個人投資家向けに、株式会社IHI(証券コード: 7013)の企業分析レポートをまとめました。

1. 企業情報

株式会社IHIは、1853年創業の歴史を持つ日本の総合重機大手です。多岐にわたる事業を手掛けており、国内外でエンジニアリングソリューションを提供しています。主な事業分野は「資源・エネルギー・環境」「社会基盤」「産業システム・汎用機械」「航空・宇宙・防衛」の4つに分かれており、特に航空エンジン、大型ボイラー、自動車用ターボチャージャーに強みを持っています。JFEとの造船合弁会社であるJMUも持分法適用会社です。

2. 業界のポジションと市場シェア

IHIは総合重機業界において主要なプレーヤーの一つであり、特に航空エンジン分野では国内首位の座を占めています。これにより、防衛関連事業や民間航空機需要の恩恵を受けやすい競争優位性を持っています。また、ボイラーや自動車用ターボチャージャーといった特定の製品分野でも高い技術力と実績を誇ります。
一方で、グローバルな競争環境にあり、為替変動、原材料価格の変動、地政学的リスクなどが経営に影響を与える可能性があります。

3. 経営戦略と重点分野

IHIは、2023年度からスタートした中期経営計画「グループ経営方針2023」に基づき、事業ポートフォリオの変革を進めています。この計画では、事業を「成長事業」「育成事業」「中核事業」に区分し、成長分野への経営資源のシフトを重視しています。具体的には、航空エンジン・ロケット分野やクリーンエネルギー分野を成長事業と位置づけ、積極的に投資を行っています。また、収益性や効率性の低い事業については事業構造改革を進め、安定的なキャッシュ創出を目指す方針です。運搬機械事業やコンクリート建材事業、気象防災事業などの一部事業の譲渡を進めていることも、この戦略の一環です。

4. 事業モデルの持続可能性

IHIの事業は、インフラ整備、エネルギー、交通、防衛といった社会の基盤を支える分野にまたがっており、安定的な需要が見込めます。特に、航空機需要は中長期的に増加が見込まれており、民間向け航空エンジン(スペアパーツを含む)の堅調な販売は収益を下支えする要素です。また、脱炭素社会に向けたクリーンエネルギー分野への取り組みは、将来的な市場ニーズの変化への適応力を示しています。ただし、大型プロジェクトの受注状況や景気変動、為替変動が業績に影響を与える可能性がある点には留意が必要です。

5. 技術革新と主力製品

IHIは長年の歴史を通じて培ってきた高い技術力を有しており、それが競争力の源泉となっています。主力製品としては、「航空エンジン」「大型ボイラー」「自動車用ターボチャージャー」が挙げられます。航空エンジン分野では、最新鋭エンジンの開発や部品供給を通じて、空の安全と効率化に貢献しています。クリーンエネルギー分野においては、カーボンニュートラル社会の実現に向けた技術開発(例えば、アンモニア燃料関連技術など)にも注力しており、今後の事業の柱となる可能性を秘めています。

6. 株価の評価

現在の株価17,140.0円に対し、過去12か月の実績EPS(一株当たり利益)は744.32円です。これにより算出されるPER(株価収益率)は約23.03倍となります。また、直近四半期末のBPS(一株当たり純資産)は3,182.56円であり、PBR(株価純資産倍率)は約5.38倍です。
参考として、同業の業界平均PERが16.6倍、業界平均PBRが1.4倍であることを踏まえると、現在のIHIの株価は、業界平均と比較して高評価されている水準にあると考えられます。これは、今後の業績回復期待や成長戦略への期待が株価に織り込まれている可能性を示唆しています。

7. テクニカル分析

IHIの株価は、現在の17,140円が52週高値18,050円に近く、52週安値4,485円からは大きく上昇しています。50日移動平均線(15,442.80円)と200日移動平均線(11,123.50円)を大きく上回って推移しており、株価は上昇トレンドにあると見られます。直近10日間の株価推移を見ても、一時的に18,000円台まで上昇した後、若干の調整を見せつつも高値圏を維持しています。特に直近の取引日(2025年8月6日)の出来高は1,400万株を超え、市場の関心の高さを示しています。全体としては、現在の株価は高値圏で推移していると判断できます。

