1. 企業情報
- 事業内容
カーリット株式会社は、化学品（産業用爆薬、自動車用緊急保安炎筒、信号焔、煙火用材料）、ボトリング（飲料水・茶類のボトリング加工・販売）、金属加工（熱間炉内用金物、スプリング等）、エンジニアリングサービス（請負工事、塗料・塗装、設計・監理）を主力とする多角的な素材・化学メーカーです。特に自動車用緊急保安炎筒では国内最大手の地位を有しています。2024年6月に現社名へ変更し、グループ経営を強化しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 競争優位性
・自動車用緊急保安炎筒で国内トップシェア。
・産業用爆薬や電子材料など、ニッチ分野で高い存在感。
・多角化による事業ポートフォリオの安定性。
– 課題
・化学品分野は原材料価格や法規制の影響を受けやすい。
・ボトリングや金属加工分野は景気動向に左右されやすい。
・競合他社との技術革新競争や新規参入リスクも存在。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン・戦略
・中期経営計画「Challenge 2027」を推進。
・事業ポートフォリオの最適化、技術・研究開発の加速、ESG経営の高度化、成長事業の収益性改善、事業インフラの再構築を重点施策としています。
– 重点分野
・化学品分野の高付加価値化・新規用途開発
・ボトリング事業の効率化・高付加価値飲料への展開
・金属加工・エンジニアリングサービスの高機能化
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
・化学品、ボトリング、金属加工、エンジニアリングの4本柱で収益を分散。
・安定した需要が見込めるインフラ・自動車・半導体分野に強み。
– 市場ニーズ変化への適応力
・AI・IoT分野や安全環境関連など新市場への対応。
・ESG経営・サステナビリティへの取り組み強化。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向・独自性
・産業用爆薬や自動車用緊急保安炎筒など高い安全性・信頼性が求められる製品で独自技術を保有。
・電子材料分野では半導体・AI・IoT需要への対応を強化。
– 主力製品・サービス
・自動車用緊急保安炎筒（国内最大手）
・産業用爆薬・信号焔・煙火用材料
・ボトリング飲料
・金属加工部材・エンジニアリングサービス
6. 株価の評価
- EPS（1株当たり利益）：109.07円
- BPS（1株当たり純資産）：1,590.17円
- 現在株価：1,365円
- PER（株価収益率）：
1,365円 ÷ 109.07円 ≒ 12.5倍
（業界平均PER: 20.4倍）
– PBR（株価純資産倍率）：
1,365円 ÷ 1,590.17円 ≒ 0.86倍
（業界平均PBR: 1.1倍）
– 考察
・業界平均と比較してPER・PBRともに低位。
・配当利回り（予想）5.34%と高水準。
7. テクニカル分析
- 直近株価推移
・過去10日間で1,231円→1,365円と上昇傾向。
・52週高値：1,388円、安値：840円。
・50日移動平均：1,211.44円、200日移動平均：1,171.52円
・現在株価は50日・200日移動平均を上回り、直近高値圏に位置。
– 信用取引動向
・信用買残は減少傾向（-41,400株）、信用倍率6.18倍とやや買い長。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益の推移
| 年度 | 売上高（百万円） | 営業利益（百万円） | 純利益（百万円） | EPS（円） |
|---|---|---|---|---|
| 2022/3 | 33,894 | 2,507 | 2,336 | 98.31 |
| 2023/3 | 36,008 | 2,640 | 2,246 | 94.55 |
| 2024/3 | 36,577 | 3,353 | 2,598 | 109.91 |
| 2025/3 | 36,914 | 3,047 | 2,570 | 109.07 |
・売上は横ばい～微増傾向。
・営業利益は2024年に伸長後、2025年はやや減少。
・純利益・EPSも安定的。
– キャッシュフロー
・営業CF：4,696百万円（増加）
・投資CF：-991百万円
・財務CF：-1,699百万円
・現金残高増加、自己資本比率70.7%、有利子負債低水準（1,280百万円）
– ROE：6.92%、ROA：3.52%（いずれも安定）
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績・予想
・2024年3月期：36円
・2025年3月期（予想）：36円
・配当性向：33.0%
・予想配当利回り：5.34%（株価1,365円ベース）
– 自社株買い
・2025年5月に最大1,300,000株、10億円上限の自己株式取得を決議。
・2025年12月に自己株式消却予定。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム
・直近1か月で株価は上昇トレンド。
・出来高も増加傾向で、投資家の関心が高まっている様子。
– 要因
・高配当利回りや自社株買い発表が株価の支援材料。
・業績安定・財務健全性も評価材料。
11. 総評
カーリット株式会社は、化学品を中心に多角的な事業展開を行い、特に自動車用緊急保安炎筒で高いシェアを持つ企業です。売上・利益ともに安定し、財務体質も健全です。株価指標（PER・PBR）は業界平均に比べて低く、配当利回りは高水準です。直近では株価も上昇基調であり、自社株買いなど株主還元策も積極的に実施しています。今後は中期経営計画の進捗や、技術革新・新市場への対応力が注目されます。
企業情報
| 銘柄コード | 4275 |
| 企業名 | カーリット |
| URL | https://www.carlithd.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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