企業分析レポート:kubell(証券コード:4448)

1. 企業情報

kubellは、主にビジネスチャットツール「Chatwork」の開発・提供を行う企業です。旧社名はChatwork Co.,Ltd.でしたが、2024年6月にkubell Co., Ltd.へ社名変更しました。かつてはセキュリティソフトの販売代理店事業も行っていましたが、現在はビジネスチャットを核とした「プラットフォーム事業」の単一セグメントに事業を集中しています。「Chatwork」は、中小企業を中心に利用されており、タスク管理、ファイル管理、ビデオ通話など、ビジネスコミュニケーションを円滑にする様々な機能を提供しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

同社が展開するビジネスチャットツール「Chatwork」は、国内の中小企業市場において利用者数No.1のポジションを確立しています。これは、中小企業特化型の導入しやすさや使いやすさが評価されているためと考えられます。
業界内では、多機能な競合製品や、海外発のグローバルサービスとの競争が存在しますが、中小企業特化という明確なターゲット設定とBPaaS(Business Process as a Service)への事業拡大を通じて、競争優位性を維持しようとしています。一方で、ビジネスチャット市場全体の成長鈍化や、競合との差別化継続が今後の課題になり得ます。

3. 経営戦略と重点分野

kubellの経営戦略は、中期経営計画において「中小企業No.1 BPaaSカンパニー」の確立をビジョンとして掲げています。具体的には、既存の「Chatwork」の普及をさらに進めるとともに、Chatworkを入口として中小企業の様々な業務プロセスを効率化・自動化するBPaaS領域への投資を強化しています。
中期経営計画として、2026年12月期までに連結売上高CAGR(年平均成長率)30%以上、売上高150億円、EBITDAマージン10~15%を目指しており、この目標達成に向けてM&A(合併・買収)による成長戦略も視野に入れています。2025年12月期は「Chatwork」の普及とBPaaSへの投資を継続し、成長率の維持と収益性の改善を目指す方針です。

4. 事業モデルの持続可能性

同社の主な収益源は、サブスクリプション型の「Chatwork」利用料です。このSaaS(Software as a Service)モデルは、安定した継続収入を特徴とします。中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進という市場ニーズが高まる中で、ビジネスチャットを基盤にBPaaSへと事業領域を拡大する戦略は、単なるコミュニケーションツールに留まらず、業務プロセス全体を効率化する総合的なプラットフォームへと進化させることで、市場ニーズの変化への適応力と事業モデルの持続可能性を高めようとしています。ただし、BPaaS領域への新規参入やM&Aには、市場の受容性や適切な投資判断が重要となります。

5. 技術革新と主力製品

主力製品はビジネスチャットツール「Chatwork」であり、メッセージ機能だけでなく、タスク管理、ファイル共有、ビデオ通話といった多様な機能を統合しています。これにより、中小企業のビジネスコミュニケーションと業務効率化をワンストップで支援しています。
技術革新に関しては、決算短信において具体的な製品開発ロードマップ等の詳細な記載は多くありませんが、中期経営計画で掲げているBPaaSカンパニーへの転換を目指す中で、Chatworkのプラットフォームとしての機能拡張や、他サービスとの連携強化、さらにはAI技術の活用などが技術開発の方向性として考えられます。

6. 株価の評価

株価指標を見ると、現在の株価541.0円に対し、BPS(実績)は37.83円(直近四半期37.85円)であり、PBR(実績)は14.30倍となっています。これは業界平均PBRの3.5倍と比較して高い水準にあります。
EPS(会社予想)は「—」と記載されており、過去12ヶ月のEPSも-28.59円と赤字が続いているため、PER(株価収益率)は計算できません。これは、同社が現段階で利益よりも事業成長を優先するステージにあることを示唆しています。高いPBRは、将来の成長性や収益改善への期待が株価に織り込まれている可能性を示しています。

