日本航空電子工業(6807)の企業分析レポートを以下の通りご報告いたします。
1. 企業情報
日本航空電子工業は、東京都渋谷区に本社を置く、NEC系の電気機器メーカーです。1953年に設立され、コネクタ、ユーザーインターフェースソリューション、航空機・宇宙関連の電子機器を中心に事業を展開しています。特にコネクタ事業が売上構成比の約87%を占める主力であり、小型・薄型・高速伝送技術に強みを持っています。その他、センサーなどの航機事業が約9%、タッチパネルやスイッチといったインターフェース・ソリューションが約4%を占めています。従業員数は連結で10,154人、平均年収は7,160千円です。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社はコネクタ業界において大手の一角を占めており、特に小型化、薄型化、高速伝送技術において競争力を有しています。これらの技術は、スマートフォン、自動車、航空・宇宙、医療機器、半導体製造装置など、幅広い産業分野で求められています。市場では、携帯機器市場の厳しさや一部製品の需要減少、原材料価格の高騰といった逆風に直面していますが、航空・宇宙市場においては防衛装備品の堅調な需要が見られます。主力事業であるコネクタは各電子機器に不可欠な部品であり、多岐にわたる産業への供給により事業基盤を築いています。
3. 経営戦略と重点分野
同社は、業績悪化要因や市場の不透明感に対応するため、以下の施策を推進しています。
* グローバルマーケティングと新製品開発のスピードアップ
* 内製化強化による工場稼働率の改善
* 設備効率化とコストダウン
* 諸費用抑制による効率化
これらの施策を通じて、製品競争力の強化と収益性の改善を目指していると考えられます。中期経営計画の具体的な進捗については、提供情報からは詳細を確認できませんでした。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、多様な産業分野(自動車、航空・宇宙、鉄道、産業機器、半導体、医療など)向けに、電子機器の基盤となるコネクタや関連部品を提供する点に特徴があります。これにより、特定の市場変動リスクを分散する効果が期待できます。高速伝送や小型化といった技術的優位性は、IoT化やEV化の進展に伴う市場ニーズの変化に適応する上で重要です。しかし、携帯機器市場の厳しさや地政学リスク、為替変動といった外部環境の変化は業績に影響を与える可能性があります。生産拠点であるJAE Tijuana, S. A. de C. V.を連結範囲に加えるなど、グローバルサプライチェーンの最適化も進めているようです。
5. 技術革新と主力製品
同社の主力製品は多岐にわたるコネクタ製品群です(入出力、基板対基板、ケーブル対ケーブル、光ファイバー、同軸など)。これらは小型化・高速伝送が求められる多様な電子機器に組み込まれます。ユーザーインターフェースソリューションとしては、静電容量式タッチパネルやパネルスイッチを提供しています。また、航機事業では加速度計、慣性計測ユニット(IMU)、磁力計などのモーションセンシング・制御ソリューションを提供し、航空・宇宙、自動車、半導体などの高精度が求められる分野に貢献しています。これらの製品は、長年の技術蓄積と顧客との連携を通じて開発されており、特に高信頼性・高機能が求められる分野で強みを発揮していると考えられます。
6. 株価の評価
各種指標を用いた株価の評価は以下の通りです。
* PER(会社予想): 12.53倍(業界平均PER:24.2倍)
* 予想EPS 192.88円に基づくと、業界平均PERを適用した場合の理論株価は192.88円 × 24.2倍 = 4,667.696円 となります。
* PBR(実績): 1.23倍(業界平均PBR:1.6倍)
* 実績BPS 1,971.47円に基づくと、業界平均PBRを適用した場合の理論株価は1,971.47円 × 1.6倍 = 3,154.352円 となります。
現在の株価2,417.0円は、業界平均と比較した理論株価より低い水準にあります。
7. テクニカル分析
現在の株価2,417.0円は、直近10日間の株価推移を見ると、本日安値が2,417円であり、以前の2,244円(7月24日)からの上昇後、2,499円(8月1日)をピークにやや下降傾向にあります。
年初来高値3,015円、年初来安値2,119円と比較すると、現在の株価は年初来安値に近い水準で推移しており、安値圏にあると見ることができます。また、50日移動平均線(2,462.02円)および200日移動平均線(2,607.62円)を両方下回っており、短期・中期的に下降トレンドにあることが示唆されます。
