日本化学産業(4094)企業分析レポート

個人投資家の皆様へ、日本化学産業(証券コード:4094)の企業分析レポートをお届けします。

1. 企業情報

日本化学産業は1924年設立の老舗化学メーカーで、主に「薬品事業」と「建材事業」の2つの分野を展開しています。
* 薬品事業: 銅、錫、ニッケル、コバルトなどの無機金属製品、各種有機金属化合物、表面処理剤(めっき薬品)、触媒原料などを製造・販売しています。特に、二次電池(バッテリー)用の正極材受託加工も手掛けており、光学・精密機器、エレクトロニクス、セラミック、石油化学触媒、ヘルスケアなど多岐にわたる産業に製品を提供しています。
* 建材事業: 住宅向けの防火通気見切縁、庇(ひさし)、郵便ポスト、手摺、雨戸といった住宅用防災建材を開発・販売しています。

同社は国内だけでなく、タイにも現地法人を持ち、グローバルに事業を展開しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

日本化学産業は、素材・化学セクターに属する無機化学薬品の大手企業です。特に表面処理薬品や二次電池用正極材の受託加工を主力としており、ニッチながらも特定の分野で高い技術力と実績を持っています。
* 競争優位性: 長年の歴史に裏打ちされた無機化学薬品製造のノウハウと、幅広い産業分野への応用力、さらに二次電池材料といった成長領域への参入が強みと考えられます。特定の金属化合物や表面処理剤において、独自の技術を持つ可能性があります。
* 課題: 化学産業全体がそうであるように、原材料価格の変動や為替レート、世界経済の動向に業績が左右されやすい特性があります。また、主要な事業セグメントである薬品事業はEV市場の動向、建材事業は住宅着工件数にそれぞれ依存しており、特定の市場動向により業績が影響を受ける可能性があります。

3. 経営戦略と重点分野

同社は、中期経営計画において「2030年のありたい姿」を掲げ、事業強化と新規事業領域への挑戦を進めています。
* ビジョン・戦略:
* 既存事業においては、販売・生産数量の確保と拡大、新製品および新規用途開発、新規顧客開拓を継続的に推進しています。
* 特に、成長分野への投資を積極的に行っており、リチウムイオン電池リサイクル事業への参入を重点分野と位置づけ、パイロットプラントの建設に着手するなど具体的な施策を進めています。
* 人的資本への投資: 厳しい事業環境下でも、生産性向上とともに人的資本への投資を継続する方針を示しており、持続的な成長に向けた基盤強化を図っています。

4. 事業モデルの持続可能性

日本化学産業の事業モデルは、多岐にわたる顧客産業を持つ薬品事業と、安定的な需要が見込める建材事業の二本柱によって成り立っています。
* 収益モデル: 主に化学製品の製造・販売と、建材製品の製造・販売から収益を得ています。特に、二次電池関連材料は、脱炭素社会への移行やEV普及の流れの中で今後も市場ニーズの拡大が見込まれる分野であり、同社の成長ドライバーとなる可能性があります。
* 市場ニーズへの適応: 環境意識の高まりやサステナビリティへの注目を背景に、リチウムイオン電池リサイクル事業への参入は、資源循環型社会への貢献と新たな収益源の確保を目指すものであり、将来の市場ニーズへの適応力を示しています。
* リスク要因: 世界経済の不透明性、中国経済の減速、EV(電気自動車)市場の成長鈍化、インフレ傾向、原材料価格や為替の変動などが、今後の業績に影響を与える可能性があります。

5. 技術革新と主力製品

日本化学産業の主力製品は、無機金属化合物、有機金属化合物、表面処理剤(めっき薬品)など広範にわたります。
* 収益牽引製品: 現在特に収益を牽引しているのは、電子部品や電池材料に用いられる「無機系の表面処理薬品」と、成長が期待される「二次電池用正極材の受託加工」を含む薬品事業です。
* 技術開発の動向: 今後の成長戦略として、使用済みリチウムイオン電池から金属化合物を抽出するリサイクル技術に注力しており、この分野での技術革新は同社の将来を左右する重要な要素となります。

6. 株価の評価

現在の株価(2,302.0円)を基に、株価指標を算出します。
* EPS (1株当たり利益): 121.17円 (2025年3月期実績、過去12か月)
* BPS (1株当たり純資産): 2,388.31円 (直近四半期)
* PER (株価収益率): 2,302.0円 ÷ 121.17円 = 約19.00倍
* PBR (株価純資産倍率): 2,302.0円 ÷ 2,388.31円 = 約0.96倍

市場平均との比較:

  • 業界平均PER: 15.9倍
  • 業界平均PBR: 0.7倍

同社のPERは約19.00倍であり、業界平均の15.9倍と比較するとやや高い水準にあります。PBRは約0.96倍であり、業界平均の0.7倍と比較するとこちらも高い水準にあります。これは、直近の好業績や将来性への期待が株価に織り込まれている可能性も考えられます。

7. テクニカル分析

株価の推移と移動平均線を見て、現在の株価の位置を確認します。
* 現在の株価: 2,302.0円
* 52週高値: 2,323.00円
* 52週安値: 1,245.00円
* 50日移動平均: 2,025.74円
* 200日移動平均: 1,624.43円