8. 財務諸表分析

  • 売上収益: 過去数年間で変動が見られますが、2024年3月期の1,322,591百万円から、過去12か月の実績では1,626,831百万円へと大きく増加しており、堅調な回復基調にあります。
  • 利益: 2024年3月期には営業利益・純利益ともに大幅な赤字を計上しましたが、過去12か月の実績では営業利益143,517百万円、純利益112,740百万円とV字回復を果たし、高い収益性を確保しています。
  • ROE (自己資本利益率): 過去12か月で25.75%と高く、資本を効率的に活用して利益を上げていることが示唆されます。ROA(総資産利益率)も4.22%と健全な水準です。
  • キャッシュフロー: 過去12か月の営業活動によるキャッシュフローは177,630百万円とプラスであり、事業活動でキャッシュを創出する能力があることを示しています。ただし、直近の2026年3月期第1四半期では、営業活動によるキャッシュフローが53億円の支出超過となっており、一時的な要因か今後の推移を注視する必要があります。
  • 財務健全性: 直近四半期末の有利子負債残高は5,081億円、総負債対自己資本比率(Total Debt/Equity)は101.19%となっており、負債の水準はやや高めです。流動比率(Current Ratio)は1.16と、短期的な支払い能力はあるものの、余裕があるとは言えません。親会社所有者帰属持分比率は21.9%であり、改善傾向にあります。

9. 株主還元と配当方針

IHIの配当性向は過去12か月の実績で16.11%であり、比較的低い水準にあります。これにより、将来的な増配の余地があるとも考えられます。現在の株価に基づいた過去12か月の実績配当利回りは約0.69%(年間配当120円)です。
2025年10月1日には1株を7株に分割する株式分割が予定されており、これにより投資単位当たりの金額が引き下げられ、より投資しやすい環境となることが期待されます。
2026年3月期の配当予想は、中間配当70円(分割前基準)、期末配当10円(分割後基準)となっており、これは前連結会計年度と比較して調整が入る可能性があります。

10. 株価モメンタムと投資家関心

IHIの株価は、52週変化率で244.38%という高い上昇率を示しており、S&P 500の同時期の変化率21.15%を大きく上回っています。これは非常に強い上昇モメンタムがあることを示しています。直近の出来高も高く推移しており、市場の高い関心がうかがえます。
信用取引においては、信用買残が減少傾向にある一方で、信用売残が増加しており、信用倍率は0.82倍と売り長の状態です。これは、株価が今後上昇する中で、売り方が買い戻しを迫られる(踏み上げられる)ことで、さらなる株価上昇圧力がかかる可能性を示唆しています。
今後の決算発表(2025年8月6日発表の四半期決算。次回は2025年8月6日の市場が開く前に発表される見込み)や株式分割、経済情勢、地政学的リスクなどが株価に影響を与える可能性があります。

11. 総評

IHIは、総合重機大手として強固な事業基盤を持ち、特に航空エンジン分野での競争優位性を確立しています。2024年3月期に計上した大幅な赤字から2025年3月期にはV字回復を果たし、収益性が大幅に改善しています。中期経営計画に基づき、成長分野への資源集中と事業ポートフォリオ改革を着実に進めており、収益構造の改善に努めています。
財務面では、ROEが高く資本効率の良い経営がうかがえますが、有利子負債の水準はやや高めです。株価は業界平均と比較して高評価されており、年初からの上昇モメンタムや市場の関心の高さがうかがえます。信用取引状況も売り長であり、短期的には需給による上昇圧力が働く可能性も考えられます。2025年10月には株式分割が予定されており、投資単位の引き下げによる投資家層の拡大も期待されます。
一方で、世界経済の不透明感や為替変動、原材料価格の動向は引き続きリスク要因として存在します。直近の四半期決算では減益となったものの、通期業績予想は据え置かれており、今後の業績推移が注目されます。


企業情報

銘柄コード 7013
企業名 IHI
URL http://www.ihi.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 機械 – 機械

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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