1. 企業情報
- 企業名: 株式会社キューブシステム
- 設立: 1972年7月5日
- 所在地: 東京都品川区大崎2-11-1 大崎ウィズタワー
- 従業員数: 918人（平均年齢33.7歳、平均年収525万円）
- 事業内容: 主に金融、流通、通信業界向けのシステムインテグレーション（SI）サービスを提供。システム開発や運用保守、コンサルティング、クラウド・インフラ構築などを手掛ける。プロジェクト管理能力に定評があり、SEの育成・研修にも注力。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: 中堅SIerとして、特に金融・流通・通信分野に強み。大手SIer（NTTデータ、TIS、SCSK等）と比較すると規模は小さいが、特定業界における専門性とプロジェクト管理力で差別化。
- 競争優位性: 顧客業界に特化したノウハウと、安定したプロジェクト遂行力。人材育成やダイバーシティ推進にも積極的。
- 課題: IT人材不足や人件費上昇、競合との価格競争、DX・AI等の新技術対応が求められる。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略: DX需要やAI技術活用、基幹システムのクラウド移行など、顧客のデジタルトランスフォーメーションを支援。
- 重点施策:
- AI技術を活用した業務支援アプリ「InCUBEator」の開発・展開。
- ダイバーシティ経営（障害者雇用推進等）。
- 既存案件の収益性改善、不採算案件の解消。
- 中期経営計画: 具体的な数値目標や詳細は未開示だが、増収増益・収益性改善を継続的に目指す方針。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 顧客企業からのシステム開発受託・運用保守契約が中心。クラウド、AI、DX関連の新規案件拡大も志向。
- 市場ニーズ適応力: DX・AI・クラウド移行需要に対応しつつ、プロジェクト管理力と人材育成で安定した受注・収益基盤を維持。
- リスク: IT人材不足や人件費上昇、景気変動によるIT投資抑制が長期的な課題。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向: AI技術やクラウド技術の活用を推進。自社開発の業務支援アプリ「InCUBEator」など独自サービスも展開。
- 主力サービス: 金融・流通・通信向けのシステム構築・運用、クラウドインフラ構築、システムコンサルティング等。
- 独自性: 特定業界に特化したノウハウと、プロジェクト管理・人材育成力。
6. 株価の評価
- 株価: 1,190円（2025/8/8終値）
- EPS（会社予想）: 81.02円
- BPS（実績）: 720.39円
- PER（会社予想）: 14.69倍（業界平均23.2倍）
- PBR（実績）: 1.65倍（業界平均2.3倍）
評価ポイント:
– PER・PBRともに業界平均より割安な水準。
– EPS成長率も直近で改善傾向。
7. テクニカル分析
- 年初来高値: 1,220円
- 年初来安値: 900円
- 直近株価: 1,190円（高値圏）
- 移動平均線:
- 50日: 1,117.68円
- 200日: 1,049.49円
- 直近10日間の推移: 1,145円～1,220円のレンジで推移し、高値圏でのもみ合い。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2023/3期: 163億円 → 2024/3期: 180億円 → 2025/3期: 183億円（増収基調）
- 営業利益: 2023/3期: 14.5億円 → 2024/3期: 15.4億円 → 2025/3期: 13.9億円
- 純利益: 2023/3期: 9.9億円 → 2024/3期: 10.7億円 → 2025/3期: 12.6億円
- ROE: 12.01%（実績）
- ROA: 7.16%
- 自己資本比率: 75.7%（財務健全性高い）
- キャッシュフロー: 現金6.3億円、総資産に対して十分な流動性を維持。
- 利益率: 営業利益率8.8%（前年同期5.0%から改善）
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）: 3.53%
- 1株配当（予想）: 42.00円
- 配当性向: 47.73%
- 自社株買い: 自己株式保有あり（約0.02%）、大規模な自社株買いは現状なし。
- 過去の配当推移: 5年平均配当利回り2.52%→直近は上昇傾向。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム: 直近1年で約21.6%上昇、年初来高値圏で推移。出来高も増加傾向。
- 信用取引動向: 信用買残47,400株、信用倍率3.65倍。やや買い残が多いが、過熱感は限定的。
- 投資家構成: インサイダー保有率42.43%、機関投資家4.89%。安定株主が多い。
11. 総評
キューブシステムは、金融・流通・通信業界向けのシステムインテグレーションに強みを持つ中堅SIerです。業界内では特定分野の専門性とプロジェクト管理力で差別化し、DX・AI・クラウド対応を強化しています。財務基盤は非常に健全で、自己資本比率・流動性ともに高水準。直近の業績は増収増益基調で、利益率も改善傾向にあります。
株価は年初来高値圏にあり、PER・PBRともに業界平均より割安な水準です。配当利回りも高く、株主還元姿勢が強化されています。今後はIT人材不足や人件費上昇、競争激化への対応が課題ですが、安定した収益基盤と新技術への適応力が評価されています。
※本レポートは情報提供を目的とし、投資判断を推奨・助言するものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 2335 |
| 企業名 | キューブシステム |
| URL | http://www.cubesystem.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
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