現在の株価2,302.0円は、52週高値2,323.00円に非常に近く、52週間のレンジで見ると高値圏に位置しています。また、50日移動平均線及び200日移動平均線を大きく上回って推移しており、株価は直近で強い上昇トレンドにあることが示唆されます。過去10日間の株価推移も、概ね上昇傾向にあります。

8. 財務諸表分析

損益計算書を中心に、過去数年分の傾向と最新の財務状況を評価します。

Breakdown (単位:百万円) 過去12か月 (2025.3期) 2024.3期 2023.3期 2022.3期
売上高 25,441 22,444 24,062 23,716
営業利益 2,860 2,177 2,899 4,223
親会社株主に帰属する当期純利益 2,357 1,742 2,234 3,236
  • 売上・利益の動向: 2025年3月期は、売上高が前期比13.4%増の25,441百万円、営業利益が前期比31.4%増の2,860百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比35.3%増の2,357百万円と、大幅な増収増益を達成しました。特に薬品事業が好調に推移し、全体業績を牽引しました。過去数年で見ると、2022年3月期をピークに一旦減益となりましたが、2025年3月期で大きく回復しています。
  • 収益性指標:
    • 売上高営業利益率(2025年3月期): 約11.2% (前期9.7%から改善)
    • Profit Margin (純利益率, 過去12か月): 9.27%
    • Operating Margin (営業利益率, 過去12か月): 8.73%
    • Return on Assets (ROA, 過去12か月): 3.34%
    • Return on Equity (ROE, 過去12か月): 5.12%
  • 財務安全性:
    • 自己資本比率 (2025年3月期): 85.6%と極めて高く、財務基盤が非常に安定していることが示されます。
    • Current Ratio (流動比率, 直近四半期): 5.03と高く、短期的な支払い能力に優れています。
    • Total Debt/Equity (負債資本倍率, 直近四半期): 0.57%と非常に低く、借入依存度が極めて小さいことを示しています。
  • キャッシュフロー:
    • 営業活動によるキャッシュフロー (過去12か月): 3,304百万円のプラスとなっており、本業で着実にキャッシュを生み出しています。
    • 投資活動によるキャッシュフロー (過去12か月): △11,450百万円となっており、プラント建設などの積極的な投資が行われたことがうかがえます。
    • フリーキャッシュフロー (過去12か月): 1.56B(15.6億円)

9. 株主還元と配当方針

同社は安定的な株主還元を目指しています。
* 配当実績と予想:
* 2024年3月期: 年間配当 46.00円
* 2025年3月期: 年間配当 75.00円
* 2026年3月期(予想): 年間配当 90.00円
* 配当利回り(本日株価2,302.0円時点):
* 予想年間配当利回り(90円に基づき): 約3.91%
* 実績年間配当利回り(75円に基づき): 約3.26%
* 配当性向 (過去12か月): 61.90%

これは、利益の約6割を配当として株主に還元する方針を示しており、比較的高い還元水準であると言えます。
* 自社株買い: 株主情報には自己株口の保有(2.58%)が記載されており、過去に自社株買いを実施していることが示唆されますが、直近の具体的な自社株買い計画は提示された情報からは確認できません。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価の直近変動傾向: 直近10日間の株価は、2,143円から2,302円まで上昇しており、短期的に上昇トレンドにあることが確認できます。52週高値に迫る勢いです。
  • 出来高: 直近の出来高は4万株台と、平均的な水準です。
  • 投資家関心の要因:
    • 好調な業績: 2025年3月期の大幅な増益は、投資家の関心を高める要因となります。
    • 成長戦略: リチウムイオン電池リサイクル事業への参入など、将来の成長を見据えた新規事業への取り組みは、評価されるポイントとなる可能性があります。
    • 高水準の株主還元: 安定した配当実績と、さらなる増配予想も、配当重視の投資家にとって魅力的です。
  • 信用取引状況: 信用買残は677,700株と多く、売り残が0株であるため、将来的な売り圧力を考慮する際の一つの材料となる可能性があります。
  • 今後のイベント: 2025年5月14日に決算発表があり、2025年9月29日には配当落ち日が予定されています。これらのイベントは、株価に影響を与える可能性があります。

11. 総評

日本化学産業は、安定した基盤を持つ化学薬品事業と建材事業を展開している企業です。2025年3月期は薬品事業の好調に牽引され、大幅な増収増益を達成しました。特に、リチウムイオン電池リサイクル事業への参入など、将来の成長を見据えた新規事業への積極的な投資は、同社の事業持続可能性を高める可能性があります。
財務基盤は自己資本比率85.6%と極めて健全であり、安定した経営が期待されます。株主還元も配当性向60%超、連続増配予想となっており、株主還元に積極的な姿勢が見られます。
現在の株価は52週高値圏にあり、PERやPBRは業界平均よりもやや高い水準で評価されています。これは、直近の好業績や今後の成長戦略への期待が株価に織り込まれている可能性も考えられます。一方で、2026年3月期の業績予想は減益を見込んでおり、特に薬品事業においてはEV市場の動向、建材事業においては住宅着工戸数といった外部環境の影響も考慮に入れる必要があります。
本レポートは、提供された情報に基づき作成されたものであり、個別の投資判断を促すものではありません。投資を行う際は、ご自身の判断と責任において行ってください。


企業情報

銘柄コード 4094
企業名 日本化学産業
URL http://www.nihonkagakusangyo.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 素材・化学 – 化学

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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