向が見られます。今後は原材料価格や海外市況の動向、健康志向商品の拡大が重要なポイントとなります。
企業情報
| 銘柄コード | 2811 |
| 企業名 | カゴメ |
| URL | http://www.kagome.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 食品 – 食料品 |
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