日本精線(5659)企業分析レポート
最終更新: 2025-08-14
1. 企業情報
- 概要
- 大同特殊鋼グループのステンレス鋼線大手。ばね・ネジ・金網など用途が多岐にわたるステンレス鋼線の二次加工で首位クラス。
- 事業は「ステンレス鋼線(売上構成比 83%)」と「金属繊維(同 17%)」の2本柱。海外売上比率は約30%(2025.3)。
- 金属繊維ではNASLON/NAScleanブランドで各種メタルファイバー・精密ガスフィルターを展開。半導体・化繊・樹脂・医療・エネルギー等へ供給。
- パラジウム合金ロールめっき水素分離膜など水素関連、医療向けCo系合金、高耐食・耐熱ばね用ステンレス線、二相系ステンレス線等の高機能材も扱う。
- 基本情報
- 本社: 大阪市中央区高麗橋4-1-1
- 設立: 1951年、従業員: 835人、平均年齢: 43.1歳、平均年収: 716万円
- 代表者: 利光 一浩
- 上場市場: 東証プライム(鉄鋼)
- 親会社: 大同特殊鋼(持株比率 49.85%)
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- ステンレス鋼線の二次加工で国内首位クラス。大同特殊鋼グループの素材調達・技術連携を背景に、品質・供給安定面の強みを持つ。
- 顧客は自動車、OA・家電、医療、半導体、エネルギーなど分散。特に高機能・独自製品での差別化を進める。
- 競争優位と課題
- 優位性: 高機能線材・金属繊維/フィルターの技術蓄積、精密加工ノウハウ、親会社との一体運営、財務健全性。
- 課題: 半導体・太陽光などサイクル影響の大きい需要領域への感応度、原材料価格・為替の変動影響。Q1(2026/3期)では半導体向け極細線・フィルターの需要減が収益を圧迫。
※市場シェアの定量データは未開示。
3. 経営戦略と重点分野
- 中期経営計画「NSG26」(第16次、中計開始: 2024年度)
- 基本方針
- サステナビリティ成長分野に向けた高機能・独自製品の開発深化
- 生産基盤強化と生産性向上(省人化・自動化、品質安定)
- 水素回収技術の深化(パラジウム合金水素分離膜など)
- ESG経営の推進
- 重点施策(セグメント別)
- ステンレス鋼線: 高機能ばね用材(医療中心)の拡販、極細線の高付加価値化。
- 金属繊維: 半導体関連向け超精密ガスフィルター(NASclean)の回復取り込み、用途拡大。
- 進捗
- 2026/3期1Qは売上微減・大幅減益だが、会社計画線上と開示。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- 基盤のステンレス鋼線で安定収益を確保しつつ、金属繊維・フィルター等の高付加価値製品で利益率を積み上げる構成。
- 需要変化への適応
- サイクル影響の大きい半導体・太陽光関連では需要変動を受けやすい一方、用途分散と高機能化でミックス改善を志向。
- 親会社グループとの連携により原材料や生産面の柔軟性を確保。海外30%・為替影響あり。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性
- 極細線・ばね用高耐食/耐熱ステンレス、二相系ステンレス、Co系医療合金などの特殊材料。
- NASLON/NAScleanブランドの金属繊維・超精密ガスフィルター(半導体・化繊・樹脂等向け)。
- パラジウム合金ロールめっき水素分離膜(水素回収・精製用途)。
- 収益ドライバー
- ステンレス鋼線(ばね・鋲螺・極細線等)が主力。景気感応度が高い一方、医療・高機能材は相対的に堅調。
- 金属繊維は半導体投資サイクルの回復局面で上振れ余地がある一方、足元は需要調整の影響。
6. 株価の評価(2025-08-14終値 1,094円)
- 指標
- 時価総額: 342億円、発行株式数: 31.27百万株
- 会社予想EPS: 74.96円 → 予想PER: 14.6倍
- 実績BPS: 1,323.28円 → PBR: 0.83倍
- 会社予想配当: 年42円 → 予想配当利回り: 3.84%
- 参考(前年実績): 年56円 → トレーリング利回り約5.1%
- EV/EBITDA(TTM, 当社算出): EV ≒ 1,783億円(=342−166+3億円)/ EBITDA 62.9億円 ≒ 約2.8倍
- 使用データ: 現金166億円、総有利子負債2.6億円、EBITDA 62.85億円(TTM)
- 業界平均との比較(鉄鋼業界平均の目安)
- PER: 同社 14.6倍 vs 業界平均 8.0倍
- PBR: 同社 0.83倍 vs 業界平均 0.6倍
- コメント
- PBRは1倍未満、自己資本比率は高水準(73.7%)。予想PERは業界平均比で高め。EV/EBITDAは低水準(参考値)。