7. テクニカル分析

株価の直近の推移を見ると、過去10日間で500円前後から541円へと緩やかに上昇しています。年初来高値645円、年初来安値384円に対し、現在の株価は中間に位置しています。
50日移動平均線(476.56円)および200日移動平均線(519.70円)を現在の株価541.0円が上回っており、短期から中期的な上昇トレンドにあることが示唆されます。
出来高は直近10日間で概ね平均的な水準で推移しており、市場の関心は一定程度あると見られます。

8. 財務諸表分析

  • 売上・利益: Total Revenue(売上高)は、2021年から2024年の過去12ヶ月にかけて33億円から84億円へと順調に増加しており、高い成長率を維持しています。直近の四半期売上高成長率も前年比+15.5%と堅調です。

    Operating Income(営業利益)は、過去数年間赤字が続いていましたが、過去12ヶ月では96百万円の黒字に転換しています。直近の2025年12月期第1四半期決算では、営業利益が76百万円と前年同四半期の営業損失から黒字転換しました。
    経常利益も同様に黒字転換していますが、Net Income Common Stockholders(親会社株主に帰属する純利益)は過去12ヶ月で-1,172百万円と依然赤字であり、直近四半期も純損失は継続していますが、損失幅は縮小傾向にあります。
    * 収益性: ROE(実績)は-58.31%、ROA(過去12カ月)も-6.70%と、純利益が赤字であるため、資本効率は低い状態です。
    * 財務安全性: 自己資本比率は、前連結会計年度末の26.1%から直近四半期で28.4%へと改善傾向にあります。負債も減少しており、財務基盤の安定に対する取り組みが見られます。
    * キャッシュフロー: 決算短信からはキャッシュフロー計算書が作成されていないため、詳細な評価はできません。

総じて、売上高は着実に成長しており、営業利益段階では黒字転換を達成し、収益構造の改善が見られます。しかし、純利益は依然として赤字であり、今後の黒字転換が注目されます。

9. 株主還元と配当方針

kubellは、現在のところ配当を実施していません。会社予想の1株配当も0.00円、配当利回りも0.00%となっています。これは、成長段階にある企業が利益を事業拡大やM&Aなどの成長投資に再投資する方針を取っているためと考えられます。株主還元策としては、発行済株式数の中に自己株式(自社株口)保有があり、直近の自己株式数も増加していることから、自社株買いによる間接的な株主還元が行われる可能性があります。

10. 株価モメンタムと投資家関心

直近の株価は緩やかな上昇傾向にあり、50日移動平均線と200日移動平均線を上回って推移していることから、短期・中期的にポジティブなモメンタムが見られます。
信用倍率が2.54倍と買残が売残を上回っており、一定の買い需要があることを示しています。
株価に影響を与える主な要因としては、中期経営計画で掲げたBPaaS戦略の進捗度合いや、それによる収益性改善および純利益の黒字化達成への期待が挙げられます。また、M&A戦略の具体的な実施や、国内中小企業市場におけるDX化の加速もポジティブな影響を与える可能性があります。一方で、赤字の継続や想定通りの成長が達成できない場合には、株価に下落圧力がかかる可能性も考えられます。

11. 総評

kubellは、国内中小企業向けビジネスチャット「Chatwork」を主力事業とするSaaS企業です。既存事業の堅調な成長に加え、BPaaS(Business Process as a Service)領域への事業拡大とM&A戦略を通じて、さらなる成長の実現を目指す段階にあります。
財務面では、売上高は継続的に成長しており、直近の決算では営業利益が黒字転換を達成するなど、収益構造の改善が見られます。ただし、純利益は依然として赤字であり、本格的な収益性を確立できるかが今後の注目点となります。株価は、現在のPBRが業界平均と比較して高い水準にあり、これは将来の成長に対する市場の期待が反映されていると考えられます。
現在、配当は実施しておらず、得られた利益を成長投資に充てる企業体質です。今後の投資家にとってのポイントは、BPaaS戦略が市場に浸透し、継続的な売上成長と純利益の黒字化に繋がり、投資回収が見込めるかという点にあります。


企業情報

銘柄コード 4448
企業名 kubell
URL https://www.kubell.com/
市場区分 グロース市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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