8. 財務諸表分析
- 売上高:
- 2022年3月期から2023年3月期までは増加傾向でしたが、2024年3月期、2025年3月期(過去12か月)と減少傾向にあります。
- 直近の2026年3月期第1四半期(2025年4月1日~2025年6月30日)の売上高は51,605百万円で、前年同期比△7.1%と減少しています。
- 利益:
- 営業利益、経常利益、純利益は2022年3月期以降、減少傾向が続いていました。過去12か月では営業利益、純利益は改善が見られます。
- しかし、直近の2026年3月期第1四半期では、営業利益1,480百万円(前年同期比△60.8%)、経常利益1,091百万円(同△67.6%)、親会社株主に帰属する四半期純利益856百万円(同△72.7%)と、大幅な減益となっています。これは、世界経済の不透明感、携帯機器市場の厳しさ、原材料価格高騰、円高による為替影響などが複合的に影響したと説明されています。
- 収益性・効率性:
- Profit Margin(過去12か月): 4.28%
- Operating Margin(過去12か月): 2.87%
- ROE(実績): 8.91%、(過去12か月): 7.05%
- ROA(過去12か月): 3.66%
- 売上高営業利益率: 直近四半期で2.9%と、前年同期の6.8%から大幅に低下しており、収益性の悪化が示されています。
- 財務安全性:
- 自己資本比率(実績): 62.0%
- 自己資本比率(2025年6月30日現在): 61.7%
- Total Debt/Equity(直近四半期): 26.69%
- Current Ratio(直近四半期): 2.43
- 高い自己資本比率とカレントレシオが2倍を超える水準は、財務基盤が比較的安定していることを示しています。有利子負債も自己資本に対して低水準です。
- キャッシュフロー:
- 減価償却費は第1四半期で4,478百万円となっており、設備投資を継続的に行っていることがうかがえます。
9. 株主還元と配当方針
同社の配当利回り(会社予想)は2.48%で、1株配当(会社予想)は60.00円です。配当性向は34.89%であり、利益の約3分の1を配当に充てる方針と見られます。過去5年平均の配当利回りが1.92%であることから、現在の配当利回りは平均を上回る水準です。自社株買いに関する情報は今回提供されたデータには含まれていませんでした。2026年3月期の年間配当予想も60.00円で据え置かれています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価は、7月24日の年初来安値に近い水準から一時的に上昇しましたが、現在再び下落傾向にあります。出来高は日によって変動がありますが、特に7月24日には118万株を超える出来高を記録しました。
業績面では、直近四半期(2026年3月期第1四半期)の売上高成長率が前年比で△7.10%、四半期純利益成長率が前年比で△72.70%と大きく落ち込んでいることが、株価の重しとなっている可能性があります。
信用倍率は1.81倍で、信用買残が信用売残を上回っています。これは、現時点では買い残が多く、需給面で上値の軽さが不足している可能性を示しています。
11. 総評
日本航空電子工業は、コネクタ事業を主力とし、小型・薄型・高速伝送技術に強みを持つ電子部品メーカーです。多様な産業分野に製品を提供することで、事業の安定性を図っています。財務体質は自己資本比率が高く比較的良好ですが、直近四半期決算では世界経済の不透明感や携帯機器市場の厳しさ、為替変動といった外部要因により売上高・利益ともに大幅な減益となりました。
株価は年初来安値に近い水準で推移しており、テクニカルには安値圏に位置すると見られます。PER、PBRを用いた評価では、業界平均と比較して現在の株価は割安な水準にある可能性があります。しかし、直近の業績不振が続けば、株価の上昇を阻害する要因となる可能性もあります。今後の市場環境の変化への適応力、特に主力であるコネクタ事業における新製品開発とコスト効率化の進展が注目されます。
企業情報
銘柄コード | 6807 |
企業名 | 日本航空電子工業 |
URL | http://www.jae.com/jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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