7. テクニカル分析
- トレンド/位置
- 52週レンジ: 1,001円〜1,403円。現値はレンジ下限寄り(下位約23%水準)。
- 50日移動平均: 1,094.1円(現値とほぼ同水準)
- 200日移動平均: 1,214.0円(現値は下回る)→ 中長期では下向き基調の範囲内。
- 直近の値動き・出来高
- 直近10日終値は1,092〜1,120円のボックス推移。出来高は本日2.5万株で3カ月平均(約4.0万株)を下回る。
- 信用動向
- 信用買残 28.1万株(前週比▲1.0万)、信用倍率 25.3倍。買い残はやや減少、需給は買い長。
8. 財務諸表分析
- 損益推移(単位: 百万円)
- 売上高: 44,795(2022)→ 49,055(2023)→ 44,727(2024)→ 46,749(2025/3期, TTM)
- 営業利益: 4,596 → 4,179 → 3,538 → 4,577
- 当期純利益: 3,177 → 3,086 → 2,592 → 3,250
- EPS: 103.62 → 100.65 → 84.52 → 105.97
- 収益性(TTM, 当社算出)
- 粗利率 ≒ 17.6%(= 8,218 / 46,749)
- 営業利益率 ≒ 9.8%(= 4,577 / 46,749)
- 純利益率 ≒ 7.0%(= 3,250 / 46,749)
- ROE(実績・連結): 8.12%、ROA(過去12か月): 4.40%
- 直近期(2026/3期 1Q)
- 売上 11,275(前年比▲2.3%)、営業利益 464(▲60.1%)、純利益 315(▲61.8%)。半導体向け極細線・フィルターの需要減が主因。
- 財政状態・流動性
- 自己資本比率 73.7%(1Q時点 72.9%)、Net Cash(現金166億円−有利子負債2.6億円)。流動比率 3.79倍。財務安全性は高い水準。
※一部の外部指標とTTM集計値で差異がみられるため、比率は上記財務表に基づき算出。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 2025/3期実績: 年間56円(期末28円)
- 2026/3期会社予想: 年間42円(中間16円、期末26円)
- 予想配当利回り: 3.84%(株価1,094円ベース)
- 予想ベース配当性向: 約56%(= 42 / 74.96)。参考: 開示Payout Ratio 52.85%(算定基準差異あり)
- その他
- 自己株式保有 1.03%。直近株式分割 5:1(2024/3/28)。
- 大株主: 大同特殊鋼 49.85% 等。インサイダー保有比率が高く、安定株主構成。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 200日線下でのもみ合い。直近は出来高低下とともにレンジ下限付近で推移。
- Beta 0.45と低ボラティリティ。浮動株は約1,190万株、出来高は相対的に少なめ。
- 関心材料/リスク要因
- 半導体・太陽光関連の需要回復時期、原材料価格(ニッケル等)と為替、医療・水素関連の案件進捗、生産性向上の効果。
- 予定イベント
- 配当権利落ち予定日: 2025-09-29
- 決算発表期間目安: 2025-07-24〜07-28(参考・既済)
11. 総評
- ステンレス鋼線の国内有力企業で、親会社の大同特殊鋼との連携を活かした高機能材・金属繊維に強み。2025/3期は増益回復となった一方、2026/3期1Qは半導体関連の需要減で大幅減益。
- 財務は実質無借金・高自己資本で堅健。PBRは0.83倍、EV/EBITDAは約2.8倍(参考値)。予想PERは業界平均より高め、配当は会社計画で年42円・利回り約3.8%。
- 株価は52週レンジ下限寄りで推移、出来高は落ち着き、信用買い残は厚め。需要サイクルや原材料・為替の動向、NSG26の高付加価値シフトの進捗が注目点。
(注)本資料は公開情報に基づく企業分析であり、投資勧誘・助言を目的とするものではありません。数値は一部TTM等の前提で当社計算を含むため、会社開示と基準が異なる場合があります。
企業情報
銘柄コード | 5659 |
企業名 | 日本精線 |
URL | http://www.n-seisen.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 鉄鋼・非鉄 – 鉄鋼